[更新] この交渉は後に決裂しました。記事一番下をご参照ください。
武田薬品工業がカナダ製薬大手のバリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルと胃腸薬事業の買収交渉。
日経新聞によると、武田薬品工業がカナダ製薬大手のバリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルと胃腸薬事業の買収交渉を進めていることが1日わかったとのこと。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が同日夕に報じたとのこと。数週間以内に合意する可能性があるとのこと。
武田薬品工業がカナダ製薬大手のバリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルと胃腸薬事業の買収交渉を進めていることが1日わかった
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が同日夕に報じた
数週間以内に合意する可能性がある
武田がバリアントの事業買収ですか。この時点で久々に武田が暴れてくれるような感じがしてきました。さて、もう少し詳しい話をする前に、少し復習しておきたいことがあります。なんで武田が胃腸薬事業を買収しようとしているかという点について。それが下記。
なぜ武田はバリアントから胃腸薬事業を買収したいのか。武田が集中したい領域はがん、消化器系疾患、中枢神経系疾患の3つ。胃薬は消化器官の薬。武田の戦略上は胃腸薬事業買収は納得のいく話。
さて、武田は選択と集中をしているとは以前書きました。武田の集中分野、それは、
- がん
- 消化器系疾患
- 中枢神経系疾患
この3分野です。
胃薬医薬ってのは、便秘の薬とかと同様、消化器官の薬です。武田は、この胃薬分野、すなわち、消化器系疾患の分野で、今回勝負をかけてきているとみていいでしょう。
消化器官、下記で出てくるように、下痢止め剤が強い会社です。武田が胃腸薬事業を欲しいというのは、戦略的には納得のいく話ではあります。
さて、今回注目なのは、その買収金額。それが下記。
武田のバリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルの胃腸薬を手掛けるサリックス部門の買収の買収金額は。
上記日経新聞によると、実現すれば買収総額は100億ドル(約1兆400億円)規模とのこと。
実現すれば買収総額は100億ドル(約1兆400億円)規模
1兆400億円。こりゃ武田は相当勝負かけましたね。
武田が買収しようとしているバリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルの胃腸薬部門とは。武田はサリックス・ファーマシューティカルズを買収しようとしている。サリックス・ファーマシューティカルズとは。サリックスの主力は下痢止め薬「キシファクサン」。
上記日経新聞によると、武田が買収しようとしているのは、サリックス・ファーマシューティカルズとのこと。
サリックスは旅行者向けの下痢止め剤などを主力とするとのこと。バリアントはアイルランドのエンドー・インターナショナルとの買収合戦の末、サリックスを傘下に収めていたとのこと。
1日のBloombergによるとサリックス部門の主力製品は下痢止め薬「キシファクサン」で、第2四半期の売り上げは2億ドルだったとのこと。
武田が買収しようとしているのは、サリックス・ファーマシューティカルズ
サリックスは旅行者向けの下痢止め剤などを主力とする
バリアントはアイルランドのエンドー・インターナショナルとの買収合戦の末、サリックスを傘下に収めていた
サリックス部門の主力製品は下痢止め薬「キシファクサン」で、第2四半期の売り上げは2億ドルだった
武田はバリアントのサリックスを買収することができるのか。サリックス買収での競合は。
上記Bloombergによると、他にも少なくとも1社が買収に関心を持っているとのこと。
他にも少なくとも1社が買収に関心を持っている
というわけで、いったいどこでしょうか。この競合となる1社とは。
なぜバリアントは武田薬品工業にサリックス・ファーマシューティカルズを売却するのか
上記日経新聞によると、バリアントは2015年に買収した胃腸薬に強い米サリックス・ファーマシューティカルズを武田薬品に売却し、負債圧縮の返済原資に充てるとのこと。バリアントは会計処理を巡る不祥事があり、財務基盤が悪化していたとのこと。
バリアントは2015年に買収した胃腸薬に強い米サリックス・ファーマシューティカルズを武田薬品に売却し、負債圧縮の返済原資に充てる
バリアントは会計処理を巡る不祥事があり、財務基盤が悪化していた
ありましたね。バリアントの会計不祥事。当時は、製薬業界のエンロンなんていう言い方も一部でされてました。いまだにその会計不祥事のが財務を引っ張っていて、サリックス売却に踏み切るということでしょう。現に、バリアントは買った金額より低い金額でサリックスを売却します。それが下記。
武田のサリックス買収で1兆円超は妥当な金額なのか。バリアントにとって100億ドルでの売却は、サリックス買収で支払った111億ドルを下回る金額。取引には85億ドル以上の現金と将来のロイヤルティーの支払いが含まれる見込み。
上記Bloombergによると、バリアントにとって、100億ドルでの売却となれば、買収で支払った111億ドルを下回る額で手放すことになるとのこと。
取引には85億ドル以上の現金と将来のロイヤルティーの支払いが含まれる見込みとのこと。
バリアントにとって、100億ドルでの売却となれば、買収で支払った111億ドルを下回る額で手放すことになる
というわけで、お金が必要なバリアントと、選択集中を進めたい武田の思惑が一致といったところでしょうか。両社からは現時点でノーコメントのようです。しかし、バリアントも相当金が必要なんでしょう。サリックスは去年買ったばかりの会社ですから。
果たして、武田は無事に買うことができるのか、そして、買うことができるならば、この選択と集中はうまくいくのか。今後に要注目です。
[更新] 武田はバリアントの胃腸薬部門を無事に買うことができなかった
期待されていた1兆円超の買収交渉ですが、決裂しました。
武田のバリアント胃腸薬事業買収交渉が破談に。価格面などで折り合えず。買収交渉決裂は武田、バリアント両社にとって残念な話