SiCに注目が集まりそうだ。

 

次世代航空機のエンジン基幹部品に日本発の新素材を採用。GEは軽量で高い耐熱性を持つ炭化ケイ素(SiC)繊維を最新エンジンに導入。宇部興産など国内2社が素材を供給。

日経新聞によると、次世代航空機のエンジン基幹部品に日本発の新素材である、軽量で高い耐熱性を持つ炭化ケイ素(SiC)繊維が採用されるとのこと。

 

米ゼネラル・エレクトリック(GE)が最新エンジンに導入するとのこと。宇部興産など国内2社が素材を供給するとのこと。

 

  • 次世代航空機のエンジン基幹部品に日本発の新素材が採用される。軽量で高い耐熱性を持つ炭化ケイ素(SiC)繊維

  • 米ゼネラル・エレクトリック(GE)が最新エンジンに導入

  • 宇部興産など国内2社が素材を供給する

 

GEの最新エンジンに、日本初の新素材である、炭化ケイ素(SiC)繊維が導入されます。この炭化ケイ素(SiC)繊維は近年注目が集まってきている素材です。宇部興産など国内2社とありますが、この素材を製造できる会社は極めて限られています。それが下記。

 

 

豆知識: SiC繊維を製造できるのは現時点では、世界で宇部興産と日本カーボンの2社だけ。GEと日本カーボンは近年距離が近く、合弁会社も設立している。SiC繊維は30年以上赤字だったが、ここへきてさらに注目が集まる可能性。

上記日経新聞によると、SiC繊維を製造できるのは現時点では、世界で宇部興産と日本カーボンの2社だけとのこと。

 

  • SiC繊維を製造できるのは現時点では、世界で宇部興産と日本カーボンの2社だけ

 

SiC繊維が宇部興産と日本カーボンの2社にしか製造できないというのは有名な話。

 

なお、GEと日本カーボンは近年、けっこう近い距離にいるといえます。というのも、2012年に、GE、日本カーボン、サフランの3社で合弁会社(NGSアドバンストファイバー)を設立、ハイテク無機繊維事業をしているからです。

 

なお、この合弁会社であるNGSアドバンストファイバーの社長は武田道夫社長ですが、この方は日本カーボン出身SiC繊維のエキスパートとしても有名です。

 

このあたりに関しては、以前の日経産業新聞でこの武田社長のSiC繊維の興味深く示唆に富んだエピソードが紹介されていました。

 

上記日経産業新聞によると、「SiC繊維は30年以上赤字で、半分お蔵入りの事業だった」とNGSの武田道夫社長は振り返るとのこと。

 

日本カーボン出身の武田社長は入社以来17年間、SiC繊維の研究開発に携わったが、用途はスポーツ用品などに限られ鳴かず飛ばず。だがここに来てGEからプロジェクトが舞い込むや「ミスターSiC繊維」として白羽の矢が立ったとのこと。

 

  • 「SiC繊維は30年以上赤字で、半分お蔵入りの事業だった」とNGSの武田道夫社長は振り返る

  • 日本カーボン出身の武田社長は入社以来17年間、SiC繊維の研究開発に携わったが、用途はスポーツ用品などに限られ鳴かず飛ばず

  • だがここに来てGEからプロジェクトが舞い込むや「ミスターSiC繊維」として白羽の矢が立った

 

結局30年以上も赤字でも、あきらめずにやってきたわけです。それが、GEという巨人に注目されて、このSiC繊維は花開く状況となったわけです。

 

なんだか人生の教訓としても、ここからいろいろ学べるような気がしますね。

 

日本カーボンとGEの距離感を多く書きましたが、今回の上記日経新聞では「宇部興産など国内2社が素材を供給」としています。どちらがどれだけなど具体的な数字は分かりません。

 

いずれにせよ、この広い世界において、SiC繊維は宇部興産と日本カーボンしか製造できないとはたいしたものです。

 

 

GEはSiC繊維を最新エンジン「GE9X」に採用。ボーイングの「777X」に搭載へ。なぜGEはSiC素材を最新エンジンのGE9Xに採用するのか。

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上記日経新聞によると、GEはSiC繊維を用いたセラミック複合材部品を最新エンジン「GE9X」に採用

 

ボーイングの次期大型機「777X」に搭載されるとのこと。既に300機分を受注したとのこと。

 

GEはエンジンに取り込んだ空気を燃焼させ、高圧ガスで航空機を推進させるタービンのブレードなど4部品を、従来のニッケル合金からSiC素材に変更するとのこと。先端素材の採用や設計見直しで、GE9Xの燃費を従来比で10%改善するとのこと。

 

現在、エンジンの主力材料のニッケル合金はSiC素材より耐熱性に劣り、空気冷却する必要があるとのこと。

 

  • GEはSiC繊維を用いたセラミック複合材部品を最新エンジン「GE9X」に採用
  • ボーイングの次期大型機「777X」に搭載される
  • 既に300機分を受注した
  • GEはエンジンに取り込んだ空気を燃焼させ、高圧ガスで航空機を推進させるタービンのブレードなど4部品を、従来のニッケル合金からSiC素材に変更する
  • 先端素材の採用や設計見直しで、GE9Xの燃費を従来比で10%改善する
  • 現在、エンジンの主力材料のニッケル合金はSiC素材より耐熱性に劣り、空気冷却する必要がある

 

最後に、宇部興産と日本カーボンがSiC繊維をどのように今後強化していくかについてみておきましょう。

 

 

宇部興産は25年までに宇部工場内にSiC繊維の工場棟を新設。日本カーボンはSiC繊維工場の年産能力を10トンと10倍に引き上げたばかりだが、GEが19年までに稼働させる米国の工場にも資本参加する。

上記日経新聞によると、宇部興産は25年までに宇部工場(山口県宇部市)内にSiC繊維の工場棟を新設する。

 

現在は試験プラントだけだが、数十億円を投じて生産能力を20倍の年200トンに引き上げ、年50億円の売り上げを目指す。IHIが複合材部品に加工するとのこと。

 

日本カーボンは富山市にあるSiC繊維工場の年産能力を10トンと10倍に引き上げたばかりだが、GEが19年までに稼働させる米国の工場にも資本参加するとのこと。

 

同工場の年産能力は100トン以上とみられ、共同で増産するとのこと。複合材部品への加工はGEが受け持つとのこと。

 

  • 宇部興産は25年までに宇部工場(山口県宇部市)内にSiC繊維の工場棟を新設する

  • 現在は試験プラントだけだが、数十億円を投じて生産能力を20倍の年200トンに引き上げ、年50億円の売り上げを目指す

  • IHIが複合材部品に加工する

  • 日本カーボンは富山市にあるSiC繊維工場の年産能力を10トンと10倍に引き上げたばかりだが、GEが19年までに稼働させる米国の工場にも資本参加する

  • 同工場の年産能力は100トン以上とみられ、共同で増産する

  • 複合材部品への加工はGEが受け持つ

 

両社とも、SiC繊維拡大策に踏み切るようです。日本カーボンに関しては、ここでもGEとの距離の近さを見ることができます。

 

今回、SiC繊維がGEの最新エンジンに導入されるという話がありました。

 

今後このSiC繊維市場がどのような展開を見せるのかに要注目です。

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