規模がでかく、注目が集まるか。
今回は、ベネッセとパーソルキャリア(旧インテリジェンス)の共同出資会社が、学生と企業を結び付ける専用サイトを開設するという話。
いわゆるスカウト型と呼ばれるサイトで、企業から学生にアプローチできる形のものです。後にも書きますが、職を探す大学生にとって、最近は便利なツールが登場し、以前より有利な状況が続いています。
あと、ちょうどいいタイミングで、リクルートが18年春卒学生の求人倍率を出しましたが(下記参照)、これを見ても、明らかに売り手市場だということが分かります。
今回開設されるサイトは、大学生向けのこの手のサイトの中でも、登録企業数が最大規模となるようです。大学生及び企業の人事部から注目が集まるでしょう。
ベネッセi―キャリアが学生と企業を直接結びつける専用サイトである「DODAキャンパス」を5日に開設。企業が学生に説明会などの参加を直接働きかけられる。「逆求人」や「スカウト型」の大学生向け専用サイト登録企業数で最大規模。
5日の日経新聞によると、ベネッセホールディングス(HD)とパーソルキャリア(旧インテリジェンス)とが共同出資するベネッセi―キャリアが、専用サイト「DODAキャンパス」を5日に開設するとのこと。
同日から学生の登録を始め、9月から本格的にサービスを開始するとのこと。DODAキャンパスは学生と企業を直接結びつける専用サイトで、企業が学生に説明会などの参加を直接働きかけられるとのこと。
2017年度内に8万人の利用を見込むとのこと。パナソニックや日産自動車など約3300社が登録し、17年度中に約4000社まで増やすとのこと。「逆求人」や「スカウト型」と呼ばれる大学生向け専用サイトの登録企業数で最大規模となるとのこと。
ベネッセホールディングス(HD)
転職支援のパーソルキャリア(旧インテリジェンス、東京・千代田)と共同出資するベネッセi―キャリア(東京・新宿)が専用サイト「DODAキャンパス」を5日に開設する
学生と企業を直接結びつける専用サイトを開設
企業が学生に説明会などの参加を直接働きかけられる
同日から学生の登録を始め、9月から本格的にサービスを開始する
DODAキャンパスは学生と企業を直接結びつける専用サイトで、企業が学生に説明会などの参加を直接働きかけられる
2017年度内に8万人の利用を見込む
パナソニックや日産自動車など約3300社が登録し、17年度中に約4000社まで増やす
「逆求人」や「スカウト型」と呼ばれる大学生向け専用サイトの登録企業数で最大規模となる
ベネッセ i-キャリアのDODAキャンパス登場。18年春の求人倍率は1.78で、4年連続の売り手市場。マイナビなど就職情報企業約20社が、履修履歴検索サービスを始めるという話もあったが、これも同様、企業がピンポイントでの人材発掘に力を入れ始めているという意味。
まず今回の話ですが、明らかに売り手市場が続いているという話が前提となっています。
確かに、有効求人倍率を見ても、明らかに今は売り手市場です。
5日の別の日経新聞によると、リクルートがまとめた2018年春卒学生の求人倍率は1.78倍で、売り手市場の目安とされる1.6倍を4年連続で上回ったとしています。
2018年春卒学生の求人倍率は1.78倍で、売り手市場の目安とされる1.6倍を4年連続で上回った
ちなみに4年連続で1.6倍を上回っているわけですが、有効求人倍率そのものは、さらに長い間、増加を続けています。
具体的にはいつからか。
リクルートのデータを確認すると、2011年の後、2012年に下がりました。2012年3月卒は1.23倍。
そして、それから2018年まで、ずっと増加を続けていると分かります。
特にこの4年は売り手市場であり、これがまだ続くと考えられているわけですから、学生にとって有利な状況かつ、逆求人型サービスが充実してきている結果となっています。
少し関連した話で、約1か月ちょい前に、履修履歴検索サービスが登場、マイナビなど就職情報企業約20社がサービスを始めるという話題について私の方でも書きました。
このマイナビなどのサービスの話も同様、企業が気になる学生に声かけしやすくできる方向に動いている一つのいい例といえます。
やはり、売り手市場向けのサービスが拡大してきているといえます。
ベネッセ i-キャリアのDODAキャンパス、具体的にどのようなサイトなのか
DODAキャンパスが、逆求人型のサイトだとは分かりましたが、もう少し具体的に、どのようなサイトなのか、ここを確認しておきましょう。
上記日経新聞によると、学生は1年生から原則無料で登録できるとのこと。個人ページに授業やアルバイト、留学などの経験といった自己アピールや希望業界を記入。自身の思考力や性格を測る診断テストも無料で受けられるとのこと。
企業はサイトに登録すると学生の個人ページを閲覧できるとのこと。学生時代の経験や性格などを見て、自社に入社してほしい人材だけにメールなどでアプローチするとのこと。
具体的には会社説明会やインターンシップ(就業体験)などへの参加を働きかけ、自社への理解を深めてもらい採用面接の応募につなげていくとのこと。
学生は1年生から原則無料で登録できる
個人ページに授業やアルバイト、留学などの経験といった自己アピールや希望業界を記入
自身の思考力や性格を測る診断テストも無料で受けられる
企業はサイトに登録すると学生の個人ページを閲覧できる
学生時代の経験や性格などを見て、自社に入社してほしい人材だけにメールなどでアプローチする
具体的には会社説明会やインターンシップ(就業体験)などへの参加を働きかけ、自社への理解を深めてもらい採用面接の応募につなげていく
やはり、上記で以前書いた履修履歴検索サービスの方向性と同様、企業が自社のニーズにマッチした学生を探し出し、声をかけるという方向性のサイトであると分かります。
おもしろいのは、経験だけでなく、性格なども見るという点でしょう。この学生ならうちに合いそうだなど、性格の面でも確認が入るということになります。
私はこういう経験をしてきた、こんな性格だということを企業に示し、企業から声をかけてきてくれる。不特定多数にメールを送りまくってるわけでもないでしょうから、アプローチされた学生からしたら、けっこう「マッチング感」はあると思います。
なぜベネッセはスカウト型求人サイト(DODAキャンパス)を開設するのか。ベネッセはDODAキャンパスからどのように儲けるのか。
あと、なぜベネッセがスカウト型求人サイトを始めるのか。
これは売り手市場だから、ニーズが高いと判断したからに他なりませんが、あともう一つ、ベネッセという会社について考えてみましょう。
ベネッセは、業績で足を引っ張っている語学事業の構造改革に乗り出しています。
これは私の方でも以前話題にしました。
ベネッセの語学事業は赤字が続き、ここをテコ入れするという話でした。
で、テコ入れと同時に、新規事業の開拓も進めるという話だったわけです。ここには、語学事業はあれですが、ベネッセ全体として、業績がやっと落ち着いてきた感があるという理由もあります。
つまり、ベネッセとしては、赤字の語学事業をテコ入れしている間に、新たな収益源を確保したいわけです。
その一つの例が、今回の話であるともいえるでしょう。
そして、ベネッセはどのように儲けるのか。
上記日経新聞によると、ベネッセHDは成果報酬型の料金体系を採用し、企業側は専用サイトを通じて採用した学生1人あたり30万円を支払うとのこと。
ベネッセHDは成果報酬型の料金体系を採用し、企業側は専用サイトを通じて採用した学生1人あたり30万円を支払う
採用した学生1人で30万円。企業はけっこうなコストを支払います。だから、不特定多数にメールしまくるわけにもいかないでしょう。
コストをかけてでも、企業はこのサービスを使い、欲しい学生確保に動くのかどうか。
DODAキャンパスのゆくえは。要注目です。