なんと富士通がパソコン事業をレノボ傘下に。これが現実的な選択肢か。

 

富士通がパソコン事業を中国レノボ・グループの傘下に移す方針を固めた

日経新聞によると、富士通はパソコン事業を中国レノボ・グループの傘下に移す方針を固めたとのこと。合弁事業とし、レノボが過半を出資する方向で調整しているとのこと。月内の合意をめざすとのこと。

 

  • 富士通はパソコン事業を中国レノボ・グループの傘下に移す方針を固めた

  • 合弁事業とし、レノボが過半を出資する方向で調整している

  • 月内の合意をめざす

 

富士通のパソコン事業がレノボが過半を出資する合弁事業の傘下にという驚きのニュースです。

 

あらためて、下記にも書くように、今年4月、パソコン3陣営の統合交渉が白紙になったという話が脳裏に浮かびます。これが実現すれば、日本のパソコンメーカーが勝負できたとは思うのではありますが。

 

その前に、まずは今回の事業移管のもう少し詳しい内容を見てみましょう。

 

 

どの程度のどの社員が、富士通からレノボとの合弁会社に移動しそうか

上記日経新聞によると、富士通グループでパソコンの企画・開発・製造を手がける部門を合弁会社に移管するとのこと。2000人程度が移る見通しだとのこと。別の日経新聞によると、富士通のパソコン子会社にレノボが過半を出資する案も検討されているとのこと。

 

  • 2000人程度が移る見通

  • 富士通グループでパソコンの企画・開発・製造を手がける部門を合弁会社に移管

 

今のところ2つの案があるようですが、どちらにせよ2000人もの社員が動きます。富士通といえば昔はパソコンが強かったですが、いったいなぜこのような決断に至ったのでしょうか。

 

 

なぜ富士通はパソコン事業をレノボが主導権を握る合弁会社に移管するのか

ここでポイントになってくるのは、なぜ富士通はパソコン事業を移すのか。記事をまとめてしまうと、2つのポイントがあります。

 

  1. 富士通の経営資源の集中
  2. 富士通のパソコン事業の採算悪化

 

富士通がパソコン事業をレノボとの合弁会社に移す理由1 富士通の経営資源の集中。AIサービス人員は3.5倍になった。

上記日経新聞によると、富士通は今年2月に非中核分野としてパソコン事業を分社しており、レノボに主導権を渡すことでIT(情報技術)サービス事業などに経営資源を集中するとのこと。

 

要するに、パソコンが成長分野だとは考えていないということです。ITサービス事業に経営資源を集中ということですが、富士通は例えばAIサービス事業なんてのは、富士通は人員を増やしています

 

先日の日経新聞によると、富士通はAI企業向けに人工知能(AI)を使うサービスを提供する事業の人員を3.5倍の700人に増やしたとのこと。

 

  • 企業向けに人工知能(AI)を使うサービスを提供する事業の人員を3.5倍の700人に増やした

 

成長分野に目をやるのは会社としては当然のことですが、もう一個の理由もパソコン事業をレノボとの合弁会社に移動する理由として重要です。それが下記。

 

 

富士通がパソコン事業をレノボとの合弁会社に移す理由2 富士通のパソコン事業の採算悪化

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日経新聞によると、「FMV」ブランドのパソコンを手がける富士通は、2015年度の出荷台数が400万台だったとのこと。出荷の大半を占める国内市場ではシェア2位で、1位のNECレノボ・グループを追っているとのこと。だがパソコン市場の縮小などで採算が悪化しており、15年度は「3ケタ億円の赤字」(富士通)だったとのこと。

 

  • 「FMV」ブランドのパソコンを手がける富士通は、2015年度の出荷台数が400万台だった

  • 出荷の大半を占める国内市場ではシェア2位

  • 1位のNECレノボ・グループを追っている

  • だがパソコン市場の縮小などで採算が悪化しており、15年度は「3ケタ億円の赤字」(富士通)だった

 

要は富士通はパソコン事業じゃなかなか利益を出すことが厳しくなっているということです。だから事業を移すのは現実的を直視した行動です。

 

しかし、やはり脳裏に浮かぶのは、今年4月のパソコン3陣営の統合交渉が白紙になったという話です。これはパソコン3陣営(東芝、富士通、VAIO)が統合を模索していたという話ですが、結局交渉がうまくいかなかったという話でした。

 

上記日経新聞によると、交渉決裂の理由は、富士通首脳曰く、「短期的に黒字にはできるが2~3年後の状況は不透明だ」とのこと。

 

  • 富士通首脳は「短期的に黒字にはできるが2~3年後の状況は不透明だ」

 

 

パソコン事業は規模のメリットを生かしてこそ生き残れる時代。中国レノボ・グループ、米HP、米デルの3社が50%強のシェア。

今、パソコン事業というのは、今や成熟産業であり、ここでの重要なキーワードが規模となります。

 

4月の日経新聞によると、標準的な部品やソフトを組み合わせるパソコンは、技術やアイデアで製品に差をつける余地が乏しいとのこと。「部品をより安く調達して低コストで組み立てる仕組みを競う業界」(メーカー幹部)とのこと。

 

世界では中国レノボ・グループ、米HP、米デルの3社が計50%強のシェアを占め、規模のメリットを生かそうとしているとのこと。

 

  • 標準的な部品やソフトを組み合わせるパソコンは、技術やアイデアで製品に差をつける余地が乏しい

  • 「部品をより安く調達して低コストで組み立てる仕組みを競う業界」(メーカー幹部)

  • 世界では中国レノボ・グループ、米HP、米デルの3社が計50%強のシェアを占め、規模のメリットを生かそうとしている

 

こういう時代だからこそ、本当は上記のパソコン3陣営ができれば日本陣営として対抗できておもしろかったんですよね。

 

 

富士通はレノボとパソコン事業でどう協業していくつもりか

上記日経新聞によると、新会社は当面、NECレノボとは別のグループとして経営する方針とのこと。FMVブランドのパソコン事業を継続し、徐々に企業やブランドの統合を検討していくとみられるとのこと。

 

  • 新会社は当面、NECレノボとは別のグループとして経営する方針

  • FMVブランドのパソコン事業を継続し、徐々に企業やブランドの統合を検討していくとみられる

 

 

富士通パソコン事業の2000人社員はレノボが主導権を握ることでどうなるか。雇用は守られる

上記日経新聞によると、富士通は工場を維持し、雇用を守る案を示したレノボを選んだとのこと。

 

  • 工場を維持し、雇用を守る案を示したレノボを選んだ

 

富士通の工場および、富士通のパソコン事業社員の雇用は守られることになっているようですね。レノボは今や世界首位パソコン会社。富士通のパソコン事業がうまくレノボと統合されるように期待しています。

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