ベインが出てきた。

 

東芝メモリ買収争奪戦

 

KKRが革新機構と組むという時点で、私の方でもKKR・革新機構が最有力候補であると以前書きました。

 

[まさかまさかのKKR登場、革新機構は裏で動いていた] 東芝半導体売却で米KKR・革新機構が共同入札へ。KKRは二次入札に強い。WDも合流させ、KKR・革新機構・WDが連合を組めれば一番いいだろう。

 

その後、懸念となっていたWDが他社への売却は認めないと大きく文句を言い始めた状況。

 

そんな状況下で、ベインがMBO提案というのが今回の話。

 

やはり今回外せないポイントとしては、この背後にSKハイニックスがいることでしょうか。ベインの提案はきちんと精査する必要があるといえます。

 

 

東芝メモリ入札で、米投資ファンドのベインキャピタルがMBO(経営陣が参加する買収)を提案。東芝メモリにベインが51%以上出資し、残りは東芝メモリ経営陣や東芝本体などが保有する形、産業革新機構にも出資を打診。

19日の日経新聞によると、東芝の半導体メモリー事業の入札で、米投資ファンドのベインキャピタルがMBO(経営陣が参加する買収)を提案することが18日わかったとのこと。

 

同事業を分社した「東芝メモリ」にベインが51%以上出資し、残りは東芝メモリ経営陣や東芝本体などが保有する形を取るとのこと。ベインは少数株主として官民ファンドの産業革新機構にも出資を打診する方針で、新たな有力候補になる可能性があるとのこと。

 

  • 東芝の半導体メモリー事業の入札で、米投資ファンドのベインキャピタルがMBO(経営陣が参加する買収)を提案することが18日わかった

  • 同事業を分社した「東芝メモリ」にベインが51%以上出資し、残りは東芝メモリ経営陣や東芝本体などが保有する形を取る

  • ベインは少数株主として官民ファンドの産業革新機構にも出資を打診する方針で、新たな有力候補になる可能性がある

 

MBOといってますが、経営陣が参加する買収とあるように、要はベインからの資金協力も得て、東芝メモリの経営陣が経営に参画していくという話です。

 

これ自体はいいことですし、東芝メモリ陣営はこの言葉に安心感を覚えるでしょう。

 

ただ、一方で今回やはり気になるのは、SKハイニックスの存在です。SKハイニックスはベインと当初から組んでいます。これについては下記で扱います。

 

まずは、ベインの提案に関わらず、今回の買収戦での最重要キーワードであるWDについて再度確認しましょう。どこが大きく出資するにせよ、WDの動向は無視できないものとなっています。

 

 

余談: 東芝メモリ買収争奪戦、KKRだろうがベインだろうが、WDを納得させたところが最も有利。KKR、ベイン、SKハイニックス、皆WDとのうまい連携を探っている

WDが最重要プレーヤー。これは当初から同じことです。

 

[東芝メモリの将来はウエスタンデジタルが握る] ウエスタンデジタル(WD)は東芝半導体「他社に売却認めず」。どんな形であろうとウエスタンデジタルを納得させないと話にならない。

 

本当はWDがブチギレる前に、東芝がWDと話を進めておくべきでしたが、この両社はかみ合っていなかったので、結果として、WDは売却停止を求めて国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てました

 

状況としては、非常に厳しい状況

 

今後、WDを無視して突っ走るという考えがある一方、WDをうまくなだめ、うまく協力関係に持ち込むという、より良いパターンも考えられるわけです。

 

結果、どこが出資先になるにせよ、WDとうまく話をまとめてくるところは有利な立場になるといえます。

 

今回話題のベイン、及び後に出てくるSKハイニックス、KKR、皆WDとのうまい連携を探ることに気をつかっています。

 

WDとKKRが近いことは以前から指摘がありましたし、今回のベインもWDを重要視しているのが分かります。上記日経新聞によると、ベインは買収に向けてWDとも協議する考えを示しているとのこと。

 

  • ベインは買収に向けてWDとも協議する考えを示している

 

SKハイニックスだってそうです。中央日報は、SKハイニックスがWDとの協力に関心があると以前報じていますし、崔泰源(チェ・テウォン)会長なら必ずWDとの協業を選ぶでしょう。

 

さて、今回のポイントは、SKハイニックスが入り込んでくる点です。これはどういうことか。

 

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ベインの提案では、東芝メモリはハイニックスとの協業が必要になってくるか

上記日経新聞によると、ベインは東芝メモリ株の過半数の取得のために特別目的会社(SPC)を設立するとのこと。メモリー大手の韓国SKハイニックスがSPCに資金供給する格好で連合を組むとのこと。ハイニックスは黒子にとどまることで独占禁止法への抵触を避けるとのこと。

 

買収後は2年後をメドに東京証券取引所に東芝メモリを上場させ、投資資金を回収する計画とのこと。

 

ベイン陣営の買収総額は1兆数千億円規模とみられ、東芝が求める「2兆円以上」には届かないもようとのこと。ハイニックスとの協業による東芝メモリの成長可能性を訴え、東芝側の譲歩を引き出す考えとのこと。

 

  • ベインは東芝メモリ株の過半数の取得のために特別目的会社(SPC)を設立する

  • メモリー大手の韓国SKハイニックスがSPCに資金供給する格好で連合を組む

  • ハイニックスは黒子にとどまることで独占禁止法への抵触を避ける

  • 買収後は2年後をメドに東京証券取引所に東芝メモリを上場させ、投資資金を回収する計画

  • ベイン陣営の買収総額は1兆数千億円規模とみられ、東芝が求める「2兆円以上」(綱川智社長)には届かないもよう

  • ハイニックスとの協業による東芝メモリの成長可能性を訴え、東芝側の譲歩を引き出す考え

 

 

考察: SKハイニックスは、NAND市場を見据え、東芝の技術が欲しいのは間違いない。SKハイニックスと鴻海が近いことも忘れずに。ベインと組んだSKハイニックスはある意味鴻海より恐ろしい。ベインと組む前に、SKハイニックスの狙いと今後の関わりまできちんと精査しないといけない。

上記にあるように、ベインの計画では、SKハイニックスが東芝と協業することを想定しています。

 

SKハイニックスはSPCに資金供給するとありますし、以前からベインとSKハイニックスで連合組むとありますから、この計画自体は理解できます。

 

もちろん、東芝は同業のSKハイニックスとお付き合いもあります。

 

ただ、SKハイニックスからしてみれば、NAND市場を見据え、東芝の技術が欲しいのは間違いないでしょう。

 

SKハイニックスは前面には出てきていませんが、ちゃっかりと東芝メモリに入り込もうとしているわけです。SKハイニックスは不気味

 

ちなみにこれは以前にも書きました。

 

[鴻海以上に不気味、韓国SKハイニックス] 韓国ハイニックス会長が東芝経営陣に面会へ。SKはベインキャピタルと組むか。鴻海と違い、SK色を出し過ぎない手法。

 

鴻海が鴻海色前面に出す一方、SKハイニックスはSK色を出し過ぎず、空気を読みながら動いています。ある意味、要領がいいです。実に不気味な存在

 

あと、以前も書きましたが、SKハイニックスは鴻海と距離が近いです。だから共同出資の話が以前でたわけです。これも今後キーになる可能性があります。

 

ベインと組むとすれば、SKハイニックスが今後どの程度交わってくるのか、SKハイニックスの狙いは何なのか、将来的にSKハイニックスが大きく出てくることはあるのかなど、しっかり精査する必要があります。

 

 

余談: KKRの示す出資条件に革新機構が難色を示した。KKRはそもそも出資額が大きくない、ベインの動きに、柔軟に対応するかどうか。

なお、非常に重要なことですが、19日の日経新聞では、KKRの示す出資条件に革新機構が難色を示し、協力できるかは不透明になってきたとあり、革新機構はKKRとベインの双方の提案を比較しながら協力相手を決めるとみられるとしています。

 

  • KKRの示す出資条件に革新機構が難色を示し、協力できるかは不透明になってきた

  • 革新機構はKKRとベインの双方の提案を比較しながら協力相手を決めるとみられる

 

KKRはそもそも出資額が大きくないのがネックでした。

 

問題なのは、これ以外の条件で革新機構が難色を示したのか、どの程度の条件だったのか。

 

今回出てきたベインは、革新機構を巻き込みたいと考えています。

 

KKRはこのベインの動きにどう反応するのか、KKRはフレキシブルに対応し、うまく革新機構と組めるのか、それとも連合は破談してしまうのか。

 

このあたりが今後の注目点となります。

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