KKRとベインが組む?
[更新] 下記記事は、すべて革新機構とKKRが組み、そこにベインが加わるという話を前提にしています。
東芝メモリ買収合戦。
私の方でも記事が多くなってきましたが、とりあえず2次入札締め切り後、一度まとめました。
[東芝メモリ2次入札締め切り、やはりあそこが最有力候補か] 東芝半導体で4陣営が応札。WDは個別提案 。ブロードコムとKKRが有力候補との情報も。WDのことを考えて今後話を進めないといけない。
上記の記事で4陣営は、
- KKR(注記 +革新機構?????) => 有力候補?
- ベインキャピタル&SKハイニックス
- ブロードコム => 有力候補?
- 鴻海
としていました。
で、ここのどこかにWDが入るといったパターンが考えられますが、不透明感が残っているというのがここまでの話。
そして、今回の話としては、ベインがKKR・革新機構に合流する案という話。いろいろ案があるのはいいですが、下記で書きますように、これは現時点で難しいような気がします。
KKR・革新機構にベインキャピタルが合流する案
13日の日経新聞によると、東芝の半導体メモリー事業の売却を巡り、産業革新機構と米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)を軸としてきた日米連合に米ベインキャピタルが合流する案が浮上したとのこと。
KKRとベインは入札手続きに個別に応札していたが、合流することで買収金額の上積みをめざすとのこと。ただ競合するKKRとベインの交渉は難航も予想されるとのこと。
東芝の半導体メモリー事業の売却を巡り、産業革新機構と米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)を軸としてきた日米連合に米ベインキャピタルが合流する案が浮上した
KKRとベインは入札手続きに個別に応札していたが、合流することで買収金額の上積みをめざす
ただ競合するKKRとベインの交渉は難航も予想される
ベインの日米連合合流案、ただ、KKRとベインが手を組むのは現実的には難しい。仮に手を組んだとして、KKRとベイン、どちらが主導権を握るのか。さらに、ベインと組むSKハイニックスはどうなるのか。
ベインがKKR・革新機構に合流するという今回の案。
いや、現実的には、そんな簡単な話ではないでしょう。
今回の記事は難航も予想される、とさらっとかかれてますけども、KKRとベインが組むというのは難航どころの話じゃないと思います。
まず、KKRとベイン、どちらが主導権を握るのかという点が重要になってきます。
KKRとベインはライバル同士のファンド。どうぞ、主導権はお渡しします、では、何のための出資か分からなくなります。
思い出してみてください。
東芝メモリの出資上限は20%かどうかという議論をしていたあの頃を。ファンドですから、影響力は行使したいのは当然のこと。
影響力を行使したいライバル同士のファンドがそうすんなりと組めるかどうか。
難しいでしょう。
そもそも、ベインはSKハイニックスと組むことを想定し、独自の考えを持っています。
[ベインが革新機構をKKRから奪う?] 米ベインがMBO提案、革新機構に合流提案も。ベインを選ぶにせよ、SKハイニックスの狙いはしっかり精査する必要がある。
このSKハイニックスがちゃっかり東芝メモリに出資しようとしてるあたりがなんとも不気味だとは、以前から何回か指摘しました。
仮にKKRとベインが組むことになって、ではSKハイニックスはどうなるのか、ここも非常に不透明なところであります。
そして、さらに重要なこと。今回の案は、WDを除くことを想定した時の案なわけです。それが下記。
なぜKKRとベインが組む案が浮上しているのか。WD除いた案ということは、WDとガチンコ対決する時に備えていろいろな案を考案しているとも考えられる。
今回の案は、WDを除いたプランであることは非常に重要。
上記日経新聞によると、KKRとベインは5月中旬の2次入札では個別に応札していたとのこと。両社が手を組み、革新機構や日本政策投資銀行で形成する日本勢とともに連合を組成すれば、有力候補の一つである米半導体メーカーのブロードコムに対抗できることになるとのこと。
革新機構や政投銀はKKRのほか、WDも入る日米連合をつくる案が有力だったとのこと。ただWDは東芝の半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の経営権を将来的に取得することにこだわり、国際機関に仲裁を申し立てるなど強硬姿勢を崩していないとのこと。
WDを除く日米連合で買収金額2兆円をめざす案としてKKRとベインの連携が検討され始めたとのこと。
KKRとベインは5月中旬の2次入札では個別に応札していた
両社が手を組み、革新機構や日本政策投資銀行で形成する日本勢とともに連合を組成すれば、有力候補の一つである米半導体メーカーのブロードコムに対抗できることになる
革新機構や政投銀はKKRのほか、WDも入る日米連合をつくる案が有力だった
ただWDは東芝の半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の経営権を将来的に取得することにこだわり、国際機関に仲裁を申し立てるなど強硬姿勢を崩していない
WDを除く日米連合で買収金額2兆円をめざす案としてKKRとベインの連携が検討され始めた
基本的には、WDとガチンコ対決は避けるべき。
ファンド・革新機構・政策銀行・WDという大枠が一番理想なわけです。
ただ、WDをまったくもって排除した案として浮上したのが、KKRとベインの組み合わせ。
要するに、WDが妥協せず、WDとガチンコ対決する際の案であるともいえます。
ただ、再度強調すると、WDを突き放して、KKRとベインが仲良く買収すると考えるのはどうかと思うわけです。それが下記。
WDとガチンコして、KKRとベインが組まなかったらどうするのか。この際は、ブロードコムが勝者の可能性も。WDは譲歩し、巻き返す可能性が残っている。ベインは自社主導での買収も検討中。
上記日経新聞によると、WDも15日までに東芝に対し譲歩案を提示する意向を示しており、内容次第で巻き返す可能性は残るとのこと。
ベインは自社主導での買収も検討しているとのこと。KKRとの利害が一致するかも不透明で、なお曲折がありそうだとのこと。
WDも15日までに東芝に対し譲歩案を提示する意向を示しており、内容次第で巻き返す可能性は残る
ベインは自社主導での買収も検討しているとのこと。KKRとの利害が一致するかも不透明で、なお曲折がありそうだ
ベインは自社主導での買収も検討しているとありますが、これはまったくもって当然のこと。
ベインとしては、むしろKKRを排除して、革新機構と組みたいと思っていることでしょう(以前のMBO記事参照)。
それぐらい、KKRとベインを組ませるという案は、難航するわけです。
そして、この流れになる際というのは、WDとガチンコ対決する際です。
仮に、KKRとベインが決裂したらどうでしょうか。これは一番たまらないパターンです。
こうなってくると、ブロードコムの東芝メモリ買収が現実味を帯びてきます。だって、WDとガチンコ対決するということは、WDの意向なんて気にしなくていいという意味ですから、ブロードコムだっていいという話になってきてしまうわけです。
今回の案は、現時点でかなり不透明感の高い案といえます。WDはどう妥協するのか、そして、ベインはどう動くのか。要注目です。
[更新] 革新機構はKKRではなくベインをメインパートナーに
15日の日経新聞によると、革新機構はこれまで考えられていたKKRではなく、ベインと連合を組むとのこと。
KKRではなく、ベインをパートナーに。革新機構はこれまで組むとされていたKKRではなく、ベインを選んだということです。このあたりは、以前、こういった可能性もあるとされていましたので、むちゃくちゃな驚きはありません。
ベインと組むことにした、と。今後の焦点としては、SKハイニックスについてはどうするのか、WDがここに入り込む余地はあるのか、このあたりとなります。