日本郵政の野村不動産買収は白紙へ。

 

5月12日

 

日本郵政が野村不動産買収へ向け、TOBを行うこと方向で本格的な検討に入ったと報じられた日です。

 

私の方でも話が出た当初、記事として扱いました。

 

[日本郵政が野村不動産買収へ] 日本郵政の経営陣は、野村不動産に以前から関心。分譲に強いが、サ高住参入が決まったばかりの野村不動産、TOBのゆくえは。

 

上記記事では、野村不動産のサ高住についての話題と、TOBが成功すれば、日本郵政がサ高住をするかもしれないという点、そして、日本郵政の新たな経営陣のもとでの別角度からの買収アプローチという話をしていました。

 

その後、野村不動産買収についてはイエスともノーともいわず、多くを語らなかった日本郵政(下記でのあの微妙な発言を除いては)。

 

今回は、日本郵政の野村不動産買収が白紙になったという話。

 

 

日本郵政が検討していた野村不動産ホールディングスの買収交渉が白紙へ。日本郵政、野村不動産買収の条件面で折り合えず。

17日の日経新聞によると、日本郵政が検討していた野村不動産ホールディングスの買収交渉が白紙になる見通しとなったとのこと。

 

不動産事業の強化をにらみ、野村不の開発ノウハウを取り込もうとしたが、条件面で折り合えなかったもようだとのこと。直近では日本郵政による野村不の資産査定の手続きが止まっていたとのこと。日本郵政は買収で郵便事業の低迷打開を狙ったが、新たな対策を迫られるとのこと。

 

  • 日本郵政が検討していた野村不動産ホールディングスの買収交渉が白紙になる見通しとなった

  • 不動産事業の強化をにらみ、野村不の開発ノウハウを取り込もうとしたが、条件面で折り合えなかったもようだ

  • 直近では日本郵政による野村不の資産査定の手続きが止まっていた

  • 日本郵政は買収で郵便事業の低迷打開を狙ったが、新たな対策を迫られる

 

 

日本郵政の長門正貢社長のM&A戦略「トーンダウンさせる」、高値づかみになる買収には「一切踏み出さない」という発言は、意味深なジャブであり、微妙だった。確かに野村不動産株は上がり過ぎていたので、野村不動産の高値づかみはなくなったが、いつから野村不動産買収をしない意向を固めていたのか。

日本郵政の野村不動産買収交渉白紙。

 

きてしまったか、というのが正直なところ。同時に、日本郵政社長のコメントを思い起こします。

 

日本郵政社長の以前のコメント、実に意味深なジャブでした。

 

上記日経新聞によると、日本郵政の長門正貢社長は6月上旬の日本経済新聞のインタビューで、M&A(合併・買収)戦略について「予断なく考えたいと言ってきたが、トーンダウンさせる」と語っていたとのこと。

 

  • 日本郵政の長門正貢社長は6月上旬の日本経済新聞のインタビューで、M&A(合併・買収)戦略について「予断なく考えたいと言ってきたが、トーンダウンさせる」と語っていた

 

これは今から約1週間前の日経とのインタビューでの発言。

 

この際の発言で個人的に特にポイントだと思った点を列挙してみましょう。

 

  1. M&Aについて、予断なく考えたいと言ってきたものの、トーンダウンさせる、という点
  2. 野村不動産の買収交渉については今の段階で何もお話しすることはない、という点
  3. 高値づかみになる買収には一切踏み出さない、と強調した点

 

ここで重要なのは、インタビュー前に野村不動産株がかなりの高値に既になっていたという点。

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5月12日、終値2028円。

 

6月8日、終値2385円。

 

買収報道があり、この9日のインタビューまでに、実に17.6%も野村不動産の株価は上がっていたわけです。

 

確かに高い

 

そして、買収交渉をしておきながらも、これを見て同時にびびってもいたというのが実際のところでしょう。

 

なぜびびったか。

 

オーストラリアの物流大手を高値で買った悪名高き実績があるものだから、同じ失敗は繰り返したくないとなったわけです。

 

しかし、です。

 

2つめのポイントのように、野村不動産についてはノーコメントです、という発言をしておきながら、1つめと3つめのポイントにあるように、あたかも野村不動産は高くなりすぎて買えないよとも読み取れるような発言をしているわけです。

 

要するにこの社長は、意味深なジャブを出していたわけです。

 

なぜこのような意味深な発言を買収交渉中にしたのか

 

いつの段階から日本郵政は野村不動産を買収しない意向を固めていたのか

 

このあたりの真相はきっちり説明していただきたく思います。

 

日本郵政にとってはとりあえず高値づかみはなくなりました。ただ、今回の買収交渉もある程度時間をかけて決裂しているわけですし、買収の仕方そのものについて一度考え直した方がいいでしょう(市場との対話含め)。

 

最後に、なぜ日本郵政は野村不動産を買収しようとしていたのか、また、なぜ日本郵政は野村不動産買収を諦めたのか、このあたりを確認しておきましょう。

 

 

なぜ日本郵政は野村不動産を買収しようとしていたのか。なぜ日本郵政は野村不動産買収を諦めたのか。

上記日経新聞によると、郵政は直営郵便局を2万局持ち、不動産を多く保有するとのこと。分譲マンション事業を手掛ける野村不にも都心の一等地の物件を多く持つ郵政との協業にはメリットがあるとされていたとのこと。ビル賃貸事業では三井不動産や三菱地所の後じんを拝しており、郵政傘下入りが起爆剤になるとの見方も出ていたとのこと。

 

ただ郵政は2017年3月期決算で民営化後初の連結最終赤字に転落15年に買収した豪物流子会社で4千億円の損失が発生したのが響いたとのこと。買収戦略に慎重さを求める声が投資家らから出ていたとのこと。

 

買収検討が伝わってから野村不HDの株価は上昇し、一部では買収金額が高まる高値づかみになるとの指摘も出ていた。

 

  • 郵政は直営郵便局を2万局持ち、不動産を多く保有する

  • 分譲マンション事業を手掛ける野村不にも都心の一等地の物件を多く持つ郵政との協業にはメリットがあるとされていた

  • ビル賃貸事業では三井不動産や三菱地所の後じんを拝しており、郵政傘下入りが起爆剤になるとの見方も出ていた

  • ただ郵政は2017年3月期決算で民営化後初の連結最終赤字に転落

  • 15年に買収した豪物流子会社で4千億円の損失が発生したのが響いた

  • 買収戦略に慎重さを求める声が投資家らから出ていた

  • 買収検討が伝わってから野村不HDの株価は上昇し、一部では買収金額が高まる高値づかみになるとの指摘も出ていた

 

野村不動産株の上昇とオーストラリア物流会社の話は上記でも述べました。

 

おもしろい案件だっただけに、このような結果になったのは非常に残念であるともいえます。日本郵政は買収戦略練り直しです。野村不動産は今後も自ら競合他社と対峙していく必要があります。

 

日本郵政のゆくえは、野村不動産のゆくえは。要注目です。

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