ノジマが買収競争で勝ったというのも興味深い。
ノジマがニフティのインターネット接続など個人向け事業を250億円程度払いを買収へ。
日経新聞によると、家電量販店のノジマは富士通子会社、ニフティのインターネット接続など個人向け事業を買収する方向で調整に入ったとのこと。
ニフティは光回線などのネット接続会員が16年3月時点で134万人。16年3月期の売上高668億円のうちネット接続事業が470億円、メールやブログなどウェブサービス事業が135億円。この2事業が売却対象となるもようとのこと。
買収額は250億円程度とみられるとのこと。
家電量販店のノジマは富士通子会社、ニフティのインターネット接続など個人向け事業を買収する方向で調整に入った
ニフティは光回線などのネット接続会員が16年3月時点で134万人
16年3月期の売上高668億円のうちネット接続事業が470億円、メールやブログなどウェブサービス事業が135億円。この2事業が売却対象となるもよう
買収額は250億円程度とみられる
富士通のニフティ個人向け事業売却。買収するのはあのノジマ。
豆知識: 富士通のニフティ個人向け事業売却は想定通り。富士通はニフティのクラウド事業を得て個人向け事業は切り離す。富士通がニフティをTOBした当初からわかっていたこと。富士通はBtoB向けなどの新しい技術に主軸を移していくが、今後は富士通が短期間でどのように利益を出すのかにも注目が集まる。
ちなみに、昨年の7月、富士通はニフティをTOBで完全子会社化にしてます。つい昨年の7月の話です。
その数か月後になぜ富士通がニフティの個人向け事業を切り離すのか。
富士通にとってはもともとこの事業領域はそんなに関心がないからです。上記日経新聞によると、富士通は個人向け事業を売却する一方、企業向けクラウドサービスはグループ内に残す方針を示していたとのこと。
個人向け事業を売却する一方、企業向けクラウドサービスはグループ内に残す方針を示していた
富士通は、ニフティに関していえば、クラウドサービスが欲しかった。
富士通は特にBtoB領域への関心を示しており、個人向け事業の切り離しをしています。富士通がパソコン事業をレノボ傘下に、という話が昨年後半にありましたが、これも個人向けの切り離しと見て取れます。その意味で、今回富士通がニフティの個人向け事業を切り離したのは、方針通り動いているともいえます。
富士通がやりたいことは、BtoB向けなどに対して新しいIT技術を売り込んでいったりすること。今話題のAIなんか特にそう。
あと多少関連してきますが、富士通で個人的におもしろいと思って以前記事にしたのでは、植物工場事業があります。富士通は北欧で植物工場を設けました。
[富士通が北欧で植物工場] 富士通はフィンランドに植物工場を設け、短い日照でも安定生産できる設備やITシステムを農業生産者に販売へ
この事業は2019年度から設備やITシステムを農業生産者に販売するとされています。この事業でさえ、やはり時間がかかることが想定されているわけです。
富士通は、今転換点にいますが、短期間でどのように儲けを同時にしっかり出すのか。方針は関心できますが、同時にこの直近の儲けの出し方という点にも注目する必要があります。
さて、売り手の富士通の方針は分かりますが、やはり気になるのが今回買い手のノジマ。
なぜノジマがニフティの事業買収で競い勝ったのか。
上記日経新聞によると、ニフティの事業買収にはKDDIやソニーネットワークコミュニケーションズ(旧ソネット)も名乗りを上げていたとのこと。入札手続きを進めた富士通は価格などで好条件を示したノジマを選んだとのこと。
ニフティの事業買収にはKDDIやソニーネットワークコミュニケーションズ(旧ソネット)も名乗りを上げていた
入札手続きを進めた富士通は価格などで好条件を示したノジマを選んだ
KDDIはつい先月、インターネット接続大手のビックグローブを買収しています。その意味で、今回の買収先候補としてもかなり注目視されていました。しかし、今回競い勝ったのはノジマ。
なぜノジマはニフティのネット事業を買うのか。ノジマには早い段階で明確な買収の相乗効果を示してほしい。
量販店に加え、傘下に持つ携帯電話販売の店舗網を活用すれば、ネット接続の顧客を広げられると判断したもようとのこと。
家電販売とネット接続事業の相乗効果も見込み、買収で確保した顧客に家電製品のセキュリティーサービスや使い方サポートの提供を狙うとのこと。家電とネット接続のセット販売にも取り組むとのこと。
接続事業の顧客を囲い込み、ネット接続家電の販売や、利用に応じて課金する各種サービスの提供を増やす狙いがある
量販店に加え、傘下に持つ携帯電話販売の店舗網を活用すれば、ネット接続の顧客を広げられると判断したもよう
家電販売とネット接続事業の相乗効果も見込み、買収で確保した顧客に家電製品のセキュリティーサービスや使い方サポートの提供を狙う
家電とネット接続のセット販売にも取り組む
家電とネット接続のセット販売は当然してくるでしょう。また、買収で確保した顧客に新たなサービスを提供するとしていますが、このネット接続事業のそもそもの課題は、年々需要が減っているという点であります。新たな需要を喚起する対策が必要となります。
携帯電話販売の店舗網を活用して、どのくらい顧客を広げられるのか。
ちなみに、KDDIがビックグローブ買収の時に描いていたのは、au経済圏と呼ぶ新しいビジネス領域の拡大です。
日経新聞によると、KDDIがビッグローブを買収する狙いは、「au経済圏」と呼ぶ新しいビジネス領域の拡大にあるとのこと。日用品や食品、電気、保険など様々な分野の支払いを自社の電子マネー「auウォレット」でつなぎ、手数料やマージンで稼ぐとのこと。これまではスマートフォン(スマホ)の利用者が主な対象だったが、ビッグローブを買収したことで個人から世帯単位に顧客層を広げやすくなるとのこと。
KDDIがビッグローブを買収する狙い
「au経済圏」と呼ぶ新しいビジネス領域の拡大
日用品や食品、電気、保険など様々な分野の支払いを自社の電子マネー「auウォレット」でつなぎ、手数料やマージンで稼ぐ
これまではスマートフォン(スマホ)の利用者が主な対象だったが、ビッグローブを買収したことで個人から世帯単位に顧客層を広げやすくなる
このような戦略を打ち出す背景には、ネット接続事業そのものが苦戦の状況にあるというのがあります。
上記日経新聞によると、固定回線利用のネット接続事業者は市場縮小で苦戦しているとのこと。
固定回線利用のネット接続事業者は市場縮小で苦戦している
ニフティはネームバリューこそありますが、業界全体の動向と同じく、ネット接続事業は右肩上がりではありません。
ゆえに、ノジマにも、ノジマなりの長い目で見た戦略と相乗効果をしっかりと明確に示す必要があります。ノジマがKDDI以上のプランを描いているか。ライバルなわけですから、ここにも注目が集まります。
ノジマの会見にも注目です。