バーバリーを失った三陽商会は本当に大丈夫なのか、そしてアパレル業界全体に漂う不穏な空気、何が起こっているのか、そして誰が打破する?
バーバリー。1856年創業のイギリスを代表するファッションブランドです。そんなバーバリーとのライセンス契約が切れたのは、三陽商会。2015年のこと。その後、三陽商会は苦境に陥っています。そして、最近はアパレル業界全体にも不穏な空気が。このあたりは日経新聞の編集委員、田中陽さんの6月29日の記事でアパレル不況に関して詳しく書かれており、興味深かったので、これを中心にまとめ、考察していきます。
バーバリーを失った三陽商会のダメージは
上記日経新聞の記事をまとめると、三陽商会のダメージとしては、
全従業員の2割にあたる250人の早期退職を募ることが24日、発表
2015年12月期の売上高は975億円(前の期比12.2%減)となり30年ぶりに1000億円を下回った
今年2月に発表した16年上半期の売上高見通しは当初、370億円(前年同期比33.1%減)だったが、24日にはこれを335億円に引き下げた。
バーバリーブランドを扱っていた時の三陽商会の売上高の約25%が同ブランドで稼いでいた
というわけで、あの三陽商会もリストラの嵐。これは厳しい。三陽商会の場合は、とにかく稼ぎ頭だった25%のバーバリーブランドを失い、新しいブランドが育たなかったことが問題視されているところであります。
三陽商会の減速は、バーバリーだけが原因ではない。アパレル不況について。
今回のミソがまさしくここ。上記日経新聞では、アパレル不況という言葉を使っています。そして、アパレル業界の厳しさを例としてあげています。具体的にどういうところがアパレル不況だといっているのか。田中さんがあげている例をまとめると、
日本貿易統計によるとニット製衣類の輸入枚数がピークだった13年に比べると15年は12%も落ち込んだ。
枚数だと3億2500万枚も減った。
コートやジャケットなどの布帛(ふはく)製衣類も13年に比較して8%減、1億万枚も減っていた。
5月に米ギャップの低価格カジュアル衣料「オールドネイビー」の日本事業からの撤退
イトキンは2月に国内投資ファンドのインテグラルから165億円(負債も含む)で買収され、リストラ
ワールドが約500店(閉鎖)
東京スタイルやサンエー・インターナショナルが経営統合したTSIホールディングスが約260店の大規模な店舗閉鎖
お古が新品を侵食
たくさん例があがりました。オールドネイビーに関しては、私は雑誌に記事も書いています。
というわけで、前回私の方ではラルフローレンの厳しい現状を扱いましたが、これも正直今回の話と関連してきます。アパレル業界全体がけっこう厳しいという話なわけですから。
しかし、お古(古着)は勢いあり
上記記事で最後にあげられてるのはお古の存在。で、お古が新品にとってかわっているというのが結論なわけです。おもしろいですね。確かにお古(古着)は安い。上記日経新聞は、フリーマーケットアプリのメルカリを例としてあげています。
メルカリの年間取引高は約1200億円とされ、すでに三陽商会の売上高を上回る。
確かに、古着は少し安いですからね。あとメルカリとかで買ったら値段で比較したら絶対新品は勝てないですよ。人気なのもうなずけます。ちなみに、古着に関して、あと私の方で付け加えるとしたら、古着は一点ものが多いのも特徴です。どういうことかというと、
他の人とかぶることがない
種類もいろいろありますしね。
しまむらの勢いがある原点もここ
この記事を読んで思い浮かべたのがしまむら。ここは衣料なのに最高益もだして、頑張ってますよ。で、しまむらって、基本的にはなるべく他の人とかぶることがないように各店舗に服を配る際に相当な気を使ってるんですよね。これなんかも、古着の一点ものが多い、という方向性に似ていると思いますね。
そんなわけで、このように見ていくと業界全体が現在どのような位置にいるのか、いろいろ考えることができますね。