KDA監査法人はピンチ。

 

金融庁がKDA監査法人に業務改善命令

日経新聞によると、12日、業務運営などに問題があったとして、KDA監査法人に対して業務改善命令を出したとのこと。複数の上場会社の監査業務において十分に検証を行わないなど、監査体制に不備があったとのこと。

 

  • 金融庁は12日、業務運営などに問題があったとしてKDA監査法人(東京・中央)に対して業務改善命令

  • 複数の上場会社の監査業務において十分に検証を行わないなど、監査体制に不備があった

 

私の方では以前、以下の記事で、中小監査法人の監査の質がいいとは限らないということを書きました。

[大手監査法人検査強化へ] 四大監査法人を毎年検査、検査強化。監査審査会が検査基本計画に盛り込む。大手だからこそ問題起こすなということか

 

今回は、KDA監査法人の業務改善命令。もうちょっと詳しく検証してみましょう。

 

 

なぜ金融庁は、KDA監査法人の運営が著しく不当なものと認めたのか

金融庁の公式の文書である、監査法人の処分についてによると、金融庁は今回、KDA監査法人の運営が著しく不当なものであると認めています。

 

具体的な内容はそちらに長く書かれていますが、特に私が関心をもった箇所数点を抜粋します。けっこう厳しく書かれてあります

 

  • 監査契約の新規締結及び更新、監査実施者の教育・訓練及び選任、監査業務に係る審査、定期的な検証など品質管理全般に多くの不備が認められている

  • 重要な手続に多くの不備が認められている

  • 監査現場での監査補助者への指導も十分に行っていない

  • 当監査法人の品質管理態勢は極めて不十分

  • 被監査会社の主張を批判的に評価していない

  • 職業的懐疑心を十分に保持・発揮していない

  • 現行の監査の基準で要求される水準を十分に理解していない

  • 重要な営業損失、マイナスの営業キャッシュ・フロー、主要な得意先の喪失等、監査の基準に例示されている継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が複数存在することを監査チームは認識しているにもかかわらず、当該事象又は状況は識別していないとする経営者の主張の妥当性を検討していない

  • 監査手続の見直し等を検討していない

  • 複数の監査業務において重要な監査手続を行うことなく監査を終了させており、監査の基準に準拠していない監査手続が広範かつ多数認められている

  • 批判的に検討せずに、監査チームの実施した監査手続及びその結果や判断を容認している

  • 当監査法人の審査態勢は、極めて不十分である

  • 改善措置を行ったとしているが、指摘の趣旨を十分に理解せずに、研修による周知や、改善事項チェックリストによる点検等の指示を行っているなど形式的な対応にとどまっており、実効性ある改善措置がとられていない

  • 多数の監査調書の不備や、継続企業の前提に係る検討において、監査チームが被監査会社の事業計画を検証していないといった重要な不備を指摘できていない

  • このように、当監査法人の改善に向けた取組は実効性がなく、極めて不十分である

 

 

KDA監査法人は金融庁を怒らせた

上記、いろいろ書かれているわけですが、これを見る限り、金融庁がブチギレているのはよくわかるでしょう。

 

ポイントは、日本公認会計士協会による品質管理レビューでの指摘という指導があったのにも関わらず、この趣旨を十分に理解しないまま、実効的な改善をしなかった、という点。

 

もっとちゃんと見直せよ、と。

 

あと、極めて不十分、という言葉がたまにでてきますが、これなんてもうお怒りの頂点の言葉でしょう。

 

あと、継続企業の前提あたりは、監査法人としては厳しくチェックしてもらわないと困るわけですが、どうもそういうのも甘かったと。

 

というわけで、不備があったわけですから、投資家の方はよく頭にいれておく必要があります。

 

今後改善されるのか、注目です。

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