EUがまとまらない、最近は混乱ばかりでここにきてPIGS国の再登場か。

スペインとポルトガル。PIGSとして有名になった財政状況が厳しい国の２つ。ちなみにPIGSはポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインの４つです。PIGSの問題とか、もう一体何年前から言ってるんでしょうか。で、ここへきて、PIGSの中のポルトガル、スペインが問題視されています。またこのテーマかといった感じと、この時期によくこんなテーマをするなぁといった驚きと両方あります。以下、７月８日の日経新聞の記事をまとめ、考察していきます。

欧州委員会、スペイン、ポルトガルを制裁へ

上記日経新聞によれば、EUの欧州委員会は７日、スペインとポルトガルに制裁勧告をしたとのこと。理由は財政再建の努力を怠っているからとのこと。

• 欧州連合（ＥＵ）の欧州委員会は７日、財政再建の努力を怠っているとして、スペインとポルトガルに制裁を科すよう勧告

この時期にこのテーマはほんと勘弁といったところ。これじゃEUまとまらないですよ。なんで今このテーマをするのか。いろいろ見ていきます。

なんでスペイン、ポルトガルは制裁を受けるのか

上記日経新聞によれば、EUのルールとして、各年度の財政赤字をGDP３％未満に抑える財政ルールがあります。で、スペイン、ポルトガルはこのルールを２０１５年に守らなかったから制裁の対象ということになります。で、制裁すんのかどうすんのよ、という話になっていたわけであります。

• EＵは各年度の財政赤字を国内総生産（ＧＤＰ）の３％未満に抑える財政ルール

• スペインとポルトガルは赤字の是正対象

• ともに2015年にルールを達成できず

制裁とは一体どういうことか

上記日経新聞によれば、GDPの０．２％までの罰金を科せるとのこと。

財政再建への取り組みが不十分なユーロ圏加盟国に対してはＧＤＰの0.2％までの罰金を科せる

もし制裁となれば、EUでは初めての事例となる

上記日経新聞によれば、今回もし制裁を受けることが決まれば、財政ルールに基づいて罰金制裁を受ける初めての事例となるとのこと。

• ＥＵ財務相理事会が同意すれば、財政ルールに基づき罰金などの制裁を発動する初の事例

EU各国、割れる意見

誰がこういうのに賛成すると思いますか。当然ドイツでしょう。上記日経新聞によれば、ドイツ、オランダ、フィンランドを財政規律重視国とあげ、イタリアは柔軟な対応を求めているといっています。まぁイタリアもPIGSの一角でしたしね。

• ＥＵではドイツやオランダ、フィンランドなどが財政規律を重視

• イタリアなど南欧諸国が景気に配慮した柔軟な運用を要請

この時期にこの議論するなんてどうかしてると思う人もいるでしょう。私はスペイン、ポルトガルが努力していないことに対して必ずしも擁護するつもりはありませんが、正直、今混乱している時期にこのことで制裁したりすれば、ますますEUがまとまらない可能性が高いと思っています。

でも、そう考えない国もあるわけです。私が長年住んでいたドイツがそうでしょう。ドイツなんかは、今こういう時期だからこそ、規律のあるEUを、という考えなんでしょう。まぁ言いたいことは分かります。ただ、本当にスペイン、ポルトガルに、財政再建策があるのかないのか、これを真に見極めてから判断しないといけないでしょう。ただ、この財政再建案は再び達成されない可能性も十分あるでしょう。ロイターによれば、スペイン、ポルトガルは２０１４年、２０１５年の両方とも２年連続で欧州委員会と合意した財政再建目標が達成できなかったとあります。

だから、また同じ話になる可能性があります。ただ、状況が状況なんですよ。今この話でなんで盛り上がらないといけないのかってことです。だから、今の状況をしっかり把握して、柔軟に対応、判断してほしいってことです。

今後のステップ

上記日経新聞によれば、制裁勧告後のステップとして、

• EU財務相理事会が賛成するかどうかをみる
• 賛成すれば、具体的な制裁内容を決める（配慮から緩やかな制裁になる可能性も）
• １０日ほどの猶予期間の間に追加の財政再建策提出で、考慮するかもしれない？

• 12日に開くＥＵ財務相理事会が勧告に賛同

• 欧州委は具体的な制裁内容を決める

• 景気への配慮などから緩やかな内容になる公算

• 両国に10日ほどの猶予期間

• 追加の財政再建策を提出させるとの報道も

緩やかだかなんだかしりませんが、やはり最後のステップ、追加の財政再建策提出で判断、これが一番重要でしょう。今後の動きに要注目です。