ファイザー、動きまくる。

 

日経新聞の今日の記事によると、ファイザーが52億ドル、日本円にして5700億円もの金額を投じ、アナコールというバイオ医薬企業を買収すると発表しました。

 

日経新聞の記事はこちらです。

アナコールというのはどのような企業でしょうか。日経新聞の解説によると、

アナコールは皮膚炎の治療薬などを手がけている。軽度のアトピー性皮膚炎の新薬「クリサボロール」を米食品医薬品局(FDA)に申請中で、2017年1月7日までに承認の是非が決まる。承認されれば年間20億ドル規模の売り上げを見込めるとファイザーはみている。

 

というわけで、このアナコールの新薬候補、他で調べてみたらcrisaboroleという名前のようですが、この第3相臨床試験の結果が良かったようです。だから、もう新薬となる可能性がかなり高いということなのですが、これから新薬としてだそうとしている企業をファイザーという会社は丸ごと買収してしまうわけです。

 

ただもちろんファイザーにとっては少しだけ冒険をしているところもあります。この新薬が万が一承認されなければ、年間20億ドルという数字もパーですから。ただ、確率的には、このような大逆転ドラマが起こる可能性の方が低いでしょう。

 

大手医薬企業というのはこのように開発後期の企業を丸ごと買収してパイプラインを獲得するというのは普通のことです。そして、結局はファイザーのように豊富なキャッシュをもっている企業がもっていってしまうのですが。

 

日本の武田も数年前まではM&Aの嵐でした。数年前まではそれはすごかったですよ。私もアメリカにいたとき、武田の企業説明会を聞きに行きましたが、その当時はほんと日本のトップランナーだという自覚をもたれていた感じがしました。そして、そんなぐいぐい攻めている武田というのは、見て非常に頼もしかったものです。でも、ここが残念なのですが、武田の大型買収ってのは残念ながらあまりうまくいきませんでした。だから、少し足踏みをしてしまい、日本でトップを行くはずだった武田は、いまだに世界のトップ製薬企業とはなっていません。ということは、日本の製薬企業で世界でトップクラスの企業はないということです。武田が足踏みしている間に、小野薬品は、大急伸していますが、それでも世界で見ると全然まだまだです。

 

本当に世界と勝負していくには、ここらへんの大手の再編が必要です。大手の再編ってのは2005年に大きい再編が2件あり、現在の第一三共とアステラスが両方とも2005年にできましたが、その後はないんです。もちろん、このクラスの再編となるとそうそうあるものではありませんが、それでもこんな長い年月を経ってその後がないんですね。

 

とりあえず、小さい開発後期企業をどんどん買収していくでもいいですから、大手にはさらに積極的に頑張ってもらいたいものです。

スポンサーリンク