GEの参入は日本メーカー独占市場を揺るがす。
GE(ゼネラル・エレクトリック)が日本で大型火力発電所の建設に参入。GEは東洋エンジニアリングと組み、全国の電力大手や新規参入の発電会社からの受注をめざす
日経新聞によると、ゼネラル・エレクトリック(GE)が日本で大型火力発電所の建設に参入するとのこと。東洋エンジニアリングと組み、全国の電力大手や新規参入の発電会社からの受注をめざすとのこと。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)が日本で大型火力発電所の建設に参入する
東洋エンジニアリングと組み、全国の電力大手や新規参入の発電会社からの受注をめざす
豆知識: 日本で火力発電所建設に参入するGEと組む東洋エンジニアリング、昨年末に、GEと組んでガス火力応札と報じられていた。
さて、今回GEが組むのは、プラントエンジニアリング大手である東洋エンジニアリング。
実は、東洋エンジニアリングに関しては、関係者の中では昨年末に大きな話題がありました。その時に、GEの名前も出ています。
昨年末、日経産業新聞が、東洋エンジニアリングがGEと組んでガス火力応札という大変興味深い報道をしました。
この報道は、東洋エンジニアリングが発電をテコ入れするという話であり、国内の火力発電所のEPCということに加え、さらにGEも絡んでいるぞというわけで、関係者の間では大きな話題となったかと思います。
そして今回。GEと東洋エンジニアリングが組んで、日本国内の大型火力発電所に本格参入するという、具体的に突っ込んだ話が出ました。いよいよかといったところ。
GEは東洋エンジニアリングと組んで、日本でどのような火力発電所を建設しようとしているのか。GEは最新鋭のタービン技術を日本に持ち込み市場を開拓。
上記日経新聞によると、GEが狙うのは出力50万キロワットを超える火力発電所の建設とのこと。規模にもよるものの、総事業費は1カ所で数百億円。近く実施される首都圏での建設計画に応札し、最初の受注をめざすとのこと。今後は年2~3カ所のペースで受注の獲得を見込むとのこと。
プラント建設にはEPC(設計・調達・建設)と呼ぶ建設から試運転まで一貫して手がける手法があり、日本のメーカーが得意としてきたとのこと。GEはシェアが高い機器類の販売に力を入れてきたが事業戦略を転換するとのこと。
GEは最新鋭のタービン技術を日本に持ち込み市場を開拓するとのこと。ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)と呼ぶガスタービンを回した排熱で蒸気タービンを回す発電効率の高いシステムで、すでにブラジルでは2020年に運転を始める1000億円規模のプラントを受注しているとのこと。
GEが狙うのは出力50万キロワットを超える火力発電所の建設
規模にもよるが、総事業費は1カ所で数百億円。近く実施される首都圏での建設計画に応札し、最初の受注をめざす
今後は年2~3カ所のペースで受注の獲得を見込む
プラント建設にはEPC(設計・調達・建設)と呼ぶ建設から試運転まで一貫して手がける手法があり、日本のメーカーが得意としてきた
GEはシェアが高い機器類の販売に力を入れてきたが事業戦略を転換する
豆知識: いよいよ日本で火力発電所建設に参入するGEは、発電施設において、世界最高効率のコンバインド・サイクル発電所としてギネス世界記録を達成したことでも有名。発電効率に強いGE参入は、価格競争で勝負でき、間違いなく競合他社の脅威。
さて、今回日本の火力発電建設に参入するGEですが、大型ガスタービンシェアがトップであるのは有名なところですが、昨年中旬にもう一つ興味深い話が出ました。
これは昨年6月の話ですが、GEとEDFは、フランス、ブシャンにあるGEのHAガスタービンを用いた初のコンバインド・サイクル発電所が稼働開始したと発表しました。
そして、GEは、このブシャン火力発電所では送電端効率62.22%を達成し、世界最高効率のコンバインド・サイクル発電所であることがギネス世界記録として認定されたことも発表したとしています。
技術的な話なども書いてあるので、参考資料として貼っておきます。
GE、発電施設における最高効率のギネス世界記録を達成(GEニュース)
GEの発電効率が高いのは以前から有名ですが、発電効率がいいということは、それだけ価格競争力が高いということもできます。となると、当然、これまでの主要プレーヤーにとっては脅威以外の何ものでもないといえます。
GEの参入は、火力発電所建設市場を揺るがす話なわけです。
なぜGEは火力発電所建設に参入するのか。GEは電力小売り全面自由化を商機とし、効率の良い発電プラントで勝負か。三菱重工業、日立製作所、IHIなど重電大手の対応に注目が集まる。
国内では1970年代に建設された老朽化した火力発電所が多い。日本政策投資銀行の15年時点の予測によると、火力発電の新設・改修計画の規模は全国で約2050万キロワットで総投資額は約2兆5000億円にのぼるとのこと。石炭火力を含む新設の約4割は新規参入事業者の需要とみられるとのこと。
これまで電力プラントは電力大手が建設まで自前で手がけるか、三菱重工業や日立製作所、IHIなど重電大手が担ってきたとのこと。閉鎖性の高い市場だったが「昨年4月の電力小売り全面自由化で流れが変わってきた」(東洋エンジ)とのこと。
異業種からの新規参入が相次ぎ、料金競争が激しくなっており、低コストの発電所の需要は高まっているとのこと。東京電力ホールディングスも火力発電所の建て替えでコスト削減を求められており、市場拡大が見込まれるとのこと。
電力自由化による競争激化で効率の良い発電プラントは、商機が広がると判断した
国内では1970年代に建設された老朽化した火力発電所が多い
日本政策投資銀行の15年時点の予測によると、火力発電の新設・改修計画の規模は全国で約2050万キロワットで総投資額は約2兆5000億円にのぼる
石炭火力を含む新設の約4割は新規参入事業者の需要とみられる
これまで電力プラントは電力大手が建設まで自前で手がけるか、三菱重工業や日立製作所、IHIなど重電大手が担ってきた
閉鎖性の高い市場だったが「昨年4月の電力小売り全面自由化で流れが変わってきた」(東洋エンジ)
異業種からの新規参入が相次ぎ、料金競争が激しくなっており、低コストの発電所の需要は高まっている
東京電力ホールディングスも火力発電所の建て替えでコスト削減を求められており、市場拡大が見込まれる
上記でも書いたように、発電効率で強みのあるGEの参入は、電力自由化で価格競争が激しくなってきている今だからこそ商機がある話。
そして、この動きに対応を迫られるのが、三菱重工業、日立製作所、IHIなど重電大手。ただでさえシェアのでかいGEが、日本国内の自分の領域にまで入ってくるとなると、これはまったく笑えない話。
いったいどのような対応を見せるのかに注目が集まっています。
日本で火力発電所建設に参入するGEは、プラント建設まで一貫して手掛ける事業基盤、運営ノウハウ、さらに、IoTにまで強み。
上記日経新聞によると、GEは15年に仏アルストムの重電事業を買収。16年には韓国・斗山建設からガスタービンの排熱を回収するボイラー事業を買い取るなどして、プラント建設まで一貫して手がける事業基盤と運営ノウハウを手に入れたとのこと。
さらにGEはIoTで工場や産業用機器のデータを分析し、効率的な運営や保守をサポートする技術に強みを持つとのこと。プラント全体を手がけ、発電所の建設・運営コストをトータルで抑える手法で日本勢に対抗するとのこと。
GEは東芝と30年以上にわたり連携してガスタービンを電力会社に供給してきたが、エンジニアリング専業と組み、自ら発電所建設に乗り出すことで、市場をほぼ独占してきた日本勢は戦略の見直しを迫られるとのこと。
GEは15年に仏アルストムの重電事業を買収。16年には韓国・斗山建設からガスタービンの排熱を回収するボイラー事業を買い取るなどして、プラント建設まで一貫して手がける事業基盤と運営ノウハウを手に入れた
さらにGEはIoTで工場や産業用機器のデータを分析し、効率的な運営や保守をサポートする技術に強みを持つ
プラント全体を手がけ、発電所の建設・運営コストをトータルで抑える手法で日本勢に対抗する
GEは東芝と30年以上にわたり連携してガスタービンを電力会社に供給してきたが、エンジニアリング専業と組み、自ら発電所建設に乗り出すことで、市場をほぼ独占してきた日本勢は戦略の見直しを迫られる
アルストムの買収でGE優勢に拍車がかかったわけですが、GEのもう一つの強みは、IoTでの運営ができること。結局このIoTでの運営も、「効率化」というキーワードへと行き着きます。今回、東洋エンジニアリングと組み、本格的に参入してきたGE。
火力発電所建設は、競争激化で大荒れになるのか。重電大手はどう対応してくるのか。要注目です。