あの河合塾がホテルになる。
「予備校がホテルになる」と聞くと、最初に思いつくのはやはり代ゼミ。
代ゼミは多くの校舎を閉鎖しましたが、その後、旧校舎をホテルに転用して儲けるという不動産業にも乗り出しています。
基本的に、大手予備校の校舎というのは、立地がいいわけです。
ホテル運営会社の間でも注目が集まるのも無理はないでしょう。
ただ、今回の話題は、大手予備校は大手予備校でも、代ゼミではなく、河合塾の話となります。
あの河合塾も徐々にホテルへと転じていく可能性はあるのでしょうか。
ティーケーピー(TKP)が河合塾の旧校舎をコンパクトホテルに転用する。TKPは河合塾旧校舎をファーストキャビンと共同で開発、運営。
28日の日経新聞によると、貸会議室運営のティーケーピー(TKP)は大手予備校、河合塾の旧校舎をコンパクトホテルに転用するとのこと。
第1号を今夏、名古屋市に開業するとのこと。簡易宿泊所運営のファーストキャビン(東京・千代田、来海忠男社長)と共同で開発、運営するとのこと。
貸会議室運営のティーケーピー(TKP)は大手予備校、河合塾の旧校舎をコンパクトホテルに転用する
第1号を今夏、名古屋市に開業する
簡易宿泊所運営のファーストキャビン(東京・千代田、来海忠男社長)と共同で開発、運営する
考察: TKPと河合塾は既に10年も提携している。TKPは河合塾の教室を貸し会議室にする事業を進めたが、予備校校舎の選択と集中が進み、ホテル転用へのビジネスモデルが確立されれば、今後はホテル転用が進んで行く可能性がある。予備校校舎は簡易宿泊所へ転じやすいのもポイント。
まず、今回話題のTKPですが、今になって河合塾と提携始めたわけではありません。
TKPと河合塾は、既に10年間提携しています。
TKPと河合塾の提携により、2007年、河合塾の一部教室が、会議室として貸し出す事業が始まったわけです。
予備校の教室には、授業がない日や時間だって、当然あるでしょう。そこを狙ったわけですね。
今後はどうなるか。
少子化、浪人生の減少。
代ゼミの例もあるわけです。
これまでと同じことだけやっていては、予備校としても厳しいでしょう。
場合によっては、予備校は校舎数が多すぎると感じ、校舎の選択と集中が進んでいく可能性も十分あります。
しかし、校舎がホテルに転用されるビジネスモデルが確立されれば、これも予備校にとっては新たなビジネスモデルになるわけです。
今回の旧河合塾校舎ホテル転用がうまくいけば、TKPは河合塾に今後、さらなる提案をしていく可能性があります。
あと、大事なのは、予備校校舎がホテルに転用しやすいという点。
上記日経新聞によると、簡易宿泊所は窓を設置しなくても済むため、予備校校舎をホテルに転用しやすいとのこと。
改装費は約6億円で、年間売上高は3億円程度が見込まれるとのこと。今後3年間で同様のコンパクトホテルを10店舗開設、売上高20億円をめざすとのこと。
簡易宿泊所は窓を設置しなくても済むため、予備校校舎をホテルに転用しやすい
改装費は約6億円で、年間売上高は3億円程度が見込まれる
今後3年間で同様のコンパクトホテルを10店舗開設、売上高20億円をめざす
既にコンパクトホテルを増やしていく計画もあるようです。
なぜTKPは河合塾の旧校舎をホテルに転用するのか。ファーストキャビンとTKPの資本・業務提携でコンパクトホテルと貸し会議室の融合を進めている。
上記日経新聞によると、名古屋駅周辺にある自社の会議室とセットで利用してもらい、企業の研修需要を開拓するとのこと。
TKPはファーストキャビンと3月に資本・業務提携したとのこと。
名古屋駅周辺にある自社の会議室とセットで利用してもらい、企業の研修需要を開拓する
TKPはファーストキャビンと3月に資本・業務提携した
3月とありますが、今年ではないです。正確には「昨年」3月です。
TKPとファーストキャビンは昨年3月に資本・業務提携をしています。
TKPは貸し会議室事業をやっており、ファーストキャビンはコンパクトホテルをやっています。
よって、この両社の提携は、貸し会議室とコンパクトホテルの融合を目指しているものです。
今回は、旧河合校舎のホテル開発、運営を、両社共同でやっていくという話です。さらに、このホテルと、TKPの貸し会議室のセット利用を促しています。
TKPにとっては、2つの面で新たなビジネス機会を探っている形を取っています。
河合塾と10年間提携しているというメリットも活かしているわけです。これはTKPサイドから提供できる価値です。なかなかおもしろい試みであるといえます。
最後に、ファーストキャビンTKP名古屋駅とは、いったいどのようなホテルなのか、ここを確認しておきましょう。
河合塾の旧校舎のホテル化、ファーストキャビンTKP名古屋駅とはどのようなホテルか
上記日経新聞によると、「ファーストキャビンTKP名古屋駅」は全199室で、窓やドアのない簡易宿泊所の形態を取るとのこと。部屋は大きさに応じてファースト、ビジネス、エコノミーの3タイプを用意。
宿泊料金は4500~6500円程度に抑え、カプセルホテルとビジネスホテルの中間の価格帯を狙うとのこと。男性、女性で階を分けており、新入社員研修などに利用しやすくするとのこと。
「ファーストキャビンTKP名古屋駅」は全199室で、窓やドアのない簡易宿泊所の形態を取る
部屋は大きさに応じてファースト、ビジネス、エコノミーの3タイプを用意
宿泊料金は4500~6500円程度に抑え、カプセルホテルとビジネスホテルの中間の価格帯を狙う
男性、女性で階を分けており、新入社員研修などに利用しやすくする
ファーストキャビンTKP名古屋駅の評判はどうなるか。要注目です。