今回は、中国の長城汽車があの「ジープ」を買収する検討をしているという話。
現時点でまだ正式な話ではありません。ただ、FCAのマルキオンネCEOは、事業売却、再編にも積極的な姿勢を示しています。
一方、SUVで世界王者を目指しているのが長城汽車。
ビジネスとしては、話し合いが進んで行く可能性は否定できません。
ただ、この話し合いが進むにせよ、政治リスクがあるのが気になります。
一番の難関は、もう皆様ご存知の通り、あのトランプ氏。
ジープといったら、アメリカで人気のブランド。
ファンが多くいるのもちろんそうですし、それ以上にキーとなるのは、ジープが中国の手に渡ることで、生産が中国に移ってしまう可能性があるという点でしょう。
となってくると、トランプ氏がまず間違いなく口出ししてきますね。
結局、話し合いが本格化した際、トランプ氏が納得するのかどうか、ここは非常に不透明な部分となっています。
中国自動車大手の長城汽車が、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の「ジープ」ブランドで知られる多目的スポーツ車(SUV)部門などの買収の検討に着手
21日の日経新聞によると、中国自動車大手の長城汽車は、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の「ジープ」ブランドで知られる多目的スポーツ車(SUV)部門などの買収の検討に着手したとのこと。
関係者が21日、明らかにしたとのこと。中国のほかの自動車大手がFCAに関心があるとの報道もあり、交渉の行方に注目が集まるとのこと。
中国自動車大手の長城汽車は、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の「ジープ」ブランドで知られる多目的スポーツ車(SUV)部門などの買収の検討に着手した
関係者が21日、明らかにした
中国のほかの自動車大手がFCAに関心があるとの報道もあり、交渉の行方に注目が集まる
長城汽車の会長はSUV生産で世界一を目指している。長城汽車ブランドは世界でまだプレゼンスがないが、ジープという有名ブランドが手に入れば、北米、海外で飛躍できる。長城汽車、一番の狙いはジープだが、場合によってはFCA全体の買収の可能性も。
まず、そもそもの疑問。
いったい長城汽車はなぜジープに関心があるのか。
それは、この会社はSUVで伸びており、SUVでの世界制覇を目指しているからです。
大富豪としても知られる長城汽車の会長は、以前、長城汽車をSUV生産で世界一にすると明言しています。
世界一というからには、世界でのプレゼンスが必要です。
ただ、この長城汽車、中国では超大手ですが、海外ではあまりプレゼンスがないのが現実でしょう。
私自身、長城汽車の車は、日本、アメリカ、ヨーロッパの道端でまだ見たことがないです。
上記日経新聞によると、長城汽車は1984年設立の民営企業。まずピックアップトラックで中国トップとなり、最近はSUVで人気を集めるとのこと。海外大手と合弁を組まない中国の独自ブランドメーカーとして知られており、16年の販売台数は107万台。大半は国内向けとのこと。
FCAの事業買収が実現すれば、課題である海外事業を一気に伸ばすことができるとのこと。高級車ブランド「WEY」を立ち上げたばかりで、FCAを活用することで高級車分野を伸ばすことにもつながりそうだとのこと。
長城汽車は1984年設立の民営企業。まずピックアップトラックで中国トップとなり、最近はSUVで人気を集める
海外大手と合弁を組まない中国の独自ブランドメーカーとして知られており、16年の販売台数は107万台
大半は国内向け
FCAの事業買収が実現すれば、課題である海外事業を一気に伸ばすことができる
高級車ブランド「WEY」を立ち上げたばかりで、FCAを活用することで高級車分野を伸ばすことにもつながりそうだ
やはり大半は国内向けという話。
で、ジープが欲しい、と。
そりゃそうでしょう。
ジープは日本人にもよく知られた車。アメリカ人で知らない人なんていません。
ちなみに、私の中のなんとなくのイメージですが、アメリカではけっこうワイルド系がジープを運転しているイメージがあります(笑)。
まぁこれはあくまでイメージで、実際にはかなり多くの人から愛着を持たれている車ですね。
で、今噂されてるのは、長城汽車FCA全体の買収提案もするという可能性について。
上記日経新聞によると、長城汽車が買収を検討しているのは「ジープ」ブランドのSUV部門とピックアップトラック部門。金融機関などを通じてFCA側に2部門の買収に関心があると伝えたというとのこと。買収提案額は不明。2部門を手に入れるためにFCA全体やほかの事業の買収を提案する可能性もあるとのこと。
長城汽車が買収を検討しているのは「ジープ」ブランドのSUV部門とピックアップトラック部門
金融機関などを通じてFCA側に2部門の買収に関心があると伝えたという
買収提案額は不明。2部門を手に入れるためにFCA全体やほかの事業の買収を提案する可能性もある
確かにFCA全体の買収もありえるぞという話にはなっていますが、ただ、やはり狙いはジープなので、話し合いが進むなら、ジープ買収が最優先事項として話し合いが進むという話が現地では出ています。
生産を移される可能性や貿易摩擦の点なども考慮すると、中国企業にジープが渡ることをトランプ氏が黙って見過ごすわけにはいかない。ただ、FCAとの買収での話し合いに関心を持っている中国企業は、広州汽車や東風汽車、浙江吉利控股集団など複数ある。
で、冒頭にも書いたように、ジープが中国企業に渡ることをトランプ氏が黙って見過ごすわけがないわけです。
こんなにアメリカ人に認知されている車です。
もし、生産が中国に移されたら、トランプ氏としても、もう笑えないでしょう。
あと、貿易摩擦で中国とアメリカは問題を抱えているわけですから、こちらの観点からも、ジープを中国に渡すというのはいろいろクリアすべき問題が多いように感じます。
結局、ビジネスとしてはありえるものの、政治的には厳しいというわけです。
このあたり、話し合いが進むなら、トランプ氏あたりをどう納得させていくかなども注目点となるでしょう。
ちなみに、今回の買収で、買収に関心を持っている中国企業は複数あるという話。
上記日経新聞によると、FCAは21日、「長城汽車から打診を受けた事実はない」とのコメントを発表したとのこと。
FCAの16年の販売台数は約460万台。関係者によると、「ジープ」のほか、「クライスラー」などが売却検討の対象事業になっているとされるとのこと。中国では広州汽車集団と組んでおり、一部メディアが広州汽車や東風汽車、浙江吉利控股集団などが買収に関心を寄せていると報じているとのこと。
FCAは21日、「長城汽車から打診を受けた事実はない」とのコメントを発表した
FCAの16年の販売台数は約460万台
関係者によると、「ジープ」のほか、「クライスラー」などが売却検討の対象事業になっているとされる
中国では広州汽車集団と組んでおり、一部メディアが広州汽車や東風汽車、浙江吉利控股集団などが買収に関心を寄せていると報じている
FCA、ジープのゆくえは。要注目です。