買収で世界第6位へ。
今回の話は三菱UFJ信託銀行。私は個人的にライバルである三井住友信託銀行さんにダイナースでお世話になっていますが、今回の買収はそんなの関係ないぐらい非常におもしろい示唆に富んだものとなっています。よって、今回はぜひとも三菱UFJ信託銀行の買収の話をしたいと思います。下記、日経新聞を中心にまとめ、考察していきます。
三菱UFJ信託銀行、邦銀として初めて米大手資産管理会社を買収する
上記日経新聞によると、邦銀として初めて米大手資産管理会社を買収するとのこと。
邦銀として初めて米大手資産管理会社
買収
もうこの時点でおもしろいんですが、まずは周辺の情報を書いていきます。
買収金額は
上記日経新聞によると、200億円とのこと。
いつ買収するのか
上記日経新聞によると、年内に買収完了を目指すとのこと。
年内にも買収完了を目指す
買収する会社の名前と規模は
上記日経新聞によると、ライデックス・ファンド・サービシズとのこと。米国で発売した答申を中心に管理残高は535億ドル(約5.5兆円)で、米国10位の規模とのこと。なお現在の親会社はグッゲンハイム・パートナーズで、独立系の大手運用会社で世界に25拠点を展開しているとのこと。
買収するのは米ライデックス・ファンド・サービシズ
米国で発売した投信を中心に管理残高は535億ドル(約5.5兆円)
米国10位の規模
親会社の米グッゲンハイム・パートナーズは独立系の大手運用会社で世界に25拠点を展開
管理残高けっこうでかいですね。さて、そろそろ核心の話へといきましょう。
今回のポイントは1つ、丁寧に見るために、これを3つに分解する
今回のポイントを私なりにまとめてしまうと、実は1つ。それは、
米国の大手投信資産管理会社を買収
これだけ。
ただ、丁寧に見ていきたいので、これを3つに分解します。するとポイントは3つになります。その3つとは、
- “米国の”大手投信
- 資産”管理”会社を買収
- “投信”の会社を買収
1.“米国の”大手投信
なんでこれがポイントなのか。米国の投信市場がどでかいのは周知の事実だからです。上記日経新聞によると、米国の投信市場は、残高が18兆ドル(約1800兆円)と世界の6割を占め、日本の20倍近いとのこと。市場もここ数年9%成長とのこと。
米国の投信市場は残高が18兆ドル(約1800兆円)
世界の6割
日本の20倍近い
市場はここ数年9%程度で成長
逆の言い方をすれば、遂に、いや、やっと米国に入ってきたかといったところ。ただ、ライバルも多いですよ。ステート・ストリートとかJPモルガン・チェースとか。アメリカ企業です。超ビッグネームがライバルです。管理残高も半端なくでかい。挑戦状ってやつですかね。それでも、数字で見れば、米国市場に入らない理由はないわけでしょう。第一ステップは踏み出したわけです。これはグッドだと思います。
2.資産”管理”会社を買収
さて、なんでこれがポイントなのか。資産運用ではなく、資産管理というのがポイントなわけです。上記日経新聞によると、投信の業務には2つあるとのこと。それは資産の運用と管理とのこと。運用業務は株価や為替相場などの変動で収益が大きく変動する可能性があるとのこと。管理業務は顧客の運用資産の時価を算出したり、当局への報告書を作成したりと、安定した手数料収入が見込めるとのこと。
資産の運用と管理の2つ
運用業務は株価や為替相場などの変動で収益が大きく変動する可能性
顧客の運用資産の時価を算出したり、当局への報告書を作成したりする管理業務は安定した手数料収入が見込める
念のため書いておくと、三菱UFJ信託銀行は運用業務もやります。ただ、ですね。要は今、マイナス金利とかで運用もいろいろきついでしょう。したがって、安定的な収益が見込める管理業務がまず重要視されたとみていいのではないでしょうか。上記日経新聞でも、日銀のマイナス金利政策で運用環境が悪化とあります。
日銀のマイナス金利政策で国内の運用環境は悪化
3.”投信”の会社を買収
これも実はポイントなんです。というのも、上記日経新聞によると、三菱UFJ信託は、2013年以降、海外でヘッジファンドや投資ファンドの資産を管理する4社を買収してきたとのこと。ただ、市場がより大きい投信の資産管理には手を出せずにいたとのこと。今回の買収で、ヘッジファンドから投信までを網羅する総合的な管理サービスを提供できるようになるとのこと。
海外でヘッジファンドや投資ファンドの資産を管理する4社を買収
市場がより大きい投信の資産管理には手を出せずにいた
ヘッジファンドから投信までを網羅する総合的な管理サービスを提供する体制
ずばり、ココがウリになってきます。要はこれまでは海外で”投信”以外を買ってきたが、今回”投信”が加わることで、総合的な管理サービスが提供できるようになると。
攻め方としては戦略をもっているように見受けられる
最後のポイントが実はおそらく今回のミソ中のミソ。この分野では、総合的な管理サービス、つまり、“総合力”で差をつけていくしか、巨大なライバルに対峙できることはできない、このように私は考えています。
よって、うまくいくかいかないかは別としても、今回の三菱UFJ信託銀行は、攻め方として戦略をもっているように見受けられます。
今後、このあたりの差別化をいかにしていくのか。買収後の統合はうまくいくのか。このあたりは非常にミモノですね。