欧州ストレステスト。

 

 

合否判定はなくなった

まず、一番の前提として、今回の欧州銀行ストレステストにおいては、前回の2014年度のテストと異なり、合否判定というものがなくなっています。日経新聞によると、もし資産査定の結果、自己資本比率の大幅な低下リスクが判明した銀行に対しては、ECBや英中央銀行など各国の当局が個別に指導する、とのこと。

 

  • 資産査定の結果、自己資本比率の大幅な低下リスクが判明した銀行

  • 欧州中央銀行(ECB)や英中央銀行など各国の当局が個別に指導

 

さて、まずは全体を見てみましょう。

 

 

51銀行は景気が失速したらどうなるか

上記日経新聞によると、今後3年間で景気が失速した場合、全体の中核的自己資本は2690億ユーロ(約30兆7000億円)毀損すると試算したとのこと。

  • 今後3年間で景気が失速した場合

  • 全体の中核的自己資本は2690億ユーロ(約30兆7000億円)毀損

 

中核的自己資本の比率の変化は

上記日経新聞によると、銀行経営の健全性を示す中核的自己資本の比率は、15年末の13.2%から景気失速の際は、18年末に9.4%まで低下するとのこと。

  • 銀行経営の健全性を示す中核的自己資本の比率

  • 15年末の13.2%から18年末には9.4%まで低下

 

さて、気になる個別の銀行の話をしましょう。

 

 

モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナの結果が一番きついか

上記日経新聞によると、イタリア3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ)は 銀行経営の健全性を示す中核的自己資本の比率が15年の12.01%から、18年にはマイナス2.23%まで低下するとのこと。

 

  • 銀行経営の健全性を示す中核的自己資本の比率

  • 多額の不良債権を抱えて市場の焦点となっているイタリア3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ)

  • 12.01%から、マイナス2.23%まで低下

 

まぁ私も結果は見て確認しましたが、このモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ)の結果がどう見ても一番悪くみえますね。7月29日のCNBCでもモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ)の結果が一番悪かったと書いてますね。特にこのネガティブまで低下ってとこ。これは他の51の銀行と比べても、異常値ですね、しかし、この銀行は世界最古の銀行なんですよ。問題が多いですが、なんとかならないものでしょうか。

 

 

ドイツ銀行の欧州銀行ストレステストの結果は: なぜドイツ銀行が注目されるのか

ドイツ銀行に注目している人は多いでしょう。私の方では、以前、下記の記事を書いています。

[金融ニュース] ドイツ銀行とサンタンデール銀行、再びFRBストレステストに不合格。昨年も不合格。株価もけっこう踏ん張りどころ

ドイツ銀行が注目される理由、それは、ドイツ銀行はFRBストレステストに不合格だったから。さらには、IMFレポートでは、金融システムへの潜在的なリスクが最も大きいのはドイツ銀行だとしていました。

 

 

ドイツ銀行の結果は7.80%まで低下するというもの

さて、結論を述べましょう。ドイツ銀行の中核的自己資本の比率は、15年の13.19%から、景気失速シナリオにおいて、18年には7.80%まで低下するとのこと。

 

 

ドイツ銀行の7.80%という数字をどう見るか

ドイツ銀行の7.80%という数字はどうでしょうか。この数字自体はあまりいい数字には見えません。ただ、他と比べてどうでしょうか。

 

上記CNBCで見ると、これは51番中、9番目の悪さですね。1番目はもちろん先ほどだした、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ)ですよ。ネガティブですから。以下、その次に悪いところをCNBCさんの方から引用しますと、以下の通り。

 

•Raiffeisen Landesbanken (Austria) 6.14 percent

•Banco Popular (Spain)7.01 percent

•Unicredit (Italy) 7.12 percent

•Barclays (U.K.) 7.30 percent

•Allied Irish Banks (Ireland) 7.39 percent

•Commerzbank (Germany) 7.42 percent

•Bank of Ireland 7.69 percent

•Deutsche Bank (Germany) 7.8 percent

•Societe Generale (France)8.03 percent

 

ほら、2番目からだから、数えると9番目でしょう。

 

いい数字とは決していえないですが、ともかく、FRBストレステストとIMFレポート読んだ後と同じほどの衝撃みたいなのはなし。むしろドイツにあるライバル銀行であるコメルツ銀行の方が悪く見えます。それが下記。

 

 

むしろコメルツ銀行の方が悪いか

ドイツ銀行と同じくドイツ出身のコメルツ銀行。ちなみに私はこちらにお偉いさんの親しいドイツ人の知り合いがいますが、ともかく、今回はこちらのコメルツ銀行の結果の方がむしろドイツ銀行より悪く見えます。

 

コメルツ銀行は、15年の13.77%から、18年には7.42%まで低下するとレポートにありますから。つまり、ドイツ銀行より下げ幅も大きいわけでしょう。

 

 

ライファイゼンバンク(ライファイゼン銀行)が2番目の悪さなのも気になる

景気悪化シナリオにおける、中核的自己資本の比率のワースト2位はどこでしょうか。ライファイゼンバンク(ライファイゼン銀行)です。

 

私はここにも口座開いてます。ライファイゼンっていうのは、オーストリア発の銀行なんですがね。で、今回の結果を見ると、景気悪化シナリオにおいて、ライファイゼンバンク(ライファイゼン銀行)の中核的自己資本の比率は6.14%まで下がるとなってます。景気悪化シナリオではけっこうきつい。

 

 

テストにEU離脱決定や、マイナス金利は直接考慮していない

前提条件で大切なことを記す必要があります。日経新聞によると、試算の前提条件として、6月下旬の英国のEU離脱決定やマイナス金利は直接考慮していないとのこと。ただ、当局によると、EU離脱した場合よりもはるかに厳しいシナリオで試算した、としているとのこと。

  • 試算の前提条件

  • 英国のEU離脱決定

  • マイナス金利は直接考慮していない

  • 当局は「EU離脱した場合よりもはるかに厳しいシナリオで試算した」

 

まぁ実はここもポイントなんですね。例えば私がある欧州の投資銀行の知り合いと話したとき、マイナス金利が考慮されていないのが問題といっていましたね。要はマイナス金利でいろいろ問題が生じているようなので、これを考慮しないでどうする、と。

 

今回のこのレポートを見る限り、個人的にはドイツ銀行はそこまでむちゃくちゃ目立った存在には今回は見えません。ただ、FRBストレステストの件と、IMFレポートの件もありますから、必ずしも油断できる状況にあるとは思えません。今後に注目です。

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