ソニーは頭が痛い。
ソニーの中国広東省広州市の工場で従業員による大規模なストライキが発生。ソニーの4千人を抱える工場で生産が中止に追い込まれる事態となった。
日経新聞によると、ソニーの中国広東省広州市の工場で、従業員による大規模なストライキが発生していることが22日までに分かったとのこと。
4千人を抱える工場で生産が中止に追い込まれる事態となったとのこと。中国では待遇改善だけでなく、撤退に絡んでも日本の大手企業を狙うストが相次ぐとのこと。
ソニーの中国広東省広州市の工場で、従業員による大規模なストライキが発生していることが22日までに分かった
4千人を抱える工場で生産が中止に追い込まれる事態となった
中国では待遇改善だけでなく、撤退に絡んでも日本の大手企業を狙うストが相次ぐ
中国での日本企業への大規模なストライキ。場所は中国広東省。広東省といえば、世界の工場として知られています。ただ、近年中国広東省で労務交渉が非常に多く感じます。そして、下記でも書いていきますが、その質に注目する必要があります。
まずは、ソニー中国従業員がなぜストライキをしているのか、そして彼らの声を見てみましょう。これを見る限り、相当やっかいな感じです。
なぜソニー中国広州市の従業員はストライキをしているのか。ソニー中国広州市の従業員の要求は補償金か。
上記日経新聞によると、7日、ソニーは広州市にあるカメラ部品の工場を約100億円で中国企業に売却し、同工場から完全に撤退する計画を発表したとのこと。足元で4千人もの雇用をもたらしているとのこと。
上記日経新聞から、ソニー中国広州市の従業員の声をいくつか紹介します。
- 「我々はソニーの社員だ!」
- 「何の説明もなく勝手に中国企業に工場を売るな!」
- 「デモが嫌なら補償金をよこせ!」
- 「ソニーが撤退すると聞いて驚いたけど、リーダーの人から、ストに参加したら、ソニーは有名な大きな会社なので多額の補償金がもらえると聞き、よく分からないけど参加した」
広州市にあるカメラ部品の工場を約100億円で中国企業に売却し、同工場から完全に撤退
足元で4千人もの雇用をもたらしている
「我々はソニーの社員だ!」
「何の説明もなく勝手に中国企業に工場を売るな!」
「デモが嫌なら補償金をよこせ!」
ストライキすれば結果としてお金がもらえると思っているからストライキしている人が多くいるのでしょうか。そして、今回やっかいな点。それは、ソニーは補償金を支払う必要がないのに補償金を要求されているという点でしょう。
ソニー中国広東広州市工場の従業員は全て売却先の中国企業に引き継ぐとしている。今回、ソニー側に非はなく、補償金を支払う必要もない。
上記日経新聞によると、従業員は全て売却先の中国企業に引き継ぐとしており、ソニーに特段の非があるわけではないとのこと。
労働契約法第33条は「雇用単位が名称、法定代表者、主たる責任者又は投資家等の事項を変更することは、労働契約の履行に影響しない」と規定。今回は売却で雇用主が変わるだけであるため、ソニーは従業員に経済的な補償は一切行わなくていいとのこと。
従業員は全て売却先の中国企業に引き継ぐとしており、ソニーに特段の非があるわけではない
労働契約法第33条は「雇用単位が名称、法定代表者、主たる責任者又は投資家等の事項を変更することは、労働契約の履行に影響しない」と規定
今回は売却で雇用主が変わるだけであるため、ソニーは従業員に経済的な補償は一切行わなくていい
というわけで、本来補償金なんて支払わくてもいいという結論。しかしながら、現実はこのような要求をのんで支払ってきた日本企業が多いようです。なぜか。
上記日経新聞によると、従業員に騒ぎ続けられるよりも、補償金で解決するなら、それで収拾してしまいたいというのが企業側の考えとのこと。
従業員に騒ぎ続けられるよりも、補償金で解決するなら、それで収拾してしまいたいというのが企業側の考え
しかし、これでは正式なルールにのっとったものではないし、ストライキすれば金が入るという循環になってしまいます。
中国での日本企業を標的にした主なデモやストライキ。広東省での日本企業をターゲットにしたストライキが近年多い。
上記日経新聞が、近年の中国での日本企業を標的にした主なデモやストライキを5件まとめています。下記、日経新聞で示されているデモ、ストライキをまとめてみます。
- 2010年5月 ホンダ 広東省仏山市など
- 2012年1月 三洋電機(当時) 広東省深圳市
- 2012年9月 パナソニック 山東省青島市など
- 2015年2月 シチズンホールディングス 広東省広州市
- 2016年11月 ソニー 広東省広州市
こう見てみますと。上記5件のうち、4件が広東州です。やはり、日本企業に対する広東州での大規模なストライキが多い。
ちなみに、今回のソニー工場がある広東省広州市というのは、昨年話題になったあのやっかいなシチズンのストと同じ地域です。
なお、以前、日経新聞で2016年の広東省の最低賃金上げが見送りになったという話題がありました。大きな危機があるわけではなかったのに、です。賃金そのものが急上昇しすぎて「世界の工場」の魅力が落ちているのかもしれません。
さらに、企業は、最低賃金が高くなっただけでなく、今回のような補償金要求みたいなストライキが起こってくると、別の意味でのリスクを抱えることとなります。
ソニーの対応に注目が集まると同時に、他の日本企業もこの問題を要注視していく必要があるといえるでしょう。
[更新] ソニーは大規模なストライキにより、すでに2週間にわたり生産が全面的に停止。週内に仕事場に復帰しない場合は強制解雇に踏み切る。
日経新聞が更新したところ、既に2週間にわたり生産が中止しているとのこと。週内に仕事場に復帰しない場合は強制解雇に踏み切るとのこと。
既に2週間にわたり生産が中止
週内に仕事場に復帰しない場合は強制解雇に踏み切る
というわけで、ストライキは中止になるのかどうなのか。