実店舗とネット通販の融合は拡大する。
今回は、丸井グループが試着品だけの売り場を10店舗超で導入するという話。
以前には考えられないような話ですが、実店舗とネット通販との融合が起こっている今日、この手の話はますます増えていくでしょう。
自分のサイズは分かっていても、ちょっと試して来てみたら、思った以上にきつかった、とか、イメージと違った、なんてことはよくあることです。
実店舗でフィット感を試すことができる、まさにこれは、実店舗を持っている衣料品会社がネット専業の会社よりも優れている点であります。
でも、わざわざ顧客が目の前にいるわけだから、買いたい顧客がいるならば、気が変わってしまう前に、その場でそのまま買ってもらった方がいいのでは?という考えもあるでしょう。
ただ、その場で売らないメリットというのもけっこう存在します。
下記でも書くように、数ある中でも、試着オンリーのメリットとして私が特に注目しているのは、
- ポイント1: 試着品はあることから、必ず試着できる
- ポイント2: 手荷物がなくなることで、関連買いも盛んになる
- ポイント3: 在庫がないことによるスペース減
これら3つは注目点といえます。
丸井グループが試着用の衣料品と靴だけを置く売り場を有楽町や横浜など10店舗超に導入、プライベートブランド対象。
18日の日経新聞によると、丸井グループは試着用の衣料品と靴だけを置く売り場を来春までに東京の有楽町や横浜など10店舗超に導入するとのこと。
靴とパンツのプライベートブランド(PB=自主企画)商品である、「ラクチン」シリーズが対象で、女性向けの試着品だけを置いた売り場をマルイ各店に導入するとのこと。消費者は商品を試したうえでネット上で購入できるとのこと。
現在、東京・吉祥寺、静岡市、千葉県柏市の各店で試験導入しており、来春までに横浜市、さいたま市などの10店舗超に広げるとのこと。販売効果を検証して店舗数を増やしたり、紳士向けシャツやスラックスなどを加えることも検討するとのこと。
丸井グループは試着用の衣料品と靴だけを置く売り場を来春までに東京の有楽町や横浜など10店舗超に導入する
プライベートブランド(PB=自主企画)商品が対象で、消費者は商品を試したうえでネット上で購入できる
丸井は靴とパンツのPB「ラクチン」シリーズで女性向けの試着品だけを置いた売り場をマルイ各店に導入
現在、東京・吉祥寺、静岡市、千葉県柏市の各店で試験導入しており、来春までに横浜市、さいたま市などの10店舗超に広げる
販売効果を検証して店舗数を増やしたり、紳士向けシャツやスラックスなどを加えることも検討する。
ポイント1 丸井の試着品だけの売り場、試着品はあるから必ず試着できる
まず最初のポイント。試着品はあるから必ず試着できるという点。
試着専用なんだから、そんなのあたりまえじゃないかとも思われる方もいるでしょうが、「案外」重要なポイントです。
例えば、気に入った服があって、この一つ下(または上)のサイズを試したいと思ってはみたものの、残念ながら在庫がありません、と言われることってたまにありますよね。
注文すれば後日届くみたいな話をしてくれることもありますが、後日ってのもなぁと感じますね(しかも、それが気に入るとは分からない)。
ただ、試着品だけとなると、試着品が買われることはないわけです。よって、必ず試着品は全サイズそろっているわけです。
というわけで、必ず試すことができます。
試すことができなかったから、買えなかったという損失を減らすことができます。
ポイント2 丸井の試着品だけの売り場、手荷物がなくなることで、関連買いも盛んになる
ショッピングをしていくと、たまにどんどんかさばっていきますね。
しかも、何か予定がある前にショッピングに立ち寄ったりすると、その後、ロッカーに預けることを検討する必要がでたり、人の多い電車でたくさん荷物を持って面倒だと感じることもあるわけで、都合が悪いことも多いです。
では、ネット通販ですべてやればいいじゃないかともなりそうですが、やはり服でのフィット感を重視する人も多いでしょう。というわけで、試着できるという点、ここはまさにここが実店舗が有利なわけです。
で、今回は、試着した商品を、後日配送してくれるという話。
これなら楽だと感じる人も多いことでしょう。
しかも、かさばる感がないので、こんなに買ったら持って帰るのが大変だ、なんて心配をする必要もなく、関連商品にも手を伸ばして買ってしまう可能性もあります。売り手としてのメリットはけっこうあります。
上記日経新聞によると、消費者は売り場でサイズや色を確認し、店頭のタブレットを使い注文するとのこと。自分のスマートフォン(スマホ)で後日注文することも可能とのこと。丸井は注文を受けてから最短2日で顧客が指定した場所に配送するとのこと。送料は靴は無料、アパレルは3千円以上で無料とするとのこと。返品も受け付けるとのこと。
ブーツやハイヒールなどはかさばるため持ち帰りたくない消費者は多いというとのこと。店頭でサイズや色合いを確認できれば、ネット通販で同じ商品を次回も購入してもらえると同社ではみているとのこと。
消費者は売り場でサイズや色を確認し、店頭のタブレットを使い注文する
自分のスマートフォン(スマホ)で後日注文することも可能
丸井は注文を受けてから最短2日で顧客が指定した場所に配送する
送料は靴は無料、アパレルは3千円以上で無料とするとのこと。返品も受け付ける
ブーツやハイヒールなどはかさばるため持ち帰りたくない消費者は多いという
店頭でサイズや色合いを確認できれば、ネット通販で同じ商品を次回も購入してもらえると同社ではみている
靴の配送無料は大きなメリットですね。服は、3千円以上で無料なら、3千円以上やはり買ってしまうでしょう。
ポイント3 丸井の試着品だけの売り場、在庫がないことによるスペース減
3つ目のポイント。
試着品だけで在庫がないので、実店舗のスペースを減らすことができるという点。
これは最大のメリットかもしれません。
在庫を積み上げていない分、売り場面積を減らせる。減らせた分は、有効活用することで、収益化などができる。
あと、私もアパレルの知り合い何人かいますけど、聞いてると、やっぱ在庫品を管理したりするのって相当時間が取られてきついみたいです。在庫が多ければ多くなるほど、そうなりますね。
試着品だけなら、従業員にとっても管理がしやくすなる可能性があります。
上記日経新聞によると、店舗内に商品在庫を置かない場合、売り場面積は約80平方メートルと従来より約3割減らせるとのこと。空いたスペースをテナントに貸すなど有効活用できるほか、納品作業などの負担もなくせるとのこと。
店舗内に商品在庫を置かない場合、売り場面積は約80平方メートルと従来より約3割減らせる
空いたスペースをテナントに貸すなど有効活用できるほか、納品作業などの負担もなくせる
3割というのはものすごい大きな数字。
こんなに減らせるなら、売り手としてのメリットはありそうですね。
丸井の試着品だけの売り場のゆくえは。要注目です。