アメリカのダラスで起こったスナイパー襲撃事件。5名の警官が亡くなりました。警官がこれまでにしてきたこと、人種差別問題など、いろいろな議論はいまだに残っておりますが、このダラス襲撃事件の終結の際、警察が使用したのが、いわゆる殺傷能力のあるロボット。以下、7月10日の日経新聞の記事をまとめ、考察していきます。

 

遠隔操作のロボットに爆弾を積み、殺害

上記日経新聞によると、ダラス警察は、犯人の一人、マイカ・ジョンソン容疑者と銃撃戦になりました。その時使用したのが、遠隔操作できるロボット。ブラウン所長は、他の選択肢は警官をさらに危険にさらしていたとし、選択肢としてやむを得なかったとしているとのこと。

 

  • 警察は元陸軍予備役兵士の黒人マイカ・ジョンソン容疑者との銃撃戦の末、遠隔操作のロボットを送り込み殺害

  • 他の選択肢は警官をさらに危険にさらしていた

 

 

一体どんなロボットが使用されたというのか

上記日経新聞によると、このロボットは、カメラがつき、腕を動かすことができる、いわゆる爆発物処理が本来の使い方のようですが、今回に関しては、このロボットに爆弾を付けて、殺害目的で使ったということです。なお、CNN(英語)を読んでいる限り、ノースロップ・グラマン製のアンドロス(ANDROS)と呼ばれるロボットです。体重は220KGということです。上記日経新聞によれば、ダラス警察は、ノースロップ・グラマン製の爆発物処理ロボットを少なくとも3台保有していたとのこと

 

  • ロボットはカメラや可動式の腕が付いた爆発物処理用

  • 今回は爆弾をくくりつけて殺傷目的に転用した

  • 米防衛大手ノースロップ・グラマン製の爆発物処理ロボット

  • 少なくとも3台保有

 

これはいろいろ議論を呼び起こしそうです。しかし、警察はそもそもなぜこんなのを使ったのでしょうか。

 

警官の心理は

私が思うに、まずポイントになってくるのは、当時の警官の心理だと思います。まず、銃撃戦をしている犯人が元陸軍予備役兵士ということで、銃の扱いになれたいわばプロであった点。つまり、かなりな危険人物。しかも5名も警官を殺害されていたわですから、なおさらナーバスになります。で、さらなるポイントはやはり、警官殺害にスナイパーが使われたこと

 

イメージしてみてください。銃の音は聞こえるけれども、まったくどこから撃っているのかわからない。そして射殺されていく。これはもう恐ろしい以上のものがあるでしょう。警察も逃げるわけにもいかず、対抗しないといけないわけです。このときの心理は想像を絶するものでしょう。

 

というわけで、警察としては、おそらくナーバスを超えたナーバスな状況だったのでしょう。犯人もプロなので、確実にこの犯人を犠牲者なしで殺害する気だったのか。いわゆる殺傷能力を持つロボットを使用した、こんな流れでしょう。

 

ただ、この判断が、良かったのか、悪かったのかは、議論が分かれます。

 

 

人を殺害するのに初めてロボットが使用された

上記日経新聞によると、アメリカの警察が人を殺害目的でロボットを使ったのは、今回が初めてとのこと。(戦争時の無人飛行など除く)。

 

  • 無人飛行機を使った爆撃など戦争時に軍隊がロボットに頼る例はある

  • 米警察が人を殺害することを目的にロボットを使ったのは初めて

 

問われているのは倫理観と明確なルール

上記日経新聞によると、警察のロボット使用を定めた明確なルールがないとのこと。戦争と警察行為の境界線もあいまい、他の警察による乱用のおそれもあるとのこと。人工知能(AI)など、新技術が登場していることを示唆もしています。

 

  • 警察のロボット使用を定めた明確なルールも無いとみられ

  • ニューヨーク・タイムズは「戦争と警察行為の境界線があいまいになった」と指摘

  • ウォール・ストリート・ジャーナルは「他の警察による乱用の恐れがある」と警鐘

  • 人工知能(AI)も含めて米国の人々の生活に溶け込み始めた新技術

 

はっきりいって、ルールなしじゃ完全に倫理の問題。で、警察だって被害者が出たら困るので、これで事件の早期解決を図ろうと考える可能性が高いです。

 

社会の変化も早いので、早期のルールの明確化が必要なのは間違いないでしょう。特に今回の場合、ロボットが爆弾処理とは別の目的で使われています。殺人に関わってくる分野においてはなおさらはっきりとしたルールが必要。

 

将来的には、AIが暴走するとか、そんな恐ろしいテーマにもつながってくる可能性はあります。

 

ちなみに、天才集団のグーグルは、既にAIの暴走に備えるため、非常停止開発ボタンの開発などにも取り組んでいます。

 

問われる倫理観、ルールの明確性、今の社会では、いろいろ議論することが数年前とはずいぶん変わったなと感じます。

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