この組み合わせはまさに大穴。
話の前提: 東芝が半導体過半数売却へ。20%の上限がない形での入札。
原子力事業の損失で半導体事業を売却という状況になった東芝。
私の方でもかなりの数の東芝関連記事を書きました。以下の記事はわりとまとまっています。
上記記事では、当初東芝は過半数出資にこだわっていたものの、これでは魅力が乏しかったなどの理由より、このこだわりを捨てたという話となっています。これにより、買いたい企業が群がってくるはずだとしています。
東芝半導体の新会社への入札で、いろいろな企業が名乗りをあげています。その中でも、鴻海と韓国のSKという、「注目の」2社の企みについてが今回の話。
東芝の半導体メモリー新会社への出資で、台湾の鴻海(ホンハイ)が韓国のSKハイニックスに共同出資を打診。SKハイニックスは金融機関と組むことも検討。
日経新聞によると、東芝の半導体メモリー新会社への出資で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が韓国メモリー大手SKハイニックスに共同出資を打診していることが8日わかったとのこと。関係者が明らかにしたとのこと。
ハイニックスは投資ファンドなど緊急機関と組んで応札することも検討しているもようとのこと。
東芝の半導体メモリー新会社への出資を巡り、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が韓国メモリー大手SKハイニックスに共同出資を打診していることが8日わかった
関係者が明らかにした。
投資ファンドなど金融機関と組んで応札することも検討しているとみられる
考察: 鴻海はシャープ人材流出を食い止められなかった事実が重い。鴻海・SKハイニックスという2社の組み合わせでの買収は大穴。
鴻海・SKハイニックスという組み合わせ。SKハイニックスはファンドとも話し合っているとある通り、この2社が共同出資するかどうかは不明。
仮に組んだとしましょう。買収できるか。東芝を口説き落とす秘策がないと仮定すると、個人的には大穴だと思ってます。どういうことか。今回は、鴻海が声をかけている側なので、鴻海の話に終始しましょう。
鴻海がシャープ買収して何が起こったか。
人材流出です。
私は下記の記事を書いています。
日本電産がごっそり引き抜いたのが転機になり、その後も人材流出で苦労しているという話です。
私が鴻海サイドではない側のアドバイザーなら、この点について、しつこいぐらい強調すると思います。それぐらいどきつい一撃を加えることができる話です。
要するに、です。
技術の国外流出うんぬんという議論がありますが、それ以前に、人材が流出したらどうするんですか、と。
だから、ここを突かれる可能性のある鴻海は大穴。金額だけじゃないですよ、企業を買うというのは。
仮にこれが話題にならなかったりしても、出資してから人材がバンバン抜けていくことがあったりしたら、どれだけ恐ろしいことでしょうか。結局このあたりもしっかり東芝には考えてもらわないといけない。
ただ、鴻海は現実的にはまだ攻め方はいくらでもあります。また別のやり方で鴻海が攻めてきたら、その時またコメントしましょう。
なぜ鴻海は韓国のSKハイニックスに東芝半導体メモリー新会社への共同出資を打診したのか
上記日経新聞によると、鴻海は、メモリーを手がけるハイニックスと組むことで同事業の経営をスムーズに引き継げるほか、資金力を補完できると判断したとのこと。
鴻海はSKグループの持ち株会社に約3.5%出資しており、トップ同士も親交があるとのこと。
メモリーを手がけるハイニックスと組むことで同事業の経営をスムーズに引き継げるほか、資金力を補完できると判断した
鴻海はSKグループの持ち株会社に約3.5%出資しており、トップ同士も親交がある
鴻海がどうしても欲しいというのは分かります。しかし、この連合はちょっと微妙。何か東芝を口説き落とす秘策があるのかどうか。
韓国のSKハイニックスは鴻海と共同で東芝半導体新会社へ応札するのかどうか
上記日経新聞によると、関係者曰く、ハイニックス側は「鴻海と共同で応札すると決まってはいない」とし、鴻海の提案を慎重に検討する構えとのこと。
ハイニックスはNAND型フラッシュメモリーの技術革新で先行する東芝のノウハウを取り込んでメモリー事業の拡大をめざすとのこと。
ハイニックス側は「鴻海と共同で応札すると決まってはいない」(関係者)とし、鴻海の提案を慎重に検討する構え
ハイニックスはNAND型フラッシュメモリーの技術革新で先行する東芝のノウハウを取り込んでメモリー事業の拡大をめざす
ハイニックスは鴻海と組むべきか、独自の買収を展開するべきか。トップ同士が親交あるわけですし、ハイニックスサイドとしては、かなり悩ましいところでしょう。
今後の両社の動きに注目です。