今回は、京セラが皮膚がんにAI活用という話。

 

厚生労働省としてもAIの医療活用を推し進めているわけで、このような話は今後間違いなく広がっていくと思われるわけですが、今回個人的により関心を持っているのは、京セラがこれを開発したまでの経緯について。

 

京セラの子会社である京セラコミュニケーションシステムが今回の主役なわけですが、後に書くように、私の認識が正しければ、今回のシステム開発の過程でのポイント、それは、

 

  • 皮膚科専門医である石井亜希子医師がプロトタイプ開発で大きく貢献しているという点
  • 京セラコミュニケーションシステムがAlpacaDBからAIでの画像識別・分類サービスであるLabellioを譲り受けて運用を始めたという点

 

かと思います。

 

プロトタイプを開発したとされる石井亜希子医師がグッドジョブなのは当然でしょう。京セラコミュニケーションシステムに関していえば、システム含め、外部の力を借り、行動に移すセンスがけっこうあるかもしれません。

 

京セラが筑波大学と共同で、人工知能(AI)を使い皮膚がんの疑いを患部の画像から瞬時に判別するシステムを開発

26日の日経新聞によると、京セラは筑波大学と共同で、人工知能(AI)を使い皮膚がんの疑いを患部の画像から瞬時に判別するシステムを開発したとのこと。

 

京セラと筑波大は皮膚がんなど14種類の病気につき4000枚の画像をAIに読み込ませ、「ディープラーニング(深層学習)」の手法で特徴をつかませたとのこと。医師が患部の写真をサーバーに送ると悪性の疑いがあるかを判別するとのこと。京セラ子会社の京セラコミュニケーションシステムの汎用AIシステムを使い、9割前後の正答率を実現したとのこと。

 

  • 京セラは筑波大学と共同で、人工知能(AI)を使い皮膚がんの疑いを患部の画像から瞬時に判別するシステムを開発した

  • デジタルカメラで撮った画像で遠隔から判定でき、専門知識を持つ医師が少ない地域でも病気の見落としを防げる機会が広がる

  • 厚生労働省はAIを使った医療を診療報酬に反映する検討を始めている

  • システムの実用化で医療の質や効率が高まる可能性がある

  • 京セラと筑波大は皮膚がんなど14種類の病気につき4000枚の画像をAIに読み込ませ、「ディープラーニング(深層学習)」の手法で特徴をつかませた

  • 医師が患部の写真をサーバーに送ると悪性の疑いがあるかを判別する

  • 京セラ子会社の京セラコミュニケーションシステム(京都市)の汎用AIシステムを使い、9割前後の正答率を実現した

 

 

京セラの皮膚がんにAI活用、もともとのプロトタイプは石井亜希子医師がLabellioで作ったものか

今回は、京セラコミュニケーションシステムが、筑波大と組み、システムを開発したという話です。9割前後の正答率という話。

 

私の認識が正しければ、もともと、このプロトタイプを作ったのは、皮膚科専門医である、石井亜希子医師です。

 

約1年前、日経BPの記事「機械学習を知らない皮膚科医が、皮膚がんの診断支援AIを試作できたワケ」を読み、おもしろいなと思ったからよく覚えています。

 

石井亜希子医師は、AIなどに詳しいわけではないですが、整形外科専門医である夫の石井壮郎医師がIT面で手伝い、皮膚がんの診断支援AIのプロトタイプを作り出しています。

 

で、この時、石井医師がプロトタイプを作るのに使ったのが、Labellioというディープラーニングによる画像認識モデルの生成サービスとなります。

 

Labellioとはいったい何なのか。それが下記。

 

 

Labellioはもともと、京セラコミュニケーションシステムが米国のAlpacaDB, Inc.から譲り受け、運用開始をしたもの。Labellioは専門知識なしでも良品・不良品を自動で判断するシステムの開発などが可能になる

スポンサーリンク

 

石井医師が使ったLabellio。

 

これ、現在は京セラコミュニケーションシステムが運用していますが、もともとは、AlpacaDBから京セラコミュニケーションシステムが譲り受けたものです。

 

このあたり、譲り受けたセンスはなかなかいいといえます。

 

で、いったいどんなシステムなのか。

 

これはもう、映像で見てもらった方が早いです。京セラコミュニケーションシステム公式の動画を貼っておきます。

 

こんな感じで、画像の識別ができるというものです。

 

残念ながら動画は非公開になりました。

 

こういったのが、専門知識なくして作れるというわけですから、Labellioを使えば、良品・不良品を自動で判断するシステムの開発などが個人でも可能というわけです。

 

Labellioを使って実際、皮膚がん診断支援AIのプロトタイプを作ってみてしまったのが石井医師なわけです。というわけで、まさに拍手ものです。

 

京セラコミュニケーションシステムは、もともとAlpacaDBから譲り受けたものを、もともと医師が作ったプロトタイプをベースに、実用化のためのシステムに仕上げたわけです。というわけで、外部の力を借り、実行に一気に移すというセンスがあるといえるかもしれません。

 

この皮膚がんの疑いを画像から瞬時に判別するシステム、需要はありそうでしょうか。それが下記。

 

 

京セラが皮膚がんの疑いを画像から瞬時に判別するシステムを開発、専門的な技術を持った医師が少ない地域でも病気の見落としを防げる機会が広がるか

上記日経新聞によると、高齢化を背景にがんなどの患者数は増加が見込まれる一方で、専門的な技術を持った医師は限られるとのこと。

 

 

京セラのシステムでは、デジタルカメラで撮った画像で遠隔から判定でき、専門知識を持つ医師が少ない地域でも病気の見落としを防げる機会が広がるとのこと。厚生労働省はAIを使った医療を診療報酬に反映する検討を始めているとのこと。システムの実用化で医療の質や効率が高まる可能性があるとのこと。

 

  • 高齢化を背景にがんなどの患者数は増加が見込まれる一方で、専門的な技術を持った医師は限られる

  • デジタルカメラで撮った画像で遠隔から判定でき、専門知識を持つ医師が少ない地域でも病気の見落としを防げる機会が広がる

  • 厚生労働省はAIを使った医療を診療報酬に反映する検討を始めている

  • システムの実用化で医療の質や効率が高まる可能性がある

 

 

AIの医療活用は広がっている

AIの医療活用は広がっています。今後、実用化の話など、ますます出てくることでしょう。

 

今回の京セラの話もそうですが、AIの医療活用に密接に関わっているのが、医師の不足という問題。

 

例えば、以前、私の方で、内視鏡を使った検査で胃がんなどの病気疑いをAIが判別する技術を実用化させるために、富士フイルムとオリンパスが組んだという話をしました(下記)。

 

[AIがん疑い判別、富士フイルムとオリンパスが組む] AIが、がんの疑いを判定する技術、実用化へ。内視鏡を使った検査、内視鏡の世界大手で連合。ペンタックスは連合に入っていないのか。

 

この時も、内視鏡医の不足という問題が出てきました。

 

医師の不足とAIの医療活用というのは密接に絡み合っているといえます。

 

最後に、京セラは今後、今回開発したシステムをどのように活用していくのか、ここを確認しておきましょう。

 

 

京セラは今後、人工知能(AI)で病気を画像から判別するシステムをどのように活用していくつもりか

上記日経新聞によると、今後緊急性の高い感染症なども判別できるようにするとのこと。タブレットによる撮影画像への対応も検討するとのこと。18年度に医療機関に試作品を提供し、19年度の販売を目指すとのこと。価格は未定だが、導入する病院から導入費用に加え、利用時に料金を受け取る仕組みを想定するとのこと。

 

  • 今後緊急性の高い感染症なども判別できるようにする

  • タブレットによる撮影画像への対応も検討する

  • 18年度に医療機関に試作品を提供し、19年度の販売を目指す

  • 価格は未定だが、導入する病院から導入費用に加え、利用時に料金を受け取る仕組みを想定する

 

このシステムの需要はどうか。要注目です。

スポンサーリンク

スポンサーリンク