中国、ドイツのインダストリー4.0へ狙いを定めた?波乱の幕開け。

 

予め言っておきますが、資本主義市場なので、どこの国のどの会社がどこの会社をTOBしようが、自由です。ただ、今回は、そこまで自由自由と言えるような話でもないので、コメントする必要があると思います。今回のターゲットは、ドイツが推し進めているインダストリー4.0で大きなプレイヤーであるロボットのドイツ大手会社であるクーカ。ここが買収されたら、どうなるか。それでは見ていきます。

 

中国家電大手の美的集団が、独ロボットメーカー大手のクーカへTOB

6月16日の日経新聞の記事によると、16日、中国家電大手である美的集団が、ドイツのロボットメーカー大手である、クーカへTOBを始めたとのこと。

 

TOBの内容

上記日経新聞の記事から、TOBの内容をまとめると、

  • 1株当たり115ユーロ(約1万3500円)で取得

  • 30%以上の取得を目指し、筆頭株主になることを狙う

  • 公開買い付けは、6月16日から7月15日まで

  • 買い付け目標の株数に達しない場合は再度、7月21日から8月3日の間に、2度目の公開買い付けを実施

ということです。で、今、美的集団は上記の記事によれば、なんと13.51%もクーカ株を保有しているとか。

 

ドイツ政府は厳しい目

美的集団がクーカを狙い始めたとは知っていた方もいると思いますが、TOB実施は本日から。そして、これまでの間にも、ドイツ政府は、既に中国企業である美的集団が、クーカを買収することに対して厳しい目を向けていました。本音をはっきり言えば、買収してほしくない、ということです。

 

クーカはインダストリー4.0で重要なプレーヤー

クーカって、ドイツのロボットメーカー大手です。私も意外とけっこう詳しく知ってます。上場企業です。売上も2015年には29億6600万ユーロあります。

 

で、なんでこのクーカがけっこう重要なプレーヤーなのかというと、これは特にFAの分野で重要ですね。FAっていうのは、Factory Automation, ファクトリーオートメーション、の略です。FAっていうのは、工場で生産を自動化させていくためのシステムです。インダストリー4.0って、製造業で、例えば生産工程を自動化させたりして、コストの削減をさせることです。だから、FAをやってるクーカなんて、重宝されるわけです。

 

美的集団は買収、提携ではけっこうなやり手

中国の美的集団。これはあの東芝の白物家電事業を買ったあの会社です。覚えてますでしょうか。あと、ロボットの分野では、安川電機と一緒に提携してます。提携の目的、それは

産業用ロボット・サービスロボットのそれぞれの分野において大きな市場を形成することが見込まれる

 

産業用ロボット・サーボモータ技術に強みを持つ安川電機と、世界的な中国のトップ家電メーカである美的集団が、それぞれの強みを活かす

2015年8月5日の安川電機からのプレスリリースより

 

ホワイトナイトは現れるのか

ドイツって、実は、中国企業の進出に門戸を思いっきり開いてきました。私も長年ドイツにいましたし、2社大手で働きましたが、中国企業の進出というものはたくさん見てきました。いい、わるい、人それぞれ考えはいろいろあるとは思うけれども、ドイツは基本的に、こういう姿勢。あと、実際、中にいるドイツ人はどう感じているかそれを語りだすと長くなるからまた別の機会に。とにかくこういう状態だった。

 

しかし、今回は、ドイツ政府が難色を示している。報道ではヨーロッパ企業による支援を求めているとありますが、どうなるでしょうか。注目どころです。

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