吉野家が大変興味深いことを始める。
吉野家が学生バイトに入学金や学費分の資金を貸与する奨学金制度を導入。大学卒業後に吉野家に入社、4年勤務で返済は全額免除。同業の飲食チェーンでも半額免除。
日経新聞によると、吉野家HDが、学生バイトに奨学金制度を導入するとのこと。対象者には、入学金や毎年かかる学費を全額貸与する制度とのこと。
大学卒業後に吉野家に入社して4年勤務すれば返済は全額免除とのこと。同業の飲食チェーン(外食の業界団体、日本フードサービス協会に加盟する同業他社)に勤めた場合でも半額免除するとのこと。
吉野家ホールディングスは同社で働く大学生アルバイトを対象とした奨学金制度を導入する
対象者には入学金や毎年かかる学費を全額貸与する。
卒業後に同社に入社して4年勤務すれば全額返済を免除する。
外食の業界団体、日本フードサービス協会に加盟する同業他社に勤めた場合でも半額免除
考察: 吉野家の奨学金制度、年間10人上限では高い倍率になる。大学在学中もバイトするのは必須なので、選ばれし10人は吉野家と長いお付き合いになりそう。
この吉野家の奨学金制度。入学金から学費まで免除となると、多くの人にとって魅力的なものに見えるでしょう。
ただ、当然のことながら、大変狭き門となっています。いったいどれくらいのバイトの人が選ばれるのでしょうか。
上記日経新聞によると、年間10人を上限とするとのこと。大学在学中も吉野家の店舗で週3時間以上働くことが条件とのこと。
年間10人を上限
大学在学中も吉野家の店舗で週3時間以上働くことが条件
年間10人。狭き門でしょう。
どれくらい狭い門でしょうか。
今回はテーマが「吉野家HD」となっています。吉野家HDは主力の吉野家だけでなく、はなまる、アークミール、京樽など抱えるでかい会社です。
そして、吉野家HDの臨時雇用者数がだいたい15000人超ぐらい(2015年2月時点)となっています。この数字は多少前後していますが、毎年だいたい15000人くらいで推移していると考えていただければいいかと思います。
学生だけの人数など内訳がないので、この数字だけで単純に比較するわけにはいきませんが、とりあえずイメージとして、いかに多くの人が関わっている会社なのかはよく分かるかと思います。(ちなみにもしこれが「吉野家」だけに限った話なら、倍率はだいぶ減ります => 吉野家だけなら、2015年2月時点で8195人。)
いずれにせよ、最大10人というのは、かなりの倍率となりそうです。
選ばれし10人はその後どうなるか。ほとんどはまずは吉野家HDに入社すると考えられます。
というのも、仮に同業の飲食に行っても半額免除とありますが、わざわざ高い倍率を勝ち残り、吉野家に学費など払ってもらった恩があるわけです。なかなか競合他社には行きにくいでしょう。
総じて、大学在学中に週3時間以上の勤務が必要、卒業後は入社して最低4年働くということから、これは、単なるバイトというより、長期でお付き合いする選ばれし10人ということになりそうです。
考察: なぜ吉野家は奨学金制度を始めるのか。吉野家の奨学金制度は外食の人手不足を補うための新たな方法でもある。吉野家の奨学金制度の対象者は。吉野家から奨学金の条件は。
さて、なぜ吉野家はこのようなことを始めるのか。
これは、人手不足を解消するための解決策の1つの方法であると考えられます。
上記日経新聞によると、吉野家などの飲食チェーンの多くは店舗運営をパート・アルバイトに頼っているとのこと。少子高齢化でアルバイトの確保が難しくなっており、奨学金制度で優秀な人材を呼び込むとのこと。
吉野家などの飲食チェーンの多くは店舗運営をパート・アルバイトに頼っている
少子高齢化でアルバイトの確保が難しくなっており、奨学金制度で優秀な人材を呼び込む
飲食ではないですが、オリエンタルランドは、非正規2万人を労働組合に入れると先日書きました。
[労働組合結成30周年の節目の快挙] オリエンタルランドが非正規2万人を組合員へ。非正規社員の待遇改善につながるか。非正規社員がオペレーションやってるわけだから、流れとしては当然か
オリエンタルランドも苦労しています。多くの会社が人手不足で困っている状況。吉野家のような外食は大変でしょうね。
今回の奨学金制度は、吉野家なりの人手不足の解決策の1つの方法であると考えられます。
最後に、この奨学金の対象者をさらに具体的に、そして、この奨学金制度は需要はありそうかどうかを見ておきましょう。
吉野家の奨学金制度、需要はありそうか。吉野家HD奨学金の対象者は。
上記日経新聞によると、まず2018年4月に大学に入学予定の高校生アルバイトを対象にするとのこと。勤務態度や学業の状況などを踏まえて選ぶ。専攻する分野は問わないとのこと。
経済的な問題を抱えて大学進学が困難な若者は増加傾向にあるとのこと。日本学生支援機構によると、大学や専門学校などに通う学生の38%が奨学金を利用しており、その比率は10年前と比べ1.7倍になったとのこと。卒業後に返済を延滞する若者も増えており、企業や自治体の間で支援制度を作る動きが広がりつつあるとのこと。
まず2018年4月に大学に入学予定の高校生アルバイトを対象にする
勤務態度や学業の状況などを踏まえて選ぶ
専攻する分野は問わない
経済的な問題を抱えて大学進学が困難な若者は増加傾向にある
日本学生支援機構によると、大学や専門学校などに通う学生の38%が奨学金を利用しており、その比率は10年前と比べ1.7倍になった
卒業後に返済を延滞する若者も増えており、企業や自治体の間で支援制度を作る動きが広がりつつある
経済的に困っている人に手を差し伸べることにもつながるので、需要はありそうです。
吉野家の奨学金制度のゆくえは。要注目です。