なんと2万人も労働組合員を増やす。

 

オリエンタルランドの労働組合が約2万人いる非正規従業員を組合員にする。4月1日から。2万人規模が組合員になる珍しい例をオリエンタルランドが実行。

日経新聞によると、オリエンタルランドの労働組合が、組合員の数を大幅に増やすとのこと。約2万人いる非正規従業員が4月1日付で組合員になるとのこと。

 

このほど労使で合意したとのこと。労組は来春から詳細な労働条件の交渉に入るとのこと。

 

現在、約2900人の組合員がおり、これが約2万2000人程度に増えるとのこと。2万人規模が一気に組合員になる例は珍しく、他社にも影響が広がりそうとのこと。

 

  • オリエンタルランドの労働組合は約2万人いる非正規従業員を4月1日付で組合員にする

  • このほど労使で合意した

  • 労組は来春から詳細な労働条件の交渉に入る

  • 組合員は現在の約2900人から2万2000人程度に増える

  • 2万人規模が一気に組合員になる例は珍しく、他社にも影響が広がりそうだ

 

 

考察: オリエンタルランドに存在している労働組合は、OFS(オリエンタルランド・フレンドシップ・ソサイエティー)といい、正社員向け。しかし、OFSチェアマンの石橋慎哉氏曰く、OFS結成30周年の節目に、準社員、出演者、嘱託社員をメンバーに迎え入れるための活動を行っていた。

オリエンタルランドには登記上の労働組合があります。

 

オリエンタルランド曰く、その名をOFS(オリエンタルランド・フレンドシップ・ソサイエティー)と言います

 

ただ、これは正社員向けです。上記日経新聞によると、これまで正社員は賃上げや待遇改善などを労使で交渉してきたものの、非正規従業員は対象ではなかったとのこと。

 

  • これまで正社員は賃上げや待遇改善などを労使で交渉してきたものの、非正規従業員は対象ではなかった

 

興味深い話をしましょう。実は、OFSは、非正社員をOFSに迎え入れるための活動をしていました。

 

なぜか。それは、今年の2月にOFS設立30周年の節目の年を迎えたからです。OFSチェアマンの石橋慎哉氏は代表挨拶で下記の点について述べています。

 

1.OFSが2017年2月24日で結成30周年を迎えたこと

2.この節目の年に、準社員、出演者、嘱託社員の方々をメンバー(組合員)として迎え入れるための活動を行なっていること

3.オリエンタルランドの事業が永続的に成長、発展し続けるために、フロントラインで働いているキャストの方の声やゲストの声をさらに会社に届ける必要があること

 

  • 2017年2月24日で結成30周年を迎えます

  • このような節目のこの年に、準社員、出演者、嘱託社員の皆さんをメンバー(組合員)として迎え入れるための活動を行なっています

  • これは東京ディズニーリゾートを中心とするオリエンタルランドの事業が永続的に成長・発展し続けていくためには、社会に受け入れられ、お客様に愛され続けること、そのために現場のフロントラインで働いているキャストの皆さんの声やゲストの声を今まで以上に会社に届けていくことが必要であると考えたからです

 

2つ目に挙げたのが、まさに今回のテーマ、非正規社員が労働組合員になるということに直結してきます。結局、OFSの活動の成果も今回実ったと言えるでしょう。

 

あと、非正規社員を組合員にする理由付けとして、フロントラインで働いているキャストの声、ゲストの声をもっと届ける必要があるとありますが、これは本当にその通り理由としては、キャストなしではオリエンタルランドは成り立たないから。それが下記。

 

 

豆知識: 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド、そのキャストのほとんどがバイトやら嘱託社員などの非正規従業員。オリエンタルランドの全従業員の8割以上が非正規従業員であり、非正規従業員なしではディズニーのオペレーションは成り立たない。

もうほとんどの方がご存知のように、ディズニーのキャストのほとんどがアルバイトなどの非正規従業員であると言われています。

 

例えば、パレードのゲスト誘導係、観客に踊りを教える人、ダンサーなど、そのほとんどが非正規従業員がやっていると言われていますね。

 

他にはどんな仕事があるでしょうか。上記日経新聞によると、東京ディズニーリゾート(TDR)のアルバイトらは主に園内で働いており、アトラクションの運行や園内の清掃、飲食施設での接客・調理、駐車場での車の誘導などを担っているとのこと。

 

  • 東京ディズニーリゾート(TDR)のアルバイトらは主に園内で働いており、アトラクションの運行や園内の清掃、飲食施設での接客・調理、駐車場での車の誘導などを担っている

 

掃除してる人はバイト、レストランで接客してる人もバイト、駐車場で車の誘導をしている人もバイト。というわけで、オペレーションをやってるのはこれら非正規従業員なわけです。非正規従業員なしではディズニーはテーマパークとしてはまったくもって成り立たないことを意味します。

 

今回、非正規の2万人が労働組合員になるということからも分かるように、2万人もの大きな集団。全体の何割でしょうか。

 

上記日経新聞によると、労働組合員になる対象は、アルバイトやショーの出演者、嘱託社員などで全従業員の8割以上を占めるとのこと。

 

  • アルバイトやショーの出演者、嘱託社員などで全従業員の8割以上を占める

 

8割以上が非正規従業員。この大きな集団が、労働組合に入ります。

 

 

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余談: 労組の力は軽視できない。三越伊勢丹で起きた社長降ろしは、労働組合関連の人が会長に直接働きかけて起こった話。

労働組合なんてたいしたことないだろうと思われる方。いや、労組は時として、とてつもない力を発揮することがあります

 

最近の大変いい例が、つい先日話題になった、三越伊勢丹社長降ろしの話。私も記事にしました。

 

[三越伊勢丹社長降ろしのドラマが深い] 三越伊勢丹HDの労組が大西改革に反旗。辞任というより降ろされたに等しい。次期社長の杉江氏は融和派だが、また百貨店一本足経営に戻るつもりなのか、今後どうするのか

 

上記記事では、三越伊勢丹の労働組合恐るべし、とあるように、三越伊勢丹の社長降ろしに労働組合がもろに絡んでいたという話になっています。労組は決して軽視してはならない存在といえるでしょう。

 

 

なぜオリエンタルランドは非正規社員2万人を労働組合員にするのか。

上記日経新聞によると、テーマパークで働く従業員の賃金や働き方の待遇改善を進め、人手不足に対応するとのこと。

 

非正規従業員を組合員になることで、時給上限の引き上げや時短有給休暇制度の導入など、働きやすい労働環境に向けて交渉できるようになるとのこと。

 

オリエンタルランドは2016年4月には約820人の契約社員を無期雇用の正社員に転換。同時にアルバイトの時給の上限を1100円から1350円に引き上げたとのこと。これらは契約社員・アルバイトの士気を高め、長く働いてもらうためであり、組合への加入もその一環とのこと。

 

  • テーマパークで働く従業員の賃金や働き方の待遇改善を進め、人手不足に対応する

  • 組合員になることで、時給上限の引き上げや時短有給休暇制度の導入など、働きやすい労働環境に向けて交渉できるようになる

  • 労組は来春から詳細な労働条件の交渉に入る

  • 2016年4月には約820人の契約社員を無期雇用の正社員に転換

  • 同時にアルバイトの時給の上限を1100円から1350円に引き上げた

  • 契約社員・アルバイトの士気を高め、長く働いてもらう狙い

  • 組合への加入もその一環

 

あと、最初の方で挙げた、現存する労働組合が絡んでいる点も見逃してはなりませんね。

 

オリエンタルランドの非正規社員の労働環境の改善はされるのか、ゲストの声はさらに届くようになるのか。今後も要注目です。

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