米国に既に地盤があるからこそ、今回の巨額の買収がある。
三井住友銀行が北米の鉄道貨物車両のリース会社であるアメリカン・レールカー・リーシングを買収する方針。三井住友銀行の買収額は約30億ドル(約3500億円)か。
日経新聞によると、三井住友銀行は北米の鉄道貨物車両のリース会社を買収する方針とのこと。
買収額は約30億ドル(約3500億円)とみられるとのこと。買収するのは米貨車リース会社のアメリカン・レールカー・リーシング(ARL、米ミズーリ州)とのこと。
三井住友銀行は北米の鉄道貨物車両のリース会社を買収する方針
買収額は約30億ドル(約3500億円)とみられる
買収するのは米貨車リース会社のアメリカン・レールカー・リーシング(ARL、米ミズーリ州)
豆知識: 三井住友銀行は既に米国で貸車リースの地盤があり、ノウハウを蓄えている。SMBCは貸車リース事業の取り組みを1997年より開始し、2013年にはフラッグシップ・レールサービシーズを買収している。
まず、三井住友銀行の貸車リースの買収ですが、2013年にけっこう大きいのがありました。
フラッグシップ・レールサービシーズの買収です。2013年12月にプレスリリースが出たので、だいたいちょうど3年前ですね。
その時の三井住友銀行からのプレスリリースを参考資料として貼っておきます。
当時のプレスリリースでは、三井住友銀行はこう言っています。
SMBCは、1984年にSMBC-LF を設立して以来、米国及び欧州においてリース事業を手掛け、貨車リース事業についても1997年より取組みを開始し、経験やノウハウを蓄積して参りました。
なお、プレスリリースから読み取ると、2013年の時、鉄道輸送で期待されていたのは2点です。
- 環境保護の観点
- シェールガス採掘拡大
まぁシェールガスへの期待というものは、当時と今を比べるとだいぶ期待値が変わってしまいましたね。その点に関しては、ちょっと仕方なかったとしましょう。
ただ、よい面を見ましょう。三井住友銀行は1997年から貸車リースに関わっており、そして2013年には買収も経験して、米国での貸車リースのノウハウを蓄積しているわけです(2013年の買収は米国です)。なお、この2013年の買収後、SMBCレール・サービシーズという名で、貸車事業に精を出しています。
つまり、三井住友銀行は、米国での地盤があるわけです。これがあるからこそ、今回の巨額の買収につながるわけです。
さて、なぜ三井住友銀行は、巨額の資金を動かしてまで、リース会社を買収しようとしているのでしょうか。それが下記。
なぜ三井住友銀行は約30億ドル(約3500億円)も支払って北米の鉄道貨物車両のリース会社を買収したいのか。トランプ氏のインフラ投資に期待をしているか。三井住友銀行はトランプ大統領就任でインフラ投資拡大により、米国が成長すると考えているか。
上記日経新聞によると、米国経済の成長で貨車リースの需要も伸びると判断したとのこと。
内需に依存する貨車リースはもともと安定成長の見込める事業だが、トランプ次期政権の経済政策が追い風となる可能性もあるとのこと。同氏が提唱する積極的な財政出動でインフラ投資が増えれば、物流需要の拡大にもつながるためとのこと。
三井住友銀は今回の買収交渉を11月の米大統領選の前から進めてきたが、トランプ氏の掲げる「強い米国経済」が実現すれば、貨車リースの事業機会も広がると判断しているようだとのこと。
米国経済の成長で貨車リースの需要も伸びると判断した
内需に依存する貨車リースはもともと安定成長の見込める事業だが、トランプ次期政権の経済政策が追い風となる可能性もある
同氏が提唱する積極的な財政出動でインフラ投資が増えれば、物流需要の拡大にもつながるため
三井住友銀は今回の買収交渉を11月の米大統領選の前から進めてきたが、トランプ氏の掲げる「強い米国経済」が実現すれば、貨車リースの事業機会も広がると判断しているようだ
インフラ投資。ここです。
トランプ氏が本当にインフラ投資を拡大させれば、三井住友銀行の読みはおもしろい方向に進む可能性があります。同時に、これを考えるとき、米国の鉄道貨物需要も考える必要があります。
米国内では160万の貸車車両があり、うち5~6割をリース会社が保有。貨物輸送量は経済成長率と同程度の拡大が見込めるか。バフェット氏も鉄道事業に投資。
上記日経新聞によると、米国では長距離輸送では燃費効率や環境面で優れている鉄道貨物の需要も根強いとのこと。
米国内では160万の貨車車両があり、うち5~6割をリース会社が保有しているとされるとのこと。貨物輸送量は経済成長率と同程度の拡大が見込めるとの声もあり、バフェット氏も鉄道事業に投資しているとのこと。
米国では長距離輸送では燃費効率や環境面で優れている鉄道貨物の需要も根強い
米国内では160万の貨車車両があり、うち5~6割をリース会社が保有しているとされる
貨物輸送量は経済成長率と同程度の拡大が見込めるとの声もあり、著名投資家のウォーレン・バフェット氏も鉄道事業に投資している
米国って、とにかく広いですからね。もちろん車社会ですけど、鉄道で穀物とかも運びますし、需要もありますね。経済成長率と同様に拡大するということで、アメリカが強くなれば、大変おもしろい分野でしょう。
環境面での利点に関しては、2013年でも言われていたことです(上記参照)。
さて、今回三井住友銀行が買おうとしている会社はどんな会社か、今後の日程なども見てみましょう。
三井住友銀行が買収しようとしている北米の鉄道貨物車両のリース会社であるアメリカン・レールカー・リーシングは、米貨車リース業界6位。カール・アイカーン氏の率いる投資ファンドからARLの全株式を買い取る。
上記日経新聞によると、同社は保有車両ベースで米貨車リース業界6位で、穀物や石油化学、天然資源などの荷主企業に貨車を貸し出しているとのこと。
2015年12月期の売上高は約350億円、営業利益は約120億円とのこと。米著名投資家のカール・アイカーン氏の率いる投資ファンドから、来年前半をめどにARLの全株式を買い取るとのこと。
同社は保有車両ベースで米貨車リース業界6位で、穀物や石油化学、天然資源などの荷主企業に貨車を貸し出している
2015年12月期の売上高は約350億円、営業利益は約120億円とのこと。米著名投資家のカール・アイカーン氏の率いる投資ファンドから、来年前半をめどにARLの全株式を買い取る
さて、三井住友銀行の読みはあたるのか。来年前半での正式発表の買収額など、いろいろ注目点が多いですね。