スシローにとっては出店加速のチャンス。

 

全国農業協同組合連合会(JA全農)が「あきんどスシロー」を傘下にもつスシローグローバルホールディングス(GHD)に3月中にも最大40億円出資

日経新聞によると、全国農業協同組合連合会(JA全農)は回転ずしチェーン最大手「あきんどスシロー」を傘下にもつスシローグローバルホールディングス(GHD)に3月中にも最大40億円出資するとのこと。全農が外食大手に出資するのは初めてとのこと。

 

  • 全国農業協同組合連合会(JA全農)は回転ずしチェーン最大手「あきんどスシロー」を傘下にもつスシローグローバルホールディングス(GHD)に3月中にも最大40億円出資する

  • 全農が外食大手に出資するのは初めて

 

全農がスシローに出資します。スシロー再上場直前での出資話となります。タイミングとしては絶妙ですし、再上場するスシローとしては非常にいい話です。

 

 

考察: そもそもなぜ全農はスシローへ出資するのか。実は全農とスシローは既に密接な関係がある。今回の出資話を機に、スシローはコメの安定供給を得て、出店加速へ。

素朴な疑問、なんで全農はスシローを選んだのか。スシローと何がしたいのか。

 

3つの観点から考察してみましょう。
(1). 全農はスシロー再上場のタイミングで出資し、大株主になる
(2). 実は既に全農(全農パールライス)とスシローは深くつながっている
(3). 卸業者を通さずコメを直接売る仕組みの構築

 

1. 全農はスシロー再上場のタイミングで出資し、大株主になる

まずタイミングですが、スシローは3月末にも再上場を予定しているわけです。大量の株式を得るタイミングとしては、絶妙でしょう。

 

上記日経新聞によると、株式公開する企業が株式を特定の企業に売り渡す仕組みで全農の出資を仰ぐとのこと。全農は議決権ベースでスシローGHD株の数%を握る大株主になる見通しとのこと。

 

  • 株式公開する企業が株式を特定の企業に売り渡す仕組みで全農の出資を仰ぐ

  • 全農は議決権ベースでスシローGHD株の数%を握る大株主になる見通し

 

ちなみに、今回スシローは再上場という形ですが、非上場企業の間にスシローを大きく育てたのはペルミラ・アドバイザーズです。いったいどんなファンドなのかなどについては以前書いたので、関心ある方はご覧ください。

 

スシローが東証に再上場申請。スシローは17年3月の上場目指す。2017年の大型案件。ペルミラアドバイザーズについての復習もしよう。スシローの株主優待が楽しみ

 

 

2. 実は既に全農(全農パールライス)とスシローは深くつながっている

さて、もう一つ重要な点。ご存知の方はよくご存じかと思いますが、実は、全農とスシローは既に密接な関係があります。

 

全農というか、全農パールライスですね。全農パールライスはJA全農の子会社。規模としては、ホームぺージを見たところ、平成27年度に売上は850億円、従業員505名。

 

で、この全農パールライスなんですが、以前からスシローと関係を持っていることで知られています。2014年に全農パールライスが発足した時(東日本と西日本のパールライスが合併した際)に、農業協同組合新聞が報じたところ、全農パールライスはすでに回転寿司チェーン「スシロー」と産地で多収穫米契約を実現しているともしています。

 

  • すでに回転寿司チェーン「スシロー」と産地で多収穫米契約を実現している

 

細かい話は省略して、結局のところ、今回の出資につながるような関係を両者は既に築いており、これを加速させたい(下記に出てくるように、卸を介さない取引など)という意味で考えていただければいいでしょう。

 

上記日経新聞によると、全農はスシローにコメを供給しており、資本関係を得て情報交換や取引を緊密にする考えとのこと。スシローの国内店舗は455店でコメ使用量は年2万トン。全農が扱うコメの1%弱にすぎないが、今後のモデルと位置づけるとのこと。

 

スシローは韓国に7店展開しており、他国への進出も計画中。全農はスシローの海外店舗への販売という形で、コメの輸出拡大にも取り組むとのこと。

 

  • 全農はスシローにコメを供給しており、資本関係を得て情報交換や取引を緊密にする考え

  • スシローの国内店舗は455店でコメ使用量は年2万トン

  • 全農が扱うコメの1%弱にすぎないが、今後のモデルと位置づける

  • スシローは韓国に7店展開しており、他国への進出も計画中

  • 全農はスシローの海外店舗への販売という形で、コメの輸出拡大にも取り組む

 

(3). 卸業者を通さずコメを直接売る仕組みの構築

さて、今回の動きは、農業改革第一弾と考えられています。以前から言われていた、卸を介さないでコメを店舗に直で売るという方向へ動き出しているといえます。今回の場合だと、スシローに直で売ってしまうということ。

 

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上記日経新聞によると、民間企業との資本関係をテコに卸業者を通さずコメを店舗に直接売るとともに、外食市場のニーズに応じた品質を農家に求めるとのこと。政府・与党が打ち出した農業改革を受け、生産と消費を結びつけて農業の国際競争力を高める狙いがあるとのこと。

 

今回のスシローへの出資は具体策の第1弾となり、農業改革が動き出すとのこと。全農は卸業者を通さず小売り・外食に直接届けるコメの割合を16年度の4割から24年度に9割まで高める考えとのこと。外食企業とじかにつながれば、農家は作付面積や収入を計算しやすくなり意欲や生産性が向上するとのこと。消費者に届くまでのコストが減り、末端価格が安定するとも期待されるとのこと。

 

  • 民間企業との資本関係をテコに卸業者を通さずコメを店舗に直接売るとともに、外食市場のニーズに応じた品質を農家に求める

  • 政府・与党が打ち出した農業改革を受け、生産と消費を結びつけて農業の国際競争力を高める狙いがある

  • 今回のスシローへの出資は具体策の第1弾となり、農業改革が動き出す

  • 全農は卸業者を通さず小売り・外食に直接届けるコメの割合を16年度の4割から24年度に9割まで高める考え

  • 外食企業とじかにつながれば、農家は作付面積や収入を計算しやすくなり意欲や生産性が向上する

  • 消費者に届くまでのコストが減り、末端価格が安定するとも期待される

 

この動きは今後加速しますが、まずはスシローからですね。

 

 

なぜスシローは全農の出資を受けるのか。ムラのない安定的な米供給は、スシローにとって出店加速のチャンスでもある。

上記日経新聞によると、スシローにとっては良質な国産米を安定して調達するルートになるとのこと。

 

  • スシローにとっては良質な国産米を安定して調達するルートになる

 

本当にこの点は強調しすぎても強調しすぎることはできませんが、スシローにとっては、大株主が全農になるわけです。これで、「安定的な」米供給の確保につながります。安定的なということは、ムラが減るという意味にもなりますし、これは、出店加速の可能性を高めます。

 

 

余談. 全農がスシローの大株主。スシローの株主優待がお米になったらどうしようか。

全農がスシローの大株主になります。もし、スシローの株主優待がお米になったら少し苦笑しちゃいますね。

 

ぜひスシローにはお店の割引券を株主優待にしていただきたく思います。

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