電通は過労自殺前に既に長時間労働の是正勧告を受けていた。

 

日本最大の広告代理店、電通。私のほうでは、ネット広告不適切取引の際、記事にしました。

[電通のネット広告不適切取引] 電通が2億円超過大請求。疑義633件。発覚は広告主からの問い合わせ

 

その後、過労自殺の件が労災と認定されたことを受け、再びクローズアップされています。今回は、電通が過労自殺前に既に長時間労働の是正勧告を受けていたという話です。

 

 

電通の東京本社が社員に違法な長時間労働をさせていた。昨年8月に三田労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けていた。

日経新聞によると、電通の東京本社が社員に違法な長時間労働をさせたとして、昨年8月に三田労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが18日、電通への取材で分かったとのこと。

 

  • 電通の東京本社(東京・港)が社員に違法な長時間労働をさせたとして、昨年8月に三田労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けていた

  • 18日、電通への取材で分かった

 

基本的に電通では以前から長時間労働が常態化していたというのはこれからも分かるかと思います。ただ、今回の場合は、この是正勧告を受けた時期もポイントになります。

 

 

電通が労基署から労働基準法違反で是正勧告を受けたのは、過労自殺の前の出来事。

上記日経新聞によると、昨年12月に自殺した同社の新入女性社員の原因とされる過労の時期は勧告後とのこと。

 

  • 昨年12月に自殺した同社の新入女性社員の原因とされる過労の時期は勧告後

 

要するに、是正勧告を受けていたものの、これを是正できなかったということです。ここは非常に残念なところです。激務の会社というものは世の中に存在しています。しかし、労基署から労働基準法違反で是正勧告を受けたならば、対策委員会のようなものを設置し、これをすぐさま是正するべきでしょう。

 

 

電通の対策委員会はどのような策を作り、なぜこれが守られなかったのか。

是正勧告を受けたわけですから、電通でも対策委員会が作られ、ここで何らかの策が作られているはずです。

 

ここで疑問が生じます。是正勧告を受けた後、対策委員会がどのような策を作ったのか、そしてなぜこれが守られなかったのか。

 

この2点を明確にしていただきたく思います。これも、今後電通が生まれ変わる際のキーワードとなると思います。

 

さて、是正勧告へと話を戻します。

 

 

いつ電通は三田労基署から是正勧告を受けたのか

上記日経新聞によると、昨年8月14日、労使協定の限度時間を超える長時間労働により、三田労基署から労基法32条違反で是正勧告を受けたとのこと。

 

  • 電通によると、昨年8月14日、労使協定の限度時間を超える長時間労働により、三田労基署から労基法32条違反で是正勧告を受けた

 

 

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電通が受けた是正勧告とはいったいどのようなものか

上記日経新聞によると、是正勧告は労基法などに違反する企業に出され、労基署は改善すべきことが記載された是正勧告書を交付するとのこと。是正勧告は行政指導の位置づけだが、従わない場合、労基署は刑事事件として書類送検することがあるとのこと。

 

  • 是正勧告は労基法などに違反する企業に出され、労基署は改善すべきことが記載された是正勧告書を交付する

  • 是正勧告は行政指導の位置づけ

  • 従わない場合、労基署は刑事事件として書類送検することがある

 

 

電通は是正勧告後、どのような対策をしてきたのか

上記日経新聞によると、電通は是正勧告後、「長時間勤務の抑制などの取り組みを実施してきた。具体的には『ノー残業デー』の設定や有給休暇の取得促進などを行ってきた」としているとのこと。

 

  • 電通は是正勧告後、「長時間勤務の抑制などの取り組みを実施してきた

  • 具体的には『ノー残業デー』の設定や有給休暇の取得促進などを行ってきた」としている

 

ここは冒頭で私が示した疑問とも絡んできます。例えば、ノー残業デーというものを設定したということですが、過労で亡くなられた高橋さんは本当にノー残業デーを使っていたのかどうか。残業時間を拝見する限り、残業デーはなかったに等しいものだと考えられますが、どうなんでしょうか。

 

 

高橋さんは残業時間を労使協定で定めた月70時間以内に抑えるため、「労働時間集計表」に過少申告するよう指導されていた

上記日経新聞によると、代理人弁護士によると、高橋さんは残業時間を労使協定で定めた月70時間以内に抑えるため、「労働時間集計表」に過少申告するよう指導されていたとのこと。

 

高橋さんは指導に従い昨年10月は「69.9時間」、同11月は「69.5時間」と実際より減らして記載していたとのこと。

 

  • 代理人弁護士によると、高橋さんは残業時間を労使協定で定めた月70時間以内に抑えるため、「労働時間集計表」に過少申告するよう指導されていた

  • 高橋さんは指導に従い昨年10月は「69.9時間」、同11月は「69.5時間」と実際より減らして記載していた

 

電通は影響力のある会社。このあたりは抜本的な改善をしないといけないかと思います。厚労省の今後の調査で、実態を解明、改善していただきたく思います。

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