バリアント胃腸薬事業買収交渉破談から1か月で動いたか。
武田薬品工業ががん治療薬に強みを持つ米製薬会社、アリアド・ファーマシューティカルズを約54億ドル(約6200億円)で買収
日経新聞によると、武田薬品工業がは9日、がん治療薬に強みを持つ米製薬会社、アリアド・ファーマシューティカルズを約54億ドル(約6200億円)で買収すると発表したとのこと。
1~2月にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社にするとのこと。
武田薬品工業がは9日、がん治療薬に強みを持つ米製薬会社、アリアド・ファーマシューティカルズを約54億ドル(約6200億円)で買収すると発表した
1~2月にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社にする
武田薬品が動きました。6200億円の巨額買収。
豆知識: アリアド・ファーマシューティカルズを買収する武田薬品、約1か月前にバリアント胃腸薬事業買収交渉破談となっていた。その時の金額が約100億ドル(1兆1400億円)と言われていたわけだから、今回の金額はちょうどその半分ぐらいだから手の届く範囲。
なお、私のほうで、1か月ほど前に下記の記事を書いています。
武田のバリアント胃腸薬事業買収交渉が破談に。価格面などで折り合えず。買収交渉決裂は武田、バリアント両社にとって残念な話
この時は買収金額で折り合いがつかなかったから破談となったんですが、この時言われてたのがだいたい約100億ドル(1兆1400億円)という金額。
今回のアリアド社買収額はだいたいこのときの交渉額の半分ぐらい。武田には手の届く金額ですが、正直けっこうな金額出すなといったところ。
武田はアリアド社の発行済み株式のすべてを1株あたり24ドルで取得。買収資金は借入金と手元資金で賄う。6日の株価の約75%のプレミアムだから、アリアド社の株主は喜んでいる。
上記日経新聞によると、武田はアリアド社の発行済み株式のすべてを1株あたり24ドルで取得するとのこと。
買収資金は借入金と手元資金で賄うとのこと。
武田はアリアド社の発行済み株式のすべてを1株あたり24ドルで取得する
買収資金は借入金と手元資金で賄う
この24ドルという値段、これは、アリアド社の6日の株価の約75%のプレミアムの金額です。アリアド社の株主は喜んでるでしょう。
豆知識: 武田のアリアド社買収で、武田の狙いはオンコロジー(がん)。前回破断したバリアント胃腸薬事業とは別の領域。
まず、アリアド社をご存知でしょうか。この会社は製薬企業でオンコロジーに強みがある会社です。つまり、武田は今回、がん領域を強化しようと狙いを定めてきたわけです。
復習しておくと、武田は選択と集中をしているとは以前書きました。武田の集中分野、それは、
- がん
- 消化器系疾患
- 中枢神経系疾患
そうです。今回はがん領域の話となります。
前回破断したのは、胃腸薬事業です。ということは、そうです、今回は別領域を買いに来たのです。まぁ3つの分野すべて重要視しているのに変わりはないですが、そう考えてみるとおもしろいですね。
余談: 和光の売却、バリアントとの交渉破談、アリアド買収と武田は明らかな攻めの攻勢。アリアドの買収金額、武田の過密な買収交渉スケジュールを見ても、武田が早く世界のトッププレーヤーの仲間入りしたいと考えているのがよくわかる。
なお、この選択と集中により、武田は和光純薬という試薬のエースを富士フィルムに売却しています。
富士フイルムが武田の試薬子会社を1500億円で買収と正式発表。武田のキーマンの影も。富士フイルムの古森会長は「再生医療に必要なピースそろった」と意気込む
和光の売却があり、バリアントとの交渉破談が約1ヶ月前。それに今回の買収があるわけです。武田はもう明らかな攻めの攻勢です。
買収金額見ても、このスケジューリングみても、武田が早く世界のトッププレーヤーの仲間入りしたいと考えているのはわかると思います。
最後に、アリアド社についてもう少し詳しく見ておきましょう。
武田が買収するアリアド社は慢性骨髄性白血病・特定の急性リンパ性白血病を対象とする治療薬「Iclusig」を有しており、遺伝的要因を有する非小細胞肺がんの治療薬「brigatinib」(ブリガチニブ)も臨床段階。
ロイターによると、アリアド社は、慢性骨髄性白血病・特定の急性リンパ性白血病を対象とする治療薬「Iclusig」を有しているとのこと。
また、遺伝的要因を有する非小細胞肺がんの治療薬「brigatinib」も臨床段階にあるとのこと。これは、2017年前半に米国で承認される見通しで、その後もグローバルに承認申請を行っていく方針とのこと。
上記日経新聞によると、アリアド社は血液がんの一種である急性リンパ性白血病の治療薬を発売済みで、この薬は2016年12月期に1億7千万~1億8千万ドルの売り上げを見込んでおり、武田の業績にすぐに貢献するとのこと。
非小細胞肺がんを対象とした薬も実用化に向けた臨床試験を実行中で、将来は年10億ドルを超える売上高を期待できるとのこと。
アリアド社は1991年設立。15年12月期の業績は売上高が前の期比13%増の1億1880万ドル、営業損益は2億1727万ドルの赤字だったとのこと。
アリアド社は、慢性骨髄性白血病・特定の急性リンパ性白血病を対象とする治療薬「Iclusig」を有している
また、遺伝的要因を有する非小細胞肺がんの治療薬「brigatinib」も臨床段階にあるとのこと。これは、2017年前半に米国で承認される見通しで、その後もグローバルに承認申請を行っていく方針
アリアド社は血液がんの一種である急性リンパ性白血病の治療薬を発売済みで、この薬は2016年12月期に1億7千万~1億8千万ドルの売り上げを見込んでおり、武田の業績にすぐに貢献する
非小細胞肺がんを対象とした薬も実用化に向けた臨床試験を実行中で、将来は年10億ドルを超える売上高を期待できる
アリアド社は1991年設立
15年12月期の業績は売上高が前の期比13%増の1億1880万ドル、営業損益は2億1727万ドルの赤字だった
今回の買収、いろいろ気になる点があります。まずは武田サイドのコメントなど聞いてみたいところ。
武田のアリアド社買収の今後など、要注目です。