喜ばしいニュース。
研究開発活動に関する調査2016の結果は、研究開発拠点の新増設先として海外より国内を重視する動きが広がっているというものに
日経新聞によると、日本経済新聞社は主要企業に2016年度の「研究開発活動に関する調査」を実施したとのこと。この結果は、研究開発拠点の新増設先として海外より国内を重視する動きが広がっていることがわかったというものだとのこと。
日本経済新聞社が主要企業に実施した2016年度の「研究開発活動に関する調査」
研究開発拠点の新増設先として海外より国内を重視する動きが広がっていることがわかった
いいニュースですね。国内回帰ですよ。しかも、研究開発拠点の国内回帰ですよ。これは、先端技術の国内回帰と言い換えてもいいぐらい重要なことだと思いますよ。いいニュース。安倍首相も喜ぶことでしょう。
4社に1社が国内の研究開発拠点を新設、増強あるいは拡充する
上記日経新聞によると、4社に1社(24.3%)が、2016年度以降に国内の拠点を「新設、増強、あるいは拡充」すると回答したとのこと。
4社に1社(24.3%)が、16年度以降に国内の拠点を「新設、増強、あるいは拡充」すると回答
素晴らしい。何が素晴らしいか。それは、数年前までは海外で研究開発拠点を新設、増強あるいは拡充すると答えていた企業の方が全然多かったからですよ。それが下記。
国内で研究開発拠点を新増設する企業、海外で増設する企業を逆転
上記日経新聞によると、今回の調査では、海外で新増設を計画するとした企業の割合を5ポイント上回ったとのこと。2012年度の調査では海外が国内を9ポイント近く上回っていたが、その差は徐々に縮小し今回逆転したとのこと。
海外で新増設を計画するとした企業の割合を5ポイント上回った
12年度の調査では海外が国内を9ポイント近く上回っていた
その差は徐々に縮小し今回逆転した
2012年度はより多くの企業が、海外で研究開発拠点を新増設したいと計画していたということです。先端技術の研究ぐらい日本を中心にやってもらったほうが本当はいいんですが、当時の状況は全く異なっていましたからね。今回遂に逆転して、グッドだと思いますよ。
なぜ研究開発拠点を国内に新設、増強する企業が増えているのか
上記日経新聞によると、国内拠点を新設・増強する理由は「中長期的な事業の芽を育てる」(59.5%)が最も多いとのこと。ここ数年、新興国の経済発展で現地での製品開発に注力してきたが、AIや再生医療などの先端技術が実用化段階に入り、国内研究機関と連携するオープンイノベーションが加速しているとのこと。研究費不足に悩む大学も企業との連携に積極的とのこと。
国内拠点を新設・増強する理由は「中長期的な事業の芽を育てる」(59.5%)が最も多い
新興国の経済発展で現地での製品開発に注力してきた
AIや再生医療などの先端技術が実用化段階
国内研究機関と連携するオープンイノベーションが加速
研究費不足に悩む大学も企業との連携に積極的
さて、次に、研究開発費ランキング2016を見ていきます。
主要企業の研究開発費ランキング(2016年版)上位50社
日経新聞が上記の研究開発活動に関する調査に絡んで、研究開発費ランキングの2016年版を作っています。こちらを引用します。皆様の関心のある企業は入っているでしょうか?
主要企業の研究開発費ランキング 順位 社 名 研究
開発費伸び率
(%)1(1) トヨタ自動車 1兆700億円 1.36 2(2) ホンダ 6900 ▲4.14 3(3) 日産自動車 5600 5.28 4(5) パナソニック 4700 4.48 5(4) ソニー 4500 ▲3.88 6(6) デンソー 4150 3.93 7(9) 日立製作所 3500 4.88 8(8) 武田薬品工業 3250 ▲6.05 9(7) 東芝 3100 ▲14.1 9(10) キヤノン 3100 ▲5.63 11(11) アステラス製薬 2310 2.35 12(12) NTT 2200 4.76 13(14) 三菱電機 2130 4.98 14(13) 第一三共 1900 ▲8.94 15(15) 大塚ホールディングス 1850 ▲7.96 16(16) 富士通 1800 0.11 17(17) 富士フイルムホールディングス 1700 4.27 17(18) アイシン精機 1700 4.55 19(19) 住友化学 1690 8.49 20(21) スズキ 1400 6.84 21(20) 三菱ケミカルホールディングス 1350 ▲2.46 22(24) リコー 1285 8.44 23(22) NEC 1250 0.81 23(25) マツダ 1250 7.2 25(23) エーザイ 1242 1.55 26(27) 富士重工業 1200 17.22 27(26) 住友電気工業 1100 ▲0.72 28(28) ブリヂストン 1040 9.5 29(29) ヤマハ発動機 1030 12.81 30(30) いすゞ自動車 940 3.18 31(33) NTTドコモ 919 10.3 32(31) 三菱重工業 900 1.09 32(32) TDK 900 5.98 32(37) 村田製作所 900 15.41 35(36) 旭化成 870 7.27 36(35) オリンパス 850 4.4 37(34) 大日本住友製薬 845 3.01 38(38) 東京エレクトロン 800 4.87 39(39) コニカミノルタ 780 2.36 40(41) コマツ 725 2.49 41(40) 田辺三菱製薬 700 ▲7.03 41(44) ニコン 700 4.82 41(45) 豊田自動織機(推) 700 6.97 44(43) 新日鉄住金(推) 684 0 45(42) 任天堂 650 ▲5.89 45(47) 東レ 650 10.54 47(48) 京セラ 640 8.93 48(46) 日野自動車 610 0 49(50) セイコーエプソン 570 7.34 50(59) 小野薬品工業 565 30.28
トヨタの研究開発費は1兆700億円と、ずば抜けて多い
上記からわかるように、我らが世界のトヨタは、研究開発費が1兆700億円とずば抜けて多いですね。2位のホンダを2倍以上突き放しています。2倍以上とは、とんでもない額の研究開発費といえます。
トヨタの重点分野は次世代高度運転技術、新たな設計手法に基づく新車開発
日経新聞によると、トヨタの研究開発費の重点分野として、次世代高度運転技術、新たな設計手法に基づく新車開発が挙げられています。
これまで、私の方でもいくつかトヨタのことについて触れています。
3250億円研究開発投資の武田薬品は開発拠点を日米に集約
上記のランキングで8位にランクインした武田薬品ですが、こちらは英国の開発拠点を閉め、日米に開発拠点を集中させます。武田はがん、消化疾患、中枢神経系疾患を重点分野にします。これに関しては、
[武田の選択と集中] 武田薬品、欧州の研究開発拠点を閉めて、日米の2か国体制に。研究開発の集中と、あとおそらく英国のEU離脱 (Brexit) も理由の一つ
の方に書きました。
研究開発費がGDPを押し上げる。研究開発費はGDPの3%程度になるか。
なお、上記日経新聞によると、研究開発費はこれまで国内総生産(GDP)から除外されていたとのこと。しかし、内閣府が12月に発表する7―9月期の改定値から含まれるようになるとのこと。従来は経費と見なしていたものの、算出方法の変更に伴い付加価値を生み出す投資として加算するとのこと。GDPの3%程度になるとみられるとのこと。
研究開発費はこれまで国内総生産(GDP)から除外されていた
内閣府が12月に発表する7~9月期の改定値から含まれるようになる
従来は経費
算出方法の変更に伴い付加価値を生み出す投資として加算
GDPの3%程度になるとみられる
いいと思います。というのも、研究開発は経費というより、投資に近いものだからです。それが下記。
研究開発に投資するのは、未来への投資
研究開発投資は未来への投資です。研究開発しない企業は、新しい技術を生み出せません。各企業は、どんなに苦しくても、研究開発を続けていく必要があります。
これが将来、いつの日か、花開くわけですから。