有馬社長が節目に大きく動いた感じがする。
デンソーとNECが自動運転など先進運転支援システムの実現に向け、AIを活用した車載製品を共同開発すなど連携へ。デンソーがIT企業と自動運転を実現する中核的な技術全般にわたって連携するのは初めて。
日経新聞によると、デンソーとNECは自動運転など先進運転支援システムの実現に向け、人工知能(AI)を活用した車載製品を共同開発するなど包括的に連携するとのこと。
両社の首脳が今週会談し合意したとのこと。週明けに発表するとのこと。車載ソフトの開発・セキュリティー対策など自動運転を実現する中核的な技術全般にわたってデンソーがIT企業と連携するのは初めてとのこと。NECグループが開発要員を提供し開発体制を組むところまで踏み込むとのこと。
デンソーとNECは自動運転など先進運転支援システムの実現に向け、人工知能(AI)を活用した車載製品を共同開発するなど包括的に連携する
両社の首脳が今週会談し合意したとのこと。週明けに発表する
車載ソフトの開発・セキュリティー対策など自動運転を実現する中核的な技術全般にわたってデンソーがIT企業と連携するのは初めて
NECグループが開発要員を提供し開発体制を組むところまで踏み込む
デンソーがNECと組みます。ちなみにデンソー本社は、私の地元である豊田市の近所の刈谷市という所にありまして、昔から知っている会社ではあります。知人も数名デンソーで働いています。お元気でしょうか。
それはともかく、私が今回おもしろいと思うのは、「今」この時期にこの連携話が出てきたという点。私はここに、デンソー社長が「節目に動いた」という見方をしています。
豆知識: デンソーはちょうど1年前に自動運転の技術開発に特化した部署(ADAS推進部)を新設した。デンソーは自動運転の技術開発を本気で進めたいと思っている。ADAS推進部新設1年という節目に、NECとの提携話。有馬浩二社長が大きく動く。
本当にほぼちょうど1年前です。
昨年のクリスマスの日。
デンソーは、2016年1月1日付けで、組織変更をし、自動運転の技術開発に特化した部署である、ADAS推進部を新設すると発表しました。
せっかくなので、デンソーのプレスリリースを参考資料として載せておきます。
デンソーの組織変更および人事異動について。ADAS事業推進体制の構築など。
ADAS推進部とは何か。プレスリリースを読めばわかりますが、要は、高度運転支援・自動運転分野での技術開発を加速させるために関係部署を統合したもの、それがADAS推進部です。
そんなADAS推進部を設立してから1年。体制も整ってきたところで、さぁ、いよいよ本格的に提携して自動運転開発へと動くぞ、といった意気込みを感じます。
来週デンソーとNECの連携は正式発表になるでしょう。そのときの記者会見にぜひ注目してみてください。デンソーの有馬社長は自動運転技術開発にかなりの情熱を持っている人物であると見て取れると思いますよ。
余談: デンソーの有馬社長は他社との提携に関心がある人物でもある。デンソーは今年も東芝、ソニーなどと提携話があり、今回のNECとの提携にも納得できる。
デンソーの有馬社長は14人抜きで社長に昇格した人物として有名。デンソーで取締役を経験していない初の社長です。
ポイントとして、有馬社長は社長就任当初から、他社との提携に関心を持っている人物という点です。現に、デンソーは今年、東芝、ソニーなどとも連携を発表しました。
上記日経新聞によると、デンソーは今年、東芝との間で、人間と同等以上の認識処理ができるAI技術の共同開発で合意。画像センサーでは世界首位のソニーとも連携とのこと。
デンソーも今年、東芝との間で、人間と同等以上の認識処理ができるAI技術の共同開発で合意
画像センサーでは世界首位のソニーとも連携
さらには、下記で書くように、デンソーはNECとも既に接点があります。これも今回NECという名前が出た理由の一つではあるでしょう。
デンソーはNECと既に接点がある。デンソーはNEC子会社のNEC通信システムとイーソルと共に、合弁会社を設立し、車載用電子システムの基本ソフトウェア開発に動いている。
デンソーはNECの子会社と接点が既にあります。
今年4月、デンソーは、NEC通信システムとイーソルと共に、合弁会社を設立することを発表。車載用電子システムの基本ソフトウェア開発など進めています。
というわけで、接点はあるわけです。そして、NECの強みを考えれば、NECと連携するのもわかります。それが下記。
なぜデンソーはNECと連携するのか。デンソーとNECはどのように提携するのか。デンソーとNECで、AIが危険を予測し、ハンドルやブレーキを制御する技術の共同開発など。
今回の枠組みではデンソーがNECの持つAIや車載ソフトのシステム開発力を活用。AIが危険を予測し、ハンドルやブレーキを制御する技術を共同開発するとのこと。
車載用のIT機器を守る情報セキュリティー技術でも連携するとのこと。通信機能が付いた「コネクテッドカー(つながる車)」が普及するとサイバー攻撃を受けるリスクが増すため対策が必要になるとのこと。デンソーはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」で全世界の工場をつなぐ取り組みを進めており、これにもNECが協力するとのこと。
自動運転や先進運転支援の実現には、車載カメラで撮影した画像をAIで分析し、どこに歩行者や障害物があるか、どちらの方向に進むべきかなどを判断する技術が必要になる
今回の枠組みではデンソーがNECの持つAIや車載ソフトのシステム開発力を活用
AIが危険を予測し、ハンドルやブレーキを制御する技術を共同開発する
車載用のIT機器を守る情報セキュリティー技術でも連携する
通信機能が付いた「コネクテッドカー(つながる車)」が普及するとサイバー攻撃を受けるリスクが増すため対策が必要になる
デンソーはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」で全世界の工場をつなぐ取り組みを進めており、これにもNECが協力する
NECのAI力などが自動運転では必要なのです。以前も何回か書きましたが、NECはこういった分野、強いですからね。こういったITの技術なしでは自動運転は成り立たないわけですから、結局はどこかと提携する必要があったわけですが、それがNECだったということです。
さて、IT業界が自動運転に重要な役割を担うのはすぐ理解できるとは思いますが、では、なぜ自動車部品メーカーも自動運転に重要な役割を担っているのか。この点について最後に見ておきましょう。
なぜ部品メーカーが自動運転で重要なのか。なぜデンソーは自動運転で大切な役割を担っているのか。
上記日経新聞によると、センサーなどIT機器を車に載せられるよう、耐震性や耐熱性を高める技術は部品メーカーの強みとのこと。
自動運転などを巡り自動車メーカーがIT企業と組むなどしているが、部品の約7割は外部から調達しており、部品メーカーの協力なしに新技術の開発は難しいとのこと。
センサーなどIT機器を車に載せられるよう、耐震性や耐熱性を高める技術は部品メーカーの強み
自動運転などを巡り自動車メーカーがIT企業と組むなどしているが、部品の約7割は外部から調達しており、部品メーカーの協力なしに新技術の開発は難しい
自動車部品メーカーには部品メーカーとしての強みがあります。いいIT機器を車に載せる技術などは、部品メーカーの持ってる技術なわけです。
結局、自動運転で自動車業界がIT業界と組もうとも、自動車部品メーカーも同様にIT業界と組んでいく必要があるということです。
今後、デンソーとNECの連携はどこへ向かうのか、要注目です。