ドイツ銀行とサンタンデール銀行、昨年に引き続き、今年もFRBストレステストに不合格へ。
ちょっと最近はドイツ銀行の話をいろいろ聞きます。以下、6月30月のロイターの記事を中心にまとめ、考察していきます。、
FRBが今年もストレステストを行う
上記ロイターによると、
米連邦準備理事会(FRB)が29日、ストレステスト(健全性審査)の一環である包括的資本分析(CCAR)の結果を公表した。
でましたね、今年も。さて、結果はどうなったのか。
ドイツ銀行、サンタンデール銀行、再度不合格、モルガン・スタンレーは条件付き合格、多くの銀行は合格
ドイツ銀行とスペインのサンタンデール銀行の米子会社に関しては、上記ロイターによると、
再び不合格
資本計画の過程に「広範かつ著しい脆弱性」がみられると指摘
モルガン・スタンレー(モルガンS)に関しては、上記ロイターによると、
条件付きで合格
プロセスの弱さを解決する必要があるとしており、12月29日までに資本計画の再提出を求めた。
あとその他の大きな銀行は合格でした。
昨年も不合格だったが、ちなみに昨年の状況はどうだったのか
昨年は、ドイツ銀行とサンタンデール銀行が不合格ということで、大きな話題になりました。 ウォール・ストリート・ジャーナルは論評をいくつか書いていましたが、いくつか抜粋しておくと、両銀行が昨年不合格だった理由は、
損失のモデル化とリスクの特定の能力などに「質的な」欠陥
ということでした。なお、ドイツ銀行に関しては、
リスク特定能力など幾つかの点で「多くの重大な欠陥があった」と指摘
いちよう強調しておくと、あくまで昨年の話ではありますが、多くの重大な欠陥があった、です。これ、多くの銀行があり、多くの銀行がストレステストに合格している中、このような発言があることはけっこうな話です。
今年の結果は著しい脆弱性
ドイツ銀行みたいな巨大な銀行にとっては2年連続の屈辱。ちょっと詳しい資料がないんで現時点ではいまいちなんともいえませんが、あえてポジティブな言い方をするとすれば、FRBの言い方としては、昨年より全体的には良かった、という指摘がある点。ただ、人によっては、ドイツ銀行が二年連続はかなり問題、とする人もいます。なんにせよ、配当政策等に関わってくる話ですから、株主にとってはけっこう頭の痛い話でしょう。
ソロス氏はポンド売りではなく、ドイツ銀行株を空売りして儲けた
28日のBloombergによると、ソロス氏はポンド売りはしておらず、ただドイツ銀行を空売りしまくったようです。
ドイツ当局への届け出によれば、ソロス・ファンドは英国民投票結果が判明した24日にドイツ銀の株主資本の約0.51%に相当する規模の空売りポジションを組んだ
この結果、ドイツ銀行株は暴落しました。株価もしんどいですけど、財務諸表見ててもちょっとしんどそうだなぁというのが率直な印象。さらにストレステストの結果もこれですから、かなり厳しい状況であることは間違いないです。ここは本当に踏ん張りどころ。さぁドイツ銀行、ここからどうリカバリーをするのか、道筋を示してください。
[更新] IMFは世界の巨大銀行の中で、金融システムへの潜在的なリスクが最も大きいのはドイツ銀行だとする報告書をまとめた
ロイターによると、この後、IMFがレポートを出しています。そのIMFのレポートでは、世界の巨大銀行の中で、金融システムへの潜在的なリスクが最も大きいのはドイツ銀行と報告しているとのこと。HSBCとクレディ・スイスが続くようです。
IMFはドイツの銀行と保険部門の審査の中で「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)」が金融安定に対する脅威となる可能性を比較
「ドイツ銀行はG-SIBsの中でシステミックリスクに与える影響が最も大きいようだ」と指摘
HSBCホールディングス(HSBA.L)とクレディ・スイス(CSGN.S)が続くという。
[更新] IMFの指摘
上記ロイターをまとめると、他の銀行と比べたドイツ銀行の重要性として、
リスク管理
G-SIBsに対する厳重な監督
国境にまたがるエクスポージャーへの厳しい監視
経営難に陥っている銀行の段階的な破綻・整理を進めるための方策を素早く導入することも重要
各種欧米メディアを見ていても、このIMFのレポートは、”たまたま”、ストレステストの結果のすぐ後、重なるような時にだされてしまったとしているところが多いです。
ドイツ銀行は投資家の目が厳しくなってきています。