リコーがカメラ事業を縮小するという厳しい話。
最近はカメラ事業が厳しいという話はよく聞きます。今回テーマのリコーについていえば、利益という点において、非常に厳しい状況に立たされています。
今回はリコーがカメラ事業を縮小するという話。
リコーがカメラ事業を縮小へ。リコーは価格競争が激しい個人向けカメラは撤退も視野。「GR」シリーズや「ペンタックス」など生産販売体制を抜本的に見直す。
日経新聞によると、リコーがカメラ事業を縮小するとのこと。価格競争が激しい個人向けカメラは撤退も視野に検討するとのこと。
コンパクトデジタルカメラ「GR」シリーズや一眼レフカメラ「ペンタックス」など個人向けカメラを中心に製品戦略、生産販売体制を抜本的に見直すとのこと。
リコーはカメラ事業を縮小する
価格競争が激しい個人向けは撤退も含め検討
コンパクトデジタルカメラ「GR」シリーズや一眼レフカメラ「ペンタックス」など個人向けカメラを中心に製品戦略を見直す
個人向けカメラは撤退も視野に生産販売体制を抜本的に見直す
考察: リコーはHOYAから2011年にペンタックスのデジタルカメラ部門を買収するも、スマホに市場を奪われ、赤字が続く。リコーのペンタックス買収は失敗。一方、不採算であったペンタックスのデジタルカメラ部門を売却したHOYAは、ペンタックスの医療機器などの欲しい事業はちゃっかり残したうえで売っている。
ペンタックス。
老舗であり、昔は本当に誰もが知るブランドでした。当時ほどではないですが、いまだにファンも多いブランドではあります。
リコーはHOYAから2011年にペンタックスのデジカメ部門を買収しているわけですが、この事業が赤字続きという事実。そもそも利益が出せないという時点で、リコーのペンタックス買収は失敗だったといえます。
上記日経新聞によると、リコーは高級カメラがなかったため、デジカメ市場が既に縮んでいた11年にHOYAから100億円で「ペンタックス」事業を買収したとのこと。同事業は買収後も赤字が続くとのこと。
高級カメラがなかったため、デジカメ市場が既に縮んでいた11年にHOYAから100億円で「ペンタックス」事業を買収した
買収後も赤字が続く
リコーは既にデジカメ市場が縮小している中、ペンタックスのデジカメ部門買収と、突っ走ってしまった感があります。さらに、スマホのシェア拡大は続き、ますますシェアを奪われています。
一方、デジカメ部門を売ったHOYAはどうでしょうか。
HOYAはわずか数年で売った、ペンタックス買収は失敗だった、などという声もかつては聞こえてきました。
ただ、HOYAはペンタックスの医療機器部門など、HOYAはが欲しいところはがっつりもっていったうえで、不採算のデジカメ部門を売却しているわけです。
そう考えると、ペンタックスという有名ブランドが欲しくて突っ走ってしまった感があるリコーと、欲しいものを除いた不採算部門をうまく売り抜いた感があるHOYA、両社の選択はまったく異なっています。
いずれにせよ、リコーはせっかくペンタックスというブランドを手に入れたのに、これをうまく扱いきれなかった、ここが残念なところでもあります。もちろん、その大きな要因の一つに、時代の流れというのは存在します。
考察: なぜリコーはペンタックス事業を買収したのか。リコーの個人向けカメラ事業は買収後も赤字が続く。リコーは17年3月期決算はデジカメで100億円も減損する。
上記日経新聞によると、カメラ事業はリコーにとって祖業にあたるとのこと。
ペンタックスの一眼レフカメラブランドを前面に出し、個人向け販売を増やす戦略だったとのこと。
ただ販売は伸び悩み、リコーのレンズ交換式カメラの世界シェアは現在6位、カメラ全体では8位とのこと。360度カメラ「シータ」など特徴ある製品もあるが、高精細な写真を撮影できるスマホ市場の拡大を受け個人向けカメラ事業は買収後も赤字が続いていたとのこと。
カメラ事業はリコーにとって祖業にあたる
ペンタックスの一眼レフカメラブランドを前面に出し、個人向け販売を増やす戦略だった
ただ販売は伸び悩み、リコーのレンズ交換式カメラの世界シェアは現在6位、カメラ全体では8位
360度カメラ「シータ」など特徴ある製品もあるが、高精細な写真を撮影できるスマホ市場の拡大を受け個人向けカメラ事業は買収後も赤字が続いていた
ちなみにこれは11日の話ですが、リコーは17年3月期の連結業績予想を下方修正しています。デジタルカメラ事業で100億円も減損があったという話。
さきほど100億円でペンタックス事業を買収したとありました。この2つの100億円はまったく別物で、単純比較できませんが、金額が同じというのも、なんともいえない気持ちになります。赤字だけでなく、100億円の減損という話まで出てきているわけです。
今回は、リコーが個人向けカメラの撤退も、という話。今後はペンタックスがどうなるのかについて要注視する必要があります。もし売られることがあれば、これを買うのはどこなのか。ペンタックスブランド再興はあるのか。
考察: デジタルカメラの世界出荷台数はピークの10年と比べ5分の1。カメラに強い企業も多角経営の時代。
デジタルカメラはどれくらい厳しい状況なのでしょうか。
上記日経新聞によると、スマートフォン(スマホ)に市場を奪われ、デジタルカメラの世界出荷台数はピークの10年と比べ5分の1になっており抜本改革に乗り出すとのこと。なかでもスマホと競う小型デジタルカメラが不振とのこと。
出荷台数のピークは08年で、その前年の07年に「iPhone」が発売されたとのこと。その後のスマホの急速な普及で小型デジカメは前年比3~4割減のペースで出荷台数が減り、16年は08年の約10分の1の約1200万台。レンズ交換式カメラとほぼ同規模となっているとのこと。利益を維持しているのはキヤノンやニコンといったレンズ交換式に強い企業とのこと。
スマートフォン(スマホ)に市場を奪われ、デジタルカメラの世界出荷台数はピークの10年と比べ5分の1になっており抜本改革に乗り出す
なかでもスマホと競う小型デジタルカメラが不振
出荷台数のピークは08年で、その前年の07年に「iPhone」が発売された
その後のスマホの急速な普及で小型デジカメは前年比3~4割減のペースで出荷台数が減り、16年は08年の約10分の1の約1200万台
レンズ交換式カメラとほぼ同規模となっているとのこと。利益を維持しているのはキヤノンやニコンといったレンズ交換式に強い企業
このように、iPhoneの登場などで、大変厳しい状況になっています。
キヤノンはシェアがでかくて、あと利益も出しているわけですが、その一方、多角経営を積極的に進めています。東芝メディカルシステムズの大型買収なんか見てもよく分かります。
ちなみに、キヤノンが買収した東芝メディカルシステムズは、早速ジカ熱検査キット開発へ臨床試験へと動き始めています。
[まずは注目のジカ熱から] 東芝メディカルシステムズがジカ熱の検査キット開発へ臨床試験スタート。遺伝子狙いなのは分かっていたが、早速話題のジカ熱対策とはおもしろい。
豆知識: リコーの賢い黒板はなかなか興味深い
なお、リコーもいろいろ新しいことをしようとする姿勢はたまに見て取れます。個人的におもしろいと思うのは、リコーが開発した賢い黒板。
これはAI黒板で、アイデアとしてはおもしろい。
ただ、これもあくまで一つの形。今後、リコーは将来的にどこへ向かっていきたいのか、さらに明確に示していく必要があります。
なお、リコーはカメラだけでなく、頼りの事務機事業がいまいちぱっとしないところが非常に痛い。それが下記。
カメラ事業を縮小するリコー、今後は車載カメラなど業務用に人員や設備を振り向ける。リコーは収益源の事務機事業も伸び悩む
上記日経新聞によると、今後は経営資源を車載向けなど業務用に集中させるとのこと。12日に発表する中期経営計画に盛り込むとのこと。
車載用は18年度にも初めて製品化し、車載向けレンズなどで20年に500億円の売り上げを見込むとのこと。生産余力が大きいベトナムなどのコンパクトデジタルカメラの工場の一部も車載向け増産にあてる計画とのこと。
リコーは収益源の事務機事業も伸び悩むとのこと。カメラや半導体など周辺事業の見直しのほか、事務機本体の販売体制の見直しにも着手するとのこと。
国内では定年退職後のシニア雇用対象者などに早期退職相当の扱いで退職者を募る計画とのこと。
- 今後は経営資源を車載向けなど業務用に集中させる
- 12日に発表する中期経営計画に盛り込む
- 車載用は18年度にも初めて製品化し、車載向けレンズなどで20年に500億円の売り上げを見込む
- 生産余力が大きいベトナムなどのコンパクトデジタルカメラの工場の一部も車載向け増産にあてる計画
- リコーは収益源の事務機事業も伸び悩む
- カメラや半導体など周辺事業の見直しのほか、事務機本体の販売体制の見直しにも着手する
- 国内では定年退職後のシニア雇用対象者などに早期退職相当の扱いで退職者を募る計画
ペンタックスのゆくえは。要注目です。