医薬の東レになる日がくるか。
東レ、がん治療薬に本格参入へ。東レが新薬候補を開発。
日経新聞によると、東レはがん治療薬に本格参入するとのこと。がん細胞の目印となるたんぱく質に結合し、がん細胞を攻撃する新薬候補を開発。3月に米国とフランスで臨床試験(治験)に入り、2022年ごろの発売を目指すとのこと。
東レはがん治療薬に本格参入する
がん細胞の目印となるたんぱく質に結合し、がん細胞を攻撃する新薬候補を開発
3月に米国とフランスで臨床試験(治験)に入り、2022年ごろの発売を目指す
東レががん治療薬に本格参入という何とも頼もしい話題。
豆知識: 東レは炭素繊維などで有名。しかし、東レは、免疫、がん領域を重点分野として掲げている。東レのライフイノサイエンス分野は16年3月に唯一、売上、営業益が、減収減益だった分野。まだまだ投資段階の側面がある。
東レは巨大な会社。私が東レで最初に思いつくのは繊維関連ですね。
中でも炭素繊維。炭素繊維に関しては、昨年大きな話題がありましたね。あの天才、イーロン・マスク率いるスペースXと基本合意という話です。
東レが大型契約ゲットで宇宙事業本格展開へ。宇宙船に炭素繊維。天才、イーロン・マスク率いるスペースXと基本合意
記事読んでいただければ分かりますが、東レの炭素繊維市場での存在感は半端ないです。
さて、そんな東レですが、今回は医薬という話題。東レからはちょっとイメージつきにくい方も多いかもしれません。
上記日経新聞によると、現在は売上高の約3%しかない医療・医薬領域を新たな事業の柱に育てるとのこと。
現在は売上高の約3%しかない医療・医薬領域を新たな事業の柱に育てる
3%が少ないのは分かりますが、あと、せっかくなのでもう少し踏み込んでみましょう。
昨年16年3月の東レの決算に関しての話。
今回話題に上がっている医薬分野が含まれている、東レのライフサイエンス分野に関しては、東レの中で唯一、売上、営業益で減収減益となった分野であります。
唯一、です。
要するに、明日、明後日に結果が出るような話の分野ではないということをよく覚えておく必要があります。
しかし、東レはあえてこの分野を重点分野とし、積極的に研究開発を進めてきました。そして、下記に出てくるように、今回FDAから治験開始の承認を得たわけです。こうなったからには、ぜひ商品販売の承認までたどりついてほしいといったところ。
上記日経新聞によると、東レは免疫、がん領域を医薬医療分野の重点分野に掲げ、新規事業としてのプロジェクトを本格的に立ち上げているとのこと。がん領域への本格参入で、医療医薬を繊維、化成品、炭素繊維に次ぐ事業にする考えとのこと。
東レは免疫、がん領域を医薬医療分野の重点分野に掲げ、新規事業としてのプロジェクトを本格的に立ち上げている
がん領域への本格参入で、医療医薬を繊維、化成品、炭素繊維に次ぐ事業にする考え
今回の話題であるがん、免疫分野もそうですし、あともう一つ加えておくと、神経疾患領域にも東レは大きな関心があります。
東レのがん治療薬、東レは治験の第一段階へ。東レの米国とフランスでの治験はどう進んで行くのか、その成功確率は。
上記日経新聞によると、米食品医薬品局(FDA)から治験開始の許可を得たことを受け、人に使った場合の副作用の有無などをみる第1段階に入るとのこと。
米仏では医療機関の協力のもと、40人弱の症例数で安全性などを見極めるとのこと。がん領域の開発薬の場合、製品として承認される確率は約5%という試算があるとのこと。
米食品医薬品局(FDA)から治験開始の許可を得たことを受け、人に使った場合の副作用の有無などをみる第1段階に入る
米仏では医療機関の協力のもと、40人弱の症例数で安全性などを見極める
がん領域の開発薬の場合、製品として承認される確率は約5%という試算がある
ぜひ商品販売の承認までたどりついてほしい、とはいいましたが、5%の承認確立。やはり医薬の世界は基本的に厳しい世界ですね。でも、がん治療薬は必要とされる薬であり、承認への夢があります。
がん治療薬がどのぐらい大切なのか、また東レがどのように今回の物質を発見したのか、最後に確認しておきましょう。
なぜ東レはがん治療薬に本格参入するのか。東レはどのようにがん細胞を攻撃する新薬候補を開発したのか。
上記日経新聞によると、新薬の詳細は明らかにしていないが、目印のたんぱく質は10年ほど前に自社の研究者が発見とのこと。
肺がんや乳がんなど16種類のがんに共通する新タイプとわかり、繊維や化学品で培った基礎研究のノウハウなどを用いて結合する物質を開発したとのこと。基礎研究や動物試験などで新薬はがん細胞を大幅に縮小させることを確認しているとのこと。
世界の15年の医薬品は約100兆円の売上高があり、がん領域はその中でも最も多く約8兆円を占めるとのこと。目印となるたんぱく質と結合する「抗体医薬品」はがん細胞などにピンポイントで働くため、通常の抗がん剤よりも副作用の軽減が期待されているとのこと。
新薬の詳細は明らかにしていないが、目印のたんぱく質は10年ほど前に自社の研究者が発見
肺がんや乳がんなど16種類のがんに共通する新タイプとわかり、繊維や化学品で培った基礎研究のノウハウなどを用いて結合する物質を開発した
基礎研究や動物試験などで新薬はがん細胞を大幅に縮小させることを確認している
世界の15年の医薬品は約100兆円の売上高があり、がん領域はその中でも最も多く約8兆円を占める
目印となるたんぱく質と結合する「抗体医薬品」はがん細胞などにピンポイントで働くため、通常の抗がん剤よりも副作用の軽減が期待されている
繊維や化学品で培った基礎研究のノウハウなどを用いてという点ですが、ここに、まさになぜ繊維で有名な会社が医薬という領域なのかという点について示唆しているようにも思えます。
東レのがん治療薬のゆくえに今後も要注目です。