けっこうすごい話。

 

最近はハッキング関連のニュースなどよく聞きます。サイバー攻撃対策をするのは企業としては当然のことですが、今回は電通、ANAなど8社がサイバー防衛企業に出資するという話。

 

ただ今回の場合、何がすごいのかというと、出資する企業の人数がわずか5人という点。そして、この企業がさらに買収に乗り出すわけですが、買収する企業がまたおもしろい企業である点。このあたりちょっと豆知識も踏まえ、下記で触れます。

 

 

国内企業8社がブループラネットワークス(旧キープツリー)に合計55億円を出資

日経新聞によると、国内企業8社が18日にIT企業のブループラネットワークス(旧キープツリー)に合計55億円を出資するとのこと。

 

ブループラネットワークスが実施した第三者割当増資に応じたとのこと。出資することで同社が持つサイバー攻撃対策技術を優先的に低コストで使えるようにするとのこと。

 

  • 国内企業8社は18日にIT企業のブループラネットワークス(旧キープツリー)に合計55億円を出資する

  • ブループラネットワークスが実施した第三者割当増資に応じた

  • 出資することで同社が持つサイバー攻撃対策技術を優先的に低コストで使えるようにする

 

 

ブループラネットワークスに出資する企業

さて、まずどの企業が出資するのか見ておきましょう。上記日経新聞をまとめると、下記のとおり。なお残り1社は現時点で不明。

 

  • ANAホールディングス
  • 電通
  • 電通国際情報サービス
  • 担保ジャパン日本興亜
  • 第一生命保険
  • PCIホールディングス
  • 大興電子通信
  • など(もう1社?)

 

けっこう有名企業がそろっています。

 

 

電通やANAが出資するブループラネットワークスとは。ブループラネットワークスはわずか5人の会社。ブループラネットワークスは調達した資金で米国のブルーリッジネットワークスのサイバー攻撃対策事業を買収へ。

さて、今回の注目点はここ。まず、ブルーリッジネットワークス。

 

この会社の注目点はなんといっても、人員がわずか5人という点。上記日経新聞によると、ブループラネットワークスはビデオメッセージサービスを提供する会社で人員は5人とのこと。

 

  • ブループラネットワークスはビデオメッセージサービスを提供する会社で人員は5人

 

そうです、わずか5人の会社に合計55億円出資するというわけです。これは驚き。では、なんで55億円もの出資になるのか。

 

この理由として、この調達した資金が買収資金にあてられるというのがあります。いったいどんな会社を買収するのか、ここはキーなので、下記で言及します。

 

上記日経新聞によると、ブループラネットワークスは調達した資金で同日中に情報セキュリティー企業の米ブルーリッジネットワークスのサイバー攻撃対策事業を買収するとのこと。

 

  • 同社は調達した資金で同日中に情報セキュリティー企業の米ブルーリッジネットワークスのサイバー攻撃対策事業を買収する

 

なお、上記日経新聞では、この買収に46億7000万円かかるとしています。さらに、22億円分の新株をブルーリッジに発行とあります。

 

  • 46億7000万円

  • 22億円分の新株をブルーリッジに発行

 

さて、ここから。ではこのブルーリッジネットワークスとはいったいなんぞやという話になってきます。

 

 

考察: ブループラネットワークスがサイバー攻撃対策事業を買収するブルーリッジネットワークスとは。ブルーリッジネットワークスは元CIAのチーフ・インフォメーショ ン・セキュ リティ・オフィサーがアドバイザーにいる会社。ブルーリッジネットワークスのCEOであるジョン・ヒギンボッサムCEOとは。

ここからは、電通やANAが出資する会社が買収する会社の話です。

 

まず、CEOについて。CEOの名前はジョンヒギンボッサムCEO。日本ともつながりがあり、昨年関西大学でゲストスピーカーとして講演をしています。

 

その際の関西大学のシンポジウムの案内で掲載された、ジョン・ヒギンボッサムCEOのプロフィール、そして、ここにブルーリッジネットワークスについて書かれてあります。けっこう分かりやすいので、今回はこれを紹介します。それが下記。

 

ジョン・ヒギンボッサム John Higginbotham

ハーバード大学経営大学院卒業後、HPなどハイテク、宇 宙産業に携わり、また金融分野においてもその地位を築い た。5年前に Blue Ridge Networks社のCEO に就任し、 当社は米国政府機関の重要な施設および機能のサイバープ ロテクションを主業務としていたが、 海外の重要施設、外国政府機関や民間金融機関などにその技術を提供するよう になった。当社は、マルウェアを検知・反応するものではなく完全にブロックするという特許技術を有しており、18年を超えて一度として破られたことはない技術である。当社の技術は、調査機関のGartner社から高い評価を受けるとともに、元CIAのチーフ・インフォメーショ ン・セキュ リティ・オフィサーからも推奨されている。 また2014年windows向けにリリースしたAppGuardと いうプロテクションは、2014年、2015年連続して Homeland Security Award大賞を受賞している

 

関西大学のサイバーセキュリティの最新動向と対策のシンポジウム案内より

 

関西大学はなかなかおもしろい人を講演で呼びましたね。

 

特に注目点をピックアップすると、ブルーリッジネットワークスは

 

  • マルウェアを検知・反応するものではなく完全にブロックするという特殊技術を有しているという点
  • そして、これが18年を超えて一度として破られたことはない技術という点
  • 同社の技術が、元CIAのチーフ・インフォメーショ ン・セキュリティ・オフィサーからも推奨されているという点

 

一度も破られたことはないというなんとも頼もしい発言。

 

ちなみに、元CIAのチーフ・インフォメーショ ン・セキュリティ・オフィサーからも推奨と上記でありますが、この元CIAのチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサーとは、推測ですがロバート・ビッグマン氏のことかと思います。

 

というのも、ロバート・ビッグマン氏は、ブループラネットワークスの顧問をやっているからです。顧問が推奨するのは流れとしては理解できるでしょう。

 

ただここでのポイントは、元CIAのチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサーが顧問の一人という点。CIAという情報機関でチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサーやってた人です。けっこうな大物です。

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上記日経新聞によると、ブループラネットワークスがサイバー攻撃対策事業を買収するブルーリッジには、米政府の情報機関が資金援助しており、米国の政界や情報機関の出身者が顧問に名を連ねるとのこと。これまで主に米政府機関に情報システムを守る防御ソフトを提供してきたとのこと。

 

ブルーリッジは第三者が離れた場所から基本ソフト(OS)に出した不正な指令をブロックする技術を持つとのこと。この技術の特許やプログラム、研究開発部門、営業権をブループラネットワークスが買い取るとのこと。日米とアジア地域の企業や政府機関に防御ソフトを販売するとのこと。

 

ブルーリッジのサイバー攻撃対策事業の買収で、同社の研究開発部門や営業部門の12人が加わるとのこと。

 

  • ブループラネットワークスがサイバー攻撃対策事業を買収するブルーリッジには、米政府の情報機関が資金援助しており、米国の政界や情報機関の出身者が顧問に名を連ねる

  • これまで主に米政府機関に情報システムを守る防御ソフトを提供してきた

  • ブルーリッジは第三者が離れた場所から基本ソフト(OS)に出した不正な指令をブロックする技術を持つ

  • この技術の特許やプログラム、研究開発部門、営業権をブループラネットワークスが買い取る

  • 日米とアジア地域の企業や政府機関に防御ソフトを販売する

  • ブルーリッジのサイバー攻撃対策事業の買収で、同社の研究開発部門や営業部門の12人が加わる

 

米国の政界や情報機関の出身者が顧問に名を連ねるとありましたが、CIAのチーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサーについては私の方で上記で書いたとおりです。

 

12人が移るということですが、そもそも5人の会社に12人が移ってくるわけです。やはり、5人という点が非常にそそられます。

 

最後に、出資する会社はどのように今回の出資を活用する予定か見ておきましょう。

 

 

なぜANAHD、電通、担保ジャパン日本興亜、PCIホールディングスなどは、ブループラネットワークスに出資するのか。今後は技術の獲得を目的に情報セキュリティー会社に出資するケースが増えるか。

上記日経新聞によると、ANAHD航空旅客情報を守り、電通は取引する東京五輪のスポンサー企業の情報を保護するためにブループラネットワークスの技術を使うとのこと。

 

損保ジャパン日本興亜はサイバー攻撃対策ソフトを導入した企業やコネクテッドカー(つながる車)のサイバー保険料を安くするなど、ブループラネットワークスの技術を組み合わせた保険商品の提供を検討しているとのこと。

 

PCIホールディングスは、グループ会社で開発する自動車や重機・建機に組み込むソフトにブループラネットの技術を導入する見通しとのこと。

 

今回のように自社の事業に防御技術を活用する目的で情報セキュリティー会社に出資する事例は珍しいとのこと。通常は情報セキュリティー会社が提供する製品やサービスを利用するのにとどまるとのこと。

 

技術の獲得を目的に情報セキュリティー会社に出資するケースも増えそうだとのこと。セキュリティー対策需要が急増していることから、投資先としても有望とみるとのこと。

 

  • ANAHDは航空旅客情報を守り、電通は取引する東京五輪のスポンサー企業の情報を保護するためにブループラネットワークスの技術を使う

  • 損保ジャパン日本興亜はサイバー攻撃対策ソフトを導入した企業やコネクテッドカー(つながる車)のサイバー保険料を安くするなど、ブループラネットワークスの技術を組み合わせた保険商品の提供を検討している

  • PCIホールディングスは、グループ会社で開発する自動車や重機・建機に組み込むソフトにブループラネットの技術を導入する見通し

  • 今回のように自社の事業に防御技術を活用する目的で情報セキュリティー会社に出資する事例は珍しい

  • 通常は情報セキュリティー会社が提供する製品やサービスを利用するのにとどまる

  • 技術の獲得を目的に情報セキュリティー会社に出資するケースも増えそうだ

  • キュリティー対策需要が急増していることから、投資先としても有望とみる

 

東京五輪でさまざまな役割を担っている電通も、東京五輪を見据えての動きのようです。

 

各社がどのようにサイバー防衛へ動くか、要注目です。

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