なかなか興味深い展開。

 

大王製紙が、日清紡の製紙事業を買収へ。大王製紙の日清紡紙事業買収額は200億円以上か。

日経新聞によると、トイレットペーパー国内最大手で「エリエール」ブランドを展開する大王製紙が、日清紡ホールディングスの製紙事業を買収する方針を固めたとのこと。

 

買収額は200億円以上のもよう。トイレット紙など家庭紙の国内市場は、訪日外国人の増加でホテルや商業施設への出荷が増え2017年に過去最大となる見通しとのこと。日清紡の製品と拠点を手に入れ供給力を高めるとのこと。

 

週内にも最終決定し、早ければ3月末までに日清紡の紙関連事業をすべて買い取るとのこと。

 

  • トイレットペーパー国内最大手で「エリエール」ブランドを展開する大王製紙が、日清紡ホールディングスの製紙事業を買収する方針を固めた

  • 買収額は200億円以上のもよう

  • トイレット紙など家庭紙の国内市場は、訪日外国人の増加でホテルや商業施設への出荷が増え2017年に過去最大となる見通し

  • 日清紡の製品と拠点を手に入れ供給力を高める

  • 週内にも最終決定し、早ければ3月末までに日清紡の紙関連事業をすべて買い取る

 

これは興味深い動き。それが下記。

 

 

豆知識: 大王製紙が買収する日清紡の紙関連事業、「コットンフィール」ブランドで有名でもある。これで「エリエール」有する大王製紙は、「コットンフィール」ブランドを手にできる。日清紡の紙事業は最近は売上に対して利益が良く、他の事業と比べても決して悪い成績ではなかった。日清紡は家庭紙国内市場が過去最大となる年に紙事業を手放すという思い切った戦略。

まず、紙事業を売りに出す日清紡について。

 

日清紡の紙事業。けっこうコアなファンを有しているブランドがあります。上記日経新聞によると、日清紡は「コットンフィール」や「ピーチブランドの紙関連製品を展開するとのこと。高級特殊紙なども手掛け、国内に3工場を持つとのこと。

 

  • 日清紡は「コットンフィール」や「ピーチ」ブランドの紙関連製品を展開する

  • 高級特殊紙なども手掛け、国内に3工場を持つ

 

そう、けっこうコアなファンを有しているのは、「コットンフィール」です。ご存知の方もけっこういるでしょう。使えば分かりますが、めちゃめちゃ柔らかいティッシュペーパーです。あの柔らかな感覚ゆえ、コアなファンが多いわけです。

 

「エリエール」有する大王製紙は、この「コットンフィール」ブランドを手に入れることになるわけです。大王製紙はブランドの数を揃え、家庭紙トップシェアの加速をさせたいようです。

 

そして、もっと興味深いのは、売りに出す日清紡。日清紡の紙事業。他の事業と比べても、悪い成績ではなかった。

 

上記日経新聞によると、同事業の連結売上高は前の期比4%増の325億円だったとのこと。

 

  • 同事業の連結売上高は前の期比4%増の325億円だった

 

なお、売上高は前の期比4%増としていますが、紙事業の利益の方はどうでしょうか。調べたところ、日清紡によれば、セグメント利益は前年同期比74.6%増です。つまり、売上に対して利益の伸びがけっこういい。

 

なお、上記は3月末の話ですが、四半期ベースだと、最近の第二四半期は前年同期比で0.4%減、セグメント利益が前年同期比で190.9%増です。売上は微減、利益は大幅増。

 

この要因の一つが円高。ここもポイントなんですが、話すと長くなりすぎるので今回は省略。ただ、為替はおいておいても、2017年は家庭紙の国内市場が伸びる年なわけで、それを前に売ってしまうという思い切った行動をとるわけです。

 

 

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なぜ日清紡は紙事業を大王製紙に売るのか。 日清紡、ブレーキ摩擦材事業は世界トップシェア。日清紡は紙事業売却後はブレーキと無線通信事業に経営資源の投入か。

さて、そんな紙事業ですが、なぜ日清紡は売るのか。

 

上記日経新聞によると、日清紡は祖業の繊維事業から多角化の一環で1960年代に始めた製紙事業から撤退するとのこと。主力のブレーキ材料や無線通信機事業などに経営資源の投入を集中するとのこと。

 

  • 日清紡は祖業の繊維事業から多角化の一環で1960年代に始めた製紙事業から撤退する

  • 主力のブレーキ材料や無線通信機事業などに経営資源の投入を集中する

 

日清紡のブレーキ事業。主力です。

 

いや、主力というか、日清紡のブレーキ摩擦材事業は世界トップシェアを誇っています。ブレーキ摩擦材事業なしに日清紡は今や語れません。

 

そんなブレーキ事業と無線通信事業に経営資源を投入する。この考えに市場はどう反応するか。

 

まだ金の使い道やら記者会見がないのではっきりとは分かりませんが、どのような考えにせよ、究極的に言えば、日清紡も大王製紙と同じく、トップシェア分野の拡大に関心があるとはいえそうです。

 

では大王製紙サイドはどうか。こちらは構図が分かりやすいので、最後にこれをみておきましょう。

 

 

なぜ大王製紙は日清紡の製紙事業を買収するのか。

大王製紙サイドに関していえば、家庭用紙需要が高くなってきており、日清紡の紙事業の買収をし、強化することで高い需要に備えたいとする考えははっきりと見て取れます。

 

上記日経新聞によると、日清紡の製紙事業は家庭紙が中心で、国内シェア(販売金額ベース)は8%で4位。首位の大王製紙(同23%)は2位の日本製紙(同12%)を突き放すとのこと。

 

大王製紙の家庭紙事業(紙おむつ含む)の16年3月期の売上高は前の期比8%増の1589億円営業利益は13%増の103億円と好調とのこと。18年3月期には全社の連結売上高の4割となる2千億円を家庭紙で稼ぐ方針とのこと。

 

大王製紙は買収を機に家庭紙分野で海外市場を見据えた供給体制を築くとのこと。同社は18年に240億円を投じ愛媛県と埼玉県に家庭紙の新工場を稼働させるとのこと。

 

首都圏に近い日清紡の静岡工場を活用し、国内への供給力を高めるとのこと。一方、愛媛の新工場ではアジア向け輸出品を増やすもようとのこと。

 

  • 同社の製紙事業は家庭紙が中心で、国内シェア(販売金額ベース)は8%で4位

  • 首位の大王製紙(同23%)は2位の日本製紙(同12%)を突き放す

  • 大王製紙の家庭紙事業(紙おむつ含む)の16年3月期の売上高は前の期比8%増の1589億円

  • 営業利益は13%増の103億円と好調

  • 18年3月期には全社の連結売上高の4割となる2千億円を家庭紙で稼ぐ方

  • 大王製紙は買収を機に家庭紙分野で海外市場を見据えた供給体制を築く

  • 同社は18年に240億円を投じ愛媛県と埼玉県に家庭紙の新工場を稼働させる

  • 首都圏に近い日清紡の静岡工場を活用し、国内への供給力を高める

  • 一方、愛媛の新工場ではアジア向け輸出品を増やすもよう

 

さて、両社が取る選択は、今後どのような影響を与えるのか。要注目です。

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