Lixilグループ、巨額ののれん代と商標権の計上。

 

まずはこれまでの経緯を振り返って、どうして巨額ののれん代があるのかを整理し、考察してみましょう。

 

Lixilグループは日本を代表する巨大企業

Lixilグループ。2011年に、トステム、INAX、親日軽、東洋エクステリアが合併することによりできた巨大企業。元GEの藤森氏を筆頭に、M&Aを続け、株式市場でも大人気の企業でした。なお、私の親戚はLixilグループで働いており、けっこういいポジションにいるという噂。私はこの親戚とはもう長いこと話していないのですが、当時イケイケだったLixilに勤めているということで、個人的にはなんだかうれしい気持ちがありました。元気にしているのでしょうか。というわけで、以下、いろいろ書いていきますが、私は決してLixilのアンチではなくてむしろ応援したい側ですが、あくまで客観的に見ていきます。

 

 

Grohe (グローエ)に手をつけたあたりでLixilのイケイケ度はマックスに

Grohe(グローエ)。ドイツに住んでいた私は当然知っているドイツの超有名企業。このGrohe(グローエ)に2014年、手をつけたLixil。まさか日本企業がGrohe(グローエ)ほどの企業に手を出す日が来たのかと当時わくわくしたぐらいです。2015年4月には、Grohe(グローエ)への出資比率を上げて、子会社化します。ドイツのメディアでもよくでてました。

 

 

Lixilグループの転機: ジョウユウの不正会計

イケイケだったかに思えたLixilグループ。転機が。Grohe(グローエ)中国子会社のジョウユウ(あの昔有名になった人じゃありません)の不正会計が発覚します。

 

で、問題のこのいつ発覚したのか。

 

なんと、2015年4月。それはまさにGrohe(グローエ)への出資比率を上げ、子会社化した月。Lixilにとってはあまりにも衝撃なタイミングでもあります。だって買った直後ですから。その2か月後、特別損失に関しての公表をします。これ、どういうことかというと、

 

Grohe(グローエ)を買えてよかった、いよいよ世界のLixilになるぞ 
→ ジョウユウ不正会計発覚。特別損失へ。 
→ 買ったって、不正会計見抜けんのに買ったんかい

 

と、Lixilの評価が落ちてしまったわけですね。

 

 

瀬戸氏がCEOへ

その後、ヘインズ氏解任などいろいろあり、事実上の藤森氏の後継者とされる、瀬戸欣哉氏が2016年6月よりCEOになり、新しいLixilを作ろうとしているわけです。ちなみに瀬戸氏は、MonotaRO(モノタロウ)会長としても活躍もされており、カリスマ藤森氏の後継者ということで、相当な期待がかかっている方です。

 

 

LIXIL、のれん代と商標権5.4倍

さて、以下、6月25日の日経新聞の記事をまとめ、考察していきます。

 

日経新聞によれば、Lixilののれん代と商標権は、

自己資本(5248億円)の74%に相当する3861億円に達し、前の期末から5.4倍に膨らんだ

 

としています。うほ、多いですね。いちよう自分で確認してみます。以下、自分で確認したのれん代と商標権の数字を載せておきます。

 

2015年3月末 のれんと商標権 71,871百万円

2016年3月末 のれんと商標権 386,185百万円

Lixil有価証券報告書のデータを参考

 

というわけで、3861億円、むしろ3862億円に近い額ですね。しかし増えましたね。5.37倍。確かにほんとに5.4倍になってます。

 

内訳は

さて、3861億円の内訳ですが、上記日経新聞によれば、

3861億円のうち、グローエ分が3293億円で、全体の85%を占める。残りの大半はイタリアの建材子会社ペルマスティリーザ(201億円)、米衛生陶器子会社のアメリカンスタンダード(311億円)でいずれも藤森義明前社長の時に買収した。

 

というわけで、85%がグローエ。

 

 

急増したのは子会社化したから

あたりまえといえばあたりまえですが、冒頭で書きましたように、Lixilは2015年4月に、Grohe(グローエ)への出資比率を上げて子会社化しました。持分法適用じゃなくなったわけですから、のれんが増えたわけです。で、Grohe(グローエ)っていう超巨大会社を子会社化したわけですから、当然の結果ではあります。

 

 

怖いのは減損

私は前の会社で減損とかの仕事やる機会も多かったんで、個人的に好きなテーマでもあるんですが、今回の件でやっぱキーは減損の可能性でしょう。これに関して、上記日経新聞の示唆が大変参考になります。

水回り設備市場の期待成長率は16年3月期末で2.8%だったが4ポイント低下するなどの状況変化で減損損失が発生するという

 

結局、水回り設備市場の成長率が期待通りにいくか、ここがミソでしょう。

 

 

そもそもなんでGrohe(グローエ)を買ったのかを再度考える

さて、なんでGrohe(グローエ)買ったんでしょうか。それがこちらの一文。

LIXILウォーターテクノロジーは、各社毎に経営してきた水回り設 備事業を世界的に統合し、一つの事業グループとして経営するものであり、欧州及びアジアを中心に世界的な 販売網を有するGROHEグループは、LIXILウォーターテクノロジーにおいても重要な役割を担うこと を想定

Lixilの有価証券報告書より

 

Lixilは水回り設備事業を世界的に統合することで、Grohe(グローエ)との相乗効果をだすわけです。この統合がうまくいくか、これまではどうなのか、今後の計画はどうなっているのか、進行具合など、いろいろ気になるところ。うまくいってなかったら。。。どうなるか考えてみてください。

 

逆に、うまくいっていて、事業統合で効率的に世界戦略を推し進めることができるのならば、Lixilは復活していくでしょう。新CEOの瀬戸氏におかれましては、のれんの重しもさることながら、そのプレッシャーはさらに重いような気がします。瀬戸氏の手腕に期待です。

スポンサーリンク