東レよ、宇宙へ羽ばたけ。
東レ、スペースXとロケットや宇宙船の機体に使う炭素繊維を長期供給することで基本合意。今秋をめどに最終合意を目指す。
日経新聞によると、東レが米国の宇宙開発ベンチャーであるスペースXと、ロケットや宇宙船の機体に使う炭素繊維を長期供給することで基本合意したとのこと。期間、価格など詳細な条件を詰め、今秋をめどに最終合意を目指すとのこと。
東レは米宇宙開発ベンチャーのスペースXと、ロケットや宇宙船の機体に使う炭素繊維を長期供給することで基本合意
期間、価格など詳細な条件を詰め、今秋をめどに最終合意を目指す
東レ。宇宙ですか。しかもあのスペースX社と基本合意。なんだか大型契約な予感。以下、見ていきます。
東レとスペースXの契約内容とは。契約は複数年で、累計2000億~3000億円規模。
上記日経新聞によると、契約は複数年で、累計2000億ー3000億円規模になる見通しとのこと。
契約は複数年で、累計2000億~3000億円規模になる見通し
複数年契約。2000億から3000億ってのも大型契約ですね。
なぜ東レの炭素繊維がスペースXに選ばれたのか。東レの炭素繊維の強みとは。東レは炭素繊維で世界シェア首位。
上記日経新聞によると、スペースXに供給する炭素繊維は物質の変形のしにくさを表す弾性率が航空機向けなどに比べても高い素材で、宇宙などの過酷な環境にも耐えるとのこと。
東レは、航空機への大量採用に成功し、コスト削減や成形能力向上などノウハウを蓄積してきたとのこと。2017年3月期には炭素繊維複合材量の売上高では1900億円を計画しており、50%弱を「航空宇宙」セグメントが稼ぐとのこと。
スペースXに供給する炭素繊維は物質の変形のしにくさを表す弾性率が航空機向けなどに比べても高い素材
宇宙などの過酷な環境にも耐える
航空機への大量採用に成功し、コスト削減や成形能力向上などノウハウを蓄積
2017年3月期には炭素繊維複合材料の売上高で前期比2%増の1900億円を計画しており、50%弱を「航空宇宙」セグメント
東レが炭素繊維市場で世界シェア一位なのは有名な話です。しかも、以前の日経新聞によれば、東レのこの分野でのシェアは約43%です。つまり、圧倒的なプレゼンスを誇っています。
なぜスペースXは炭素繊維を使いたいのか
上記日経新聞によると、スペースXはロケットや宇宙船の再利用による打ち上げコストの削減を掲げているとのこと。
従来はコストを重視しロケットの素材には主にアルミニウムを使用、炭素繊維の利用はロケット接合部分など一部にとどまっていたとのこと。
耐久性の高い炭素繊維を用いることで機体の寿命を延ばすと同時に、軽量化を進め機体の積載効率を高める狙いとのこと。
炭素繊維は、アルミより軽く強いとのこと。機体を軽くして積載可能な荷物量を増やし、輸送コストを下げる切り札とするとのこと。
スペースXはロケットや宇宙船の再利用による打ち上げコストの削減を掲げている
従来はコストを重視しロケットの素材には主にアルミニウムを使用
炭素繊維の利用はロケット接合部分など一部にとどまっていた
耐久性の高い炭素繊維を用いることで機体の寿命を延ばす
軽量化を進め機体の積載効率を高める狙い
アルミより軽く強い炭素繊維の大量採用に踏み切る方針
機体を軽くして積載可能な荷物量を増やし、輸送コストを下げる切り札
アルミより軽く強い炭素繊維を大量採用する、と。これにより、スペースX社側としては、機体を軽くでき、結局は輸送コストを下げることができる、と。
大量採用ということで、金額だけでなく、東レにとっては、長期契約となります。東レ、大型契約とってこれてよかったですね。
ちなみにスペースXは天才イーロン・マスクが作ったベンチャー企業
スペースXの正式名称はスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズといいますが、この宇宙ベンチャー企業はイーロン・マスクというまぁ天才が作った会社です。
イーロン・マスクは、ペイパルの前の会社を作った人です。ペイパル知ってますよね。しかも、テスラモーターズのCEOでもあります。まぁ次々とヒット企業を生み出す、ガチな天才といえるでしょう。
スペースXは売れっ子宇宙ベンチャー企業
上記日経新聞によると、スペースXは打ち上げロケット「ファルコン」の現モデル「9」に比べ積載量を3倍以上にした大型ロケット「ヘビー」を開発中で、年末にも試験打ち上げを始める予定とのこと。
2017年には衛星の打ち上げも始め、2018年5月には無人の火星探査機をNASAと共同で打ち上げるとのこと。
「ヘビー」だけでも受注は7件以上あり、将来は月2回程度のペースで打ち上げていく計画とのこと。
さらに大型の打ち上げロケット「BFR」、火星用の有人・輸送飛行用の宇宙船「レッドドラゴン」なども開発しており、炭素繊維の需要は増え続ける見込みとのこと。
打ち上げロケット「ファルコン」の現モデル「9」に比べ積載量を3倍以上にした大型ロケット「ヘビー」を開発中
年末にも試験打ち上げを始める予定
17年には衛星の打ち上げも始め、18年5月には無人の火星探査機をNASAと共同で打ち上げる
「ヘビー」だけでも受注は7件以上
将来は月2回程度のペースで打ち上げていく計画
さらに大型の打ち上げロケット「BFR」、火星用の有人・輸送飛行用の宇宙船「レッドドラゴン」なども開発しており、炭素繊維の需要は増え続ける見込み
まぁいろいろ書いてありますが、まずポイントの一つ目としては、スペースXは売れっ子の宇宙ベンチャー企業ということですよ。さらにポイントの二つ目で、おそらくより重要であろうことは、このような売れっ子の企業が炭素繊維を採用したということで、今後もこの炭素繊維の需要が増える可能性があるという点でしょう。
東レにとってはチャンスで宇宙分野を強くするという戦略転換もある。競合他社はどうするか。
上記にあるように、東レにとってはチャンス到来です。この分野を強化し、さらなるシェアを取りに行くという戦略転換もありますね。
東レの競合他社にとっては、うかうか東レにシェアを伸ばされるだけでは危ういでしょう。つまり、他の企業は危機感を覚え、対策を練ってくることでしょう。
特に、例えば東邦テナックス。この企業は東レに次ぐ存在ではありますが、正直東レのプレゼンスに比べたらまだまだでしょう。東レにもっと挑んでほしいところではありますが、この東レの大型受注に、何を思うのでしょうか。
東レには今後、もっと研究開発投資をして、さらに羽ばたいてほしい
まぁこのように、今回は東レにとっては大変いい話でした。ただ、私の方から注文しておくと、東レは研究開発投資をもっとしていいと思います。
私の方では以前、下記記事を書きました。
[喜ばしい、研究拠点国内回帰] 研究開発投資、国内回帰の動きが鮮明。先端技術は国内で育成すべし
この記事を見ると、主要企業の研究開発費ランキングにおいて、東レは国内45位、650億円の研究開発費となっています。伸び率こそ10%超の伸びですが、金額そのものをもっと増やしていいのではと思っています。
今回の大型契約を見ても、東レの力があるのは明らかでしょう。このような話がくるからこそ、現状に甘んじず、研究開発投資を継続、さらに増やすべきなのです。東レの今後に期待します。