今回は、三菱UFJがフィンテックの研究拠点を設けるという話。

 

MUFGとして海外にフィンテック研究拠点を設けるのはこれで4カ所目ということですが、むしろもっと前にロンドンに研究拠点を設けていてもおかしくなかったはずです。

 

そもそも、欧州で特にフィンテックが強いのは英国。アーンスト&ヤングの調査では、フィンテックにおいて、英国ではセクターとしての総売り上げが、2015年で66億ポンドとなっていましたが、これは欧州で断トツにでかい数字です。

 

ではなぜ今頃英国に拠点なのか。

 

おそらく、MUFGとしては、もっと前から英国には注目していたとは思います。

 

しかし、検討している間にBrexitの話が大きくでてしまった

 

で、あのカオス的状況ではさすがに英国に研究拠点を設けるなんてのは無理ということになった。

 

ところが、問題は山積みですが、ちょっとカオス的状況も落ち着いてきたところ。

 

そして何より、英政府のハモンド財務相が、フィンテックを成長戦略の要にすると発言したのも大きいでしょう。英国としては、Brexit云々に関わらず、今後もフィンテックに力を入れていく姿勢を示したわけです。

 

それでは、MUFGとしても、英国に研究拠点を設けましょうという話になったのでしょう。

 

やはりフィンテック大国である英国でフィンテックの情報収集しないのは逆にリスクになる可能性がありますので、このような行動は当然のようにも思えます。

 

 

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が英ロンドンにフィンテックの研究拠点、欧州初の研究拠点。

8日の日経新聞によると、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は8月下旬、英ロンドンにフィンテックの研究拠点を設けるとのこと。

 

MUFGが海外にフィンテック研究拠点を設けるのは4カ所目で、欧州では初めてとのこと。英国はEU離脱問題を抱えるが、英国政府はフィンテックを成長戦略に位置づけ推進しているとのこと。欧州での情報網を築き業務に生かすとのこと。

 

  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は8月下旬、英ロンドンに金融とIT(情報技術)を融合したフィンテックの研究拠点を設ける

  • MUFGが海外にフィンテック研究拠点を設けるのは4カ所目で、欧州では初めて

  • 英国は欧州連合(EU)離脱問題を抱えるが、英国政府はフィンテックを成長戦略に位置づけ推進している。欧州での情報網を築き業務に生かす

 

 

英国はフィンテックで有名。TransferWise, Funding Circle, Zopaなど、有名なフィンテック企業が多くある。

英国がフィンテックに強いのは上記でも書きました。

 

いろいろフィンテックの有望なベンチャー企業も英国から登場しています。挙げればキリがないですが、例えば、TransferWiseやらFunding Circleなどはユニコーン企業としても有名なので、聞いたことある方もおられるでしょう。

 

バンキング分野などではZopaという企業なんかも有名ですね。けっこう長いことやってるので。

 

で、上記でも書いたように、Brexitの影響でおそらくちょっと足踏みとなっていた可能性はあるでしょう。MUFGとしては今回で4つ目の海外の研究拠点とのことですが、それ以前はどこに設けていたのでしょうか。

 

上記日経新聞によると、MUFGは2014年、まず米サンフランシスコに研究拠点を設けたとのこと。16年4月にはニューヨークにも立ち上げ、ITを活用した規制対応やブロックチェーン技術などの研究を進めているとのこと。同時期にシンガポールにも拠点を設置し、現地の政府プロジェクトに参加しているとのこと。

 

  • MUFGは2014年、まず米サンフランシスコに研究拠点を設けた

  • 16年4月にはニューヨークにも立ち上げ、ITを活用した規制対応やブロックチェーン技術などの研究を進めている

  • 同時期にシンガポールにも拠点を設置し、現地の政府プロジェクトに参加している

 

サンフランシスコ、ニューヨークという流れはもうセオリー通りです。

 

米国では(というより世界で見ても)、フィンテックはカリフォルニア、ニューヨークが圧倒的なレベルで2大拠点となっています。フィンテック研究ならここに研究所置かないでどこに置くっていうレベルの話です。

 

ちなみに、先日、日興アセットがフィンテック調査に強みのあるアーク社に出資という話を扱いましたが、このアーク社もニューヨークが拠点でしたね(下記記事参照)。

 

[日興アセットがアーク社に出資、フィンテック関連商品開発に期待がかかる] 日興アセットがフィンテック調査に強みのある米運用会社、アーク・インベストメント・マネジメントに出資。グローバル・フィンテック株式ファンドでは出資するアーク社から投資助言を受けてきた。アナリストの多くがフィンテック専門家であるのが強みのベンチャー企業。

 

で、その後ブレグジットで揺れまくりましたから、とてもじゃないけれど英国に拠点を設けることはできなかったという見方でいいでしょう。

 

ただ、今回MUFGが動き始めたのも、やはり英政府の意向が大きかったでしょう。

 

上記日経新聞によると、ロンドンは政府や自治体がフィンテック関連企業を誘致して金融機関との連携を後押しするなど研究を進める環境が整っていると判断したとのこと。MUFGは新技術に関する情報を収集するだけでなく、現地でフィンテック関連企業との連携も検討していくとのこと。

 

  • ロンドンは政府や自治体がフィンテック関連企業を誘致して金融機関との連携を後押しするなど研究を進める環境が整っていると判断した

  • MUFGは新技術に関する情報を収集するだけでなく、現地でフィンテック関連企業との連携も検討していく

 

あとBrexitの影響で、「人材」について今後どうするかという問題は常に付きまといますが、政府としてフィンテックを推し進めているということもありますから、例えば理系の人材に対してビザを緩めてあげるなどは、可能性としてはあるかもしれません。こうなってくれると企業としてはずいぶん楽になります。

 

Brexitの影響は懸念事項とはされるという意見は依然ありますが、それでも現時点で英国のフィンテックが強いのは事実であり、今後も政府が後押しする姿勢を示しているので、研究拠点を設ける意味合いはあると思いますね。

 

MUFGのロンドンのフィンテック研究拠点のゆくえは。要注目です。

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