絶妙な外交カードとして使えるかどうかに期待がかかる。

 

日米首脳会談で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米国で数十万人の雇用創出につなげる提案か。

日経新聞によると、政府が10日に米ワシントンで開く日米首脳会談で提案する経済協力の原案が1日、明らかになったとのこと。

 

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出につなげるとのこと。

 

  • 政府が10日に米ワシントンで開く日米首脳会談で提案する経済協力の原案が1日、明らかになった

  • 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出につなげる

 

GPIFが米国のインフラ事業に投資することを首脳会談で提案します。これにより、米国でなんと数十万人もの雇用創出につながるという、スケールの大きな話。

 

 

豆知識: GPIFの高橋則広理事長はもともと米国インフラ投資に関心を示していた。政府は今まさにこのタイミングでGPIFを登場させ、外国人投資家に門戸を開いてこなかった米インフラ市場に参加させる考えか。米国投資で数十万人もの雇用創出につなげるからには、トランプ氏の日本への批判を絶対に封じたいところ。

さて、先日、トランプ氏が安倍首相と電話協議をし、日本の車産業に米国での雇用要請をしました。

 

先日は、それは各社が判断してやるべきものであり、首相から要請するような話ではないというようなことを書きました。

 

どうなることやらと思っていましたが、今回名前が出たのはGPIF。要は、各企業に米国投資をするようにというよりも、政府は、GPIFに米国でのインフラ投資をしてもらうという方向に動くようです。

 

なんでGPIFを動かすのかと考えるかたもいるかもしれません。

 

ただ、GPIFの動きに注視してきたかたはご存知の通り、GPIFは米国へのインフラ投資に前から関心を寄せていました。

 

例えば、12月1日にウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューGPIFの高橋理事長が応じていますが、ここで、高橋理事長は、中国などの新興国や欧州の調子は優れないと指摘し、トランプ次期政権下で米国が世界的な経済の安定に大きな役割を果たし得るとの見方を示しています。

 

そして、高橋理事長は、米国で質の高いインフラ資産への投資に関心があるとしています。しかし、米インフラ市場が従来、欧州やオーストラリア、カナダほど外国人投資家に門戸を開いてこなかったことにも言及したとしています。

 

  • ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューに応じた高橋理事長

  • 中国などの新興国や欧州の調子は優れないと指摘し、トランプ次期政権下で米国が世界的な経済の安定に大きな役割を果たし得るとの見方を示した

  • 高橋理事長は、米国で質の高いインフラ資産への投資に関心があると話した

  • だが米インフラ市場が従来、欧州やオーストラリア、カナダほど外国人投資家に門戸を開いてこなかったことにも言及した

 

要は、これまでは外国人投資家には米インフラ市場が微妙に入りにくかったという事情があったわけです。でも、トランプ氏はインフラ投資を加速させたい。日本にも米国での投資を促している。

 

長期投資、インフラ、しかも割合がこれまで低すぎたGPIFの海外投資。GPIFが米国のインフラに入るタイミングとしては絶妙かもしれません。

 

というのも、まさにこのGPIFが政府の外交カードにもなりうるわけです。おもしろい展開ではあります。

 

ただ、GPIFを登場させ、米国で数十万人もの雇用を生み出すからには、是が非でも日本に対する批判は押さえつけたいところ。また、日本が批判されているという事実に関しては、きっちりと反論して、議論してくる必要があります。

 

 

日米で通商政策や経済協力を話し合う閣僚級協議を新たに立ち上げることも検討。政府はトランプ氏が重視する米国内での雇用創出に力点を置く包括的な「日米成長雇用イニシアチブ」(仮称)の策定に着手。

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上記日経新聞によると、日米で通商政策や経済協力を話し合う閣僚級協議を新たに立ち上げることも検討するとのこと。

 

日本側は麻生太郎副総理・財務相、世耕弘成経済産業相、岸田文雄外相ら、米側はウィルバー・ロス次期商務長官、ライトハイザー次期米通商代表部(USTR)代表らの参加を想定しているとのこと。首脳会談での合意をめざすとのこと。

 

政府はトランプ氏が重視する米国内での雇用創出に力点を置く包括的な「日米成長雇用イニシアチブ」(仮称)の策定に着手したとのこと。

 

  • 日米で通商政策や経済協力を話し合う閣僚級協議を新たに立ち上げることも検討する

  • 日本側は麻生太郎副総理・財務相、世耕弘成経済産業相、岸田文雄外相ら、米側はウィルバー・ロス次期商務長官、ライトハイザー次期米通商代表部(USTR)代表らの参加を想定している

  • 首脳会談での合意をめざす

  • 政府はトランプ氏が重視する米国内での雇用創出に力点を置く包括的な「日米成長雇用イニシアチブ」(仮称)の策定に着手した

 

麻生副総理・財務相が、為替面などでしっかりと対応していただけるよう、期待をしています。非常に大きな期待がかかっています。

 

最後に、今回の日米経済協力の原案について。

 

 

日米経済協力の原案について。日米成長雇用イニシアチブとは。

上記日経新聞によると、原案は(1)米国へのインフラ投資(2)日米で第三国のインフラ投資(3)ロボットや人工知能(AI)分野での日米共同研究(4)サイバー攻撃への対処――が柱。米国側のニーズに応じ、具体的な経済協力の分野を詰めるとのこと。

 

インフラ分野では、米企業などがインフラ整備の資金調達のために発行する債券をGPIFが購入することが柱とのこと。GPIFは130兆円規模の資金運用のうち5%まで海外インフラに投資可能現時点で数百億円にとどまっており拡大の余地が大きい。テキサス州やカリフォルニア州での高速鉄道の整備プロジェクトには国際協力銀行(JBIC)などを通じて長期融資するとのこと。

 

研究開発分野では医療や介護向けロボットの共同開発を目指すとのこと。米国ではインフラの老朽化が深刻。ロボットを活用して点検作業を効率化するとのこと。原子炉の廃炉に向けた共同研究も検討課題とするとのこと。

 

  • 原案は(1)米国へのインフラ投資(2)日米で第三国のインフラ投資(3)ロボットや人工知能(AI)分野での日米共同研究(4)サイバー攻撃への対処――が柱

  • 米国側のニーズに応じ、具体的な経済協力の分野を詰める

  • インフラ分野では、米企業などがインフラ整備の資金調達のために発行する債券をGPIFが購入することが柱

  • GPIFは130兆円規模の資金運用のうち5%まで海外インフラに投資可能

  • 現時点で数百億円にとどまっており拡大の余地が大きい

  • テキサス州やカリフォルニア州での高速鉄道の整備プロジェクトには国際協力銀行(JBIC)などを通じて長期融資するとのこと

  • 研究開発分野では医療や介護向けロボットの共同開発を目指す

  • 米国ではインフラの老朽化が深刻

  • ロボットを活用して点検作業を効率化するとのこと。原子炉の廃炉に向けた共同研究も検討課題とする

 

共同開発、研究は大変興味深いですね。そして、やはり米国内のインフラ投資が気になります。

 

GPIFの海外インフラ投資は5%まで可能ですが、これまでがスローだったので、まさに始まるのはこれからといったところ。やはりタイミングとしてはおもしろい。

 

GPIFが巨額の投資をするなら、何が何でもトランプ氏の批判も抑えたいところ。あくまで、我々が欲しいのは、ウィンウィンで対等な関係です。

 

日米成長雇用イニシアチブとトランプ氏の反応に要注目。

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