まさかまさかの3兆円。
揺れに揺れている東芝半導体メモリー事業のゆくえ。今回は、あの鴻海が東芝メモリに3兆円提示したというとんでもない話。
鴻海(ホンハイ)が東芝の半導体メモリー事業買収に最高3兆円を提示
ウォールストリート・ジャーナル日本版によると、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は、東芝の半導体メモリー事業の買収額として最高3兆円を提示したとのこと。複数の関係者が明らかにしたとのこと。
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は、東芝の半導体メモリー事業の買収額として最高3兆円を提示した
複数の関係者が明らかにした
考察: 鴻海の3兆円での買収は、反対意見を黙らせるほどの効果がある。東芝メモリ買収で3兆円提示の鴻海、シャープの時の買収と作戦は同じか。しかし、シャープの時、買収額が目減りしたことを忘れないように。
鴻海が3兆円提示。
これはたまらない。あまりにも強気な姿勢。恐ろしいという言葉が思わず出てきます。
そもそも鴻海は東芝メモリ買収において大穴的存在です。下記でも書きますが、鴻海が出てくれば、反対意見が出るに決まっているわけです。
それを知ってか、鴻海は、3兆円という超巨額の金額を提示。これは反対意見を黙らせるほどの効果があります。
まさか君たち、経営危機の東芝本体がのどから手が出るほど欲しい3兆円を、本当に拒否できるとでも思ってんのか。
鴻海から、そのような声が聞こえてきそうです。
ただ、この手法。どこかで見たような手法。
そうです、まさに鴻海がシャープ買収で仕掛けてきたやり方です。
上記ウォールストリート・ジャーナルによると、昨年のシャープ買収でも同様の戦略を採用したとのこと。鴻海は他の応札者を大きく上回る買値を提示し、最終的に政府系ファンドの産業革新機構に競り勝ったとのこと。
昨年のシャープ買収でも同様の戦略を採用した
鴻海は他の応札者を大きく上回る買値を提示し、最終的に政府系ファンドの産業革新機構に競り勝った
でも、これには続きがありましたよね。
シャープにはもっと債務があったとか云々とかいう話が出てきて、結局買収額はずいぶん目減りしたわけです。
だから、3兆円とは言っているものの、実際に本当に3兆円出すかどうかなんて分からないと思いますね。ここはけっこうポイント。シャープの時の教訓から我々も学ばないといけないと思います。
考察: 東芝メモリ、鴻海3兆円買収は技術流出につながる恐れ。鴻海が東芝メモリを買収すると、技術流出だけでなく、人材流出も懸念される。シャープの例がある。東芝メモリが鴻海に買収されるのは、シャープが鴻海に買収された時の比ではない。
政府も発言していますが、東芝メモリ買収では、技術流出という点が非常に懸念されています。
幸いにも、東芝の社外取締役の中で、この点についてしっかり認識している人物がいます。経済同友会の小林代表幹事です。このような人物が東芝の社外取締役であることは、鴻海買収の抑止力という意味では、悪いことではないと思います。
[東芝社外取締役の発言は重い] 東芝メモリ、経済界は技術流出を懸念。東芝社外取締役で経済同友会の小林喜光代表幹事は日米同盟について触れる。東芝メモリ1次入札締め切り日。
上記の記事にも書きましたが、東芝メモリの技術が大事なのは、よく言われている安全保障上の観点からだけでなく、第4次産業革命にも関わってくる技術という意味で大事なわけです。まさに、国が関心のある分野。
東芝メモリが鴻海に買収されるのは、シャープが鴻海に買収された時の比ではないです。そもそも東芝の半導体は、東芝本体の原子力での大失態から、仕方がなく身売りされるわけです。そう簡単に技術流出をさせてはいけない話かと思います。
さらに、技術的な観点だけではありません。
鴻海の東芝メモリ買収では、人材流出の懸念も出てきます。
鴻海がシャープを買収後、多くの人材が流れました。ついこの前も、キーマンが他社に移っています。
上記の記事でもあるように、シャープは鴻海流の成果主義の人事報酬制度を導入したのにも関わらず、人材流出したという話です。
東芝メモリだって、優秀な人材が流出したら、それこそ一大事でしょう。
これまでの流れを考えても、鴻海は危険な存在であると言えます。
鴻海の東芝メモリへの3兆円買収額は、日本政府の立場を厳しくする可能性も。
上記ウォールストリート・ジャーナルによると、今回の鴻海の提案は日本政府の立場を厳しくする可能性もあるとのこと。
関係者によると、東芝の半導体事業を戦略的資産とみなし、日本企業または日米の連合による取得を目指す案などが政府の一部で出ているとのこと。だが鴻海が最も高い価格を提示した場合、厳しい財務状況にある東芝が断るのは難しいとみられるとのこと。
今回の鴻海の提案は日本政府の立場を厳しくする可能性もある
関係者によると、東芝の半導体事業を戦略的資産とみなし、日本企業または日米の連合による取得を目指す案などが政府の一部で出ている
だが鴻海が最も高い価格を提示した場合、厳しい財務状況にある東芝が断るのは難しいとみられる
いよいよ外為法登場ですかね。
あと、経産省が動いてる、日本連合の話。
日本連合でどの程度の額が集まるのか。経産省はとにかく話を早くまとめること。そして、政府系ファンドは、ガツンとでかい金額を提示するなりして、存在感を発揮してほしいところ。存在感を見せつけるなら、「今」です。
鴻海の動き、日本連合の動きに要注目です。