研究者にとっては未来の広がる話だと思う。

 

国からの研究費が十分でない研究者に、企業が資金集めの仕組みを提供する動き

日経新聞によると、国からの研究費が十分でない研究者に、企業が資金集めの仕組みを提供する動きが出始めたとのこと。

 

  • 国からの研究費が十分でない研究者に、企業が資金集めの仕組みを提供する動きが出始めた

 

研究には常にお金がかかるものですが、研究費を十分に確保できない研究者は世の中にたくさんいるというもの。そんな研究者に朗報です。

 

上記日経新聞の今回の記事は、主に3つの研究費支援の形が示されています。私のほうでまとめてしまうと、

  1. リバネスが科研費に採択されなかった研究提案をデータベース化し、会員企業に紹介
  2. CAMPFIREが近畿大と提携し、クラウドファンディング活用し、研究費を集める
  3. 専門人材であるファンドレイザーをおいて資金を集める

 

以下、見ていきます。その前に、なぜそもそもこのような動きがでているのか、すなわち、なぜ研究費が足らないのかなどをまとめる必要があります。

 

 

国からの競争的資金である「科学研究費補助金(科研費)」では、申請のうち選ばれるのは2-3割。選ばれなくても優れたアイデアが存在する。

上記日経新聞によると、国からの研究費は公募後に審査して配分する競争的資金の割合が増えているとのこと。「科学研究費補助金(科研費)」はその代表とのこと。毎年9万~10万件の申請のうち選ばれるのは2~3割にとどまるとのこと。優れたアイデアを持つ研究者でも採択されない場合があるとのこと。

 

  • 国からの研究費は公募後に審査して配分する競争的資金の割合が増えている

  • 「科学研究費補助金(科研費)」はその代表

  • 毎年9万~10万件の申請のうち選ばれるのは2~3割にとどまる

  • 優れたアイデアを持つ研究者でも採択されない場合がある

 

申請のうち、2-3割しか選ばれないということで、研究者にとってはつらい現実でしょう。残りの7-8割の研究者でも、優れたアイデアを持っている研究者がおそらくたくさんいる。そういった人たちを救う可能性があるのが、今回の試みです。

 

 

リバネスが科研費に採択されなかった研究提案をデータベース化し、会員企業に紹介

上記日経新聞によると、リバネスは科研費に採択されなかった研究提案をデータベース化し、会員企業に紹介する事業を始めたとのこと。実験機器販売の池田理化、富士通子会社のジー・サーチと共同で立ち上げたとのこと。

 

データベースには220以上の大学・研究機関に所属する570人以上の研究者が登録済みで、会員企業は約200件の研究が閲覧できるとのこと。企業は年会費を払うだけで、最先端のアイデアを参考にできる利点があるとのこと。会員企業には段階を分けて詳しい情報を知らせる仕組みで、アイデアの盗用や盗用疑惑をもたれないよう工夫したとのこと。

 

  • リバネスは科研費に採択されなかった研究提案をデータベース化し、会員企業に紹介する事業を始めた

  • 実験機器販売の池田理化(東京・千代田)、富士通子会社のジー・サーチ(東京・港)と共同で立ち上げた

  • データベースには220以上の大学・研究機関に所属する570人以上の研究者が登録済みで、会員企業は約200件の研究が閲覧できる

  • 企業は年会費を払うだけで、最先端のアイデアを参考にできる利点がある

  • 会員企業には段階を分けて詳しい情報を知らせる仕組みで、アイデアの盗用や盗用疑惑をもたれないよう工夫した

 

これは非常にグッドなアイデアかと思います。企業は研究者がどんな研究をしているのかをぱっと把握できるようになるわけです。この場合、おそらく企業にとって以下の2つの大きな利点があるでしょう。

 

  • イノベーションを起こすきっかけになる
  • 共同研究先を素早く探すきっかけになる

 

他がすごいおもしろいことやっていることを知ることができ、また、そのような独創的なアイデアに触れることで、自らがイノベーションを起こすきっかけにもなるかと思います。

 

そして、一番の利点が、自社と関連してきそうな研究を把握できることです。企業にとっては、この研究はちょっと別方向だが、うちの研究と組み合わせたらおもしろそうだ、と考えるかもしれませんし、この研究はまさしくうちで使える、と、これで共同研究先を探すきっかけになります。やはりここでもイノベーションが起こるきっかけになります。

 

さらにもう一点。特許取得という点でも重要になってくるでしょう。これに関しては、上記日経新聞によると、リバネスの坂本真一郎執行役員は、

 

「早い段階から共同研究をすれば、自社のビジネスモデルにより適した研究になる。事業化が早まるとともに、有用な特許も取得しやすくなる」と説明とのこと。

 

やはり共同研究の提案が素早くできるようになるというのは、メリットですね。

 

さて、もう一つ要注目の研究費集めの形、それがクラウドファンディングです。

 

 

CAMPFIREが近畿大と提携し、クラウドファンディング活用し、研究費を集める。クラウドファンディングで研究費集めは今後増える可能盛大。

上記日経新聞によると、CAMPFIREは今年6月、近大と提携したとのこと。完全養殖に世界で初めて成功した「近大マグロ」のように、一般の興味をひく研究テーマを学内から発掘し、クラウドファンディングで研究費を集めるとのこと。

 

第1弾として健康増進機能を高めたハチミツを作る「近大ハニー」事業の資金を集めたとのこと。CAMPFIREの家入一真社長は「ほかにも複数の大学と話を進めている。年内にもまとめたい」と話すとのこと。

 

  • CAMPFIREは今年6月、近大と提携

  • 完全養殖に世界で初めて成功した「近大マグロ」のように、一般の興味をひく研究テーマを学内から発掘

  • クラウドファンディングで研究費を集める

  • 第1弾として健康増進機能を高めたハチミツを作る「近大ハニー」事業の資金を集めた

  • CAMPFIREの家入一真社長は「ほかにも複数の大学と話を進めている。年内にもまとめたい」と話す

 

クラウドファンディング。いろんなファンディングが存在しますが、ここで研究者の研究資金を集める。これは実におもしろい。

 

近畿大学が既にやったようですが、さすが人気大学になった近畿大学。やることがけっこう早いです。

 

クラウドファンディングなら、一般の方に興味を持ってもらいさえすれば、資金を集めることができます。これは新しい形の資金集めですから、他の大学もこういったやり方で一般の方と接点を持つということを検討していただきたいところです。

 

 

専門人材であるファンドレイザーをおいて資金を集める

上記日経新聞によると、寄付集めの専門人材である「ファンドレイザー」を置き、大学の寄付システムの構築や基金の運営などに役立てている大学も増えているとのこと。例として山中伸弥氏が所長を務める京都大学iPS細胞研究所は、2013年からファンドレイザーを雇用しているとのこと。

 

  • 寄付集めの専門人材である「ファンドレイザー」を置き、大学の寄付システムの構築や基金の運営などに役立てている大学も増えている

  • 例として山中伸弥氏が所長を務める京都大学iPS細胞研究所は、2013年からファンドレイザーを雇用している

 

ファンドレイザーの知名度が上がるのはこれからだと思います。今後、どのように知名度を上げていくかにも注目が集まります。

 

研究者を埋もれさせないよう、いろいろな試みが今後広がっていくといいですね。

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